「魔法使いのお婆さん」は実在した

さて。

よく童話なんかに出てくる「魔法使いのお婆さん」。
森の奥深くに独りで住んで、野生動物達を手懐け、あるいは動物達と会話し、ときには自由に操る。
 

そんな「魔法使いのお婆さん」は架空の存在だとずっと信じていました。
この田舎に越してくるまでは。

はい、今は「魔法使いのお婆さん」は実在したと信じています。
それもけっこうあちこちに、それほど珍しくない存在として。

というのも、まさにこの私自身が、魔法使いのお婆さん化していると感じているから。

たとえば、最近の私の日々。

私が畑に耕運機をかけていると、トンビやカラスがすぐに飛んできて、耕運機の後ろをついて回ります。掘出される虫、主にミミズを狙っているのです。ミミズは土壌改良の大切な相棒ですから、私が見つければすぐに埋め戻すか安全な場所に移動させるのですが、全部は見つけられません。また鳥が虫を食べるのは自然の摂理でもあります。なので鳥が集まっても追い払うまではしません。

それどころか、私が洗濯物を干しているとトンビが来て物干しざおにとまり、食べ物をねだったりします。手を伸ばせば届きそうな距離どころか、手を伸ばさなくてもぶつかりそうな距離に。鋭い爪に嘴、突かれないよう、用心用心。

トンビ

家に戻ると、タヌキのサンサンが庭先にチョコンと座っています。
「ちょっと待ってね、すぐ御飯を持ってきてあげるから」
と家に入り、キャットフードと、ついでに台所の野菜くず=ニンジンのヘタやリンゴの芯など=と、畑から持ってきた菊芋等をボウルに入れて、外に出ます。
まずキャットフードをお皿にいれて、

タヌキ
Wildcamera

それから果樹園と呼んでいる一角に行って、野菜くずを地面に置くと、目ざとく山からトントンと跳ねて来たのはニホンジカのステップ君。
大好きなリンゴの芯から食べ始めました。
「それ、私が丸かじりした残りだから、間接キッスになるのかな~?うふ♡」
ちょっと楽しい。

ニホンジカ

畑で晩御飯に使うアサツキやノカンゾウを摘んでから、庭に戻ります。すると、タヌキのサンサンが変な顔をして、同じ場所に座っています。あれ、食べてないの?とお皿を見れば、かなり減っていて、その横に小さな黒いウンチが2片。
「あ、アカネちゃんが来ていたんだ」
アカネちゃんは、雌のキツネ。縄張り宣言でウンチを残していくのです。

キツネ

その宣言は、同種の他のキツネに対するものではありますが、タヌキよりキツネの方が体が大きいので、一対一では小柄タヌキのサンサンはかないません。なので食べられずにいたのでしょう。ウンチを片づけて家に入り、窓から覗くと、サンサンが夢中でキャットフードを食べていました。

こんな生活、はたから見たら
「野生動物を手懐けている」
と見えるかもしれませんね。

タヌキ


また、数年前のことですが、こんなことがありました。

大きな雄鹿が、防獣ネットに絡まって暴れていました。
このままでは死んでしまうと、ハサミ一丁だけを持って助けに行きました。

ニホンジカ



まず、雄鹿の前にペタンと座って心からお願いします。
「あなたを助けたいの。でも暴れていては、助けられない。私がネットを切る間、おとなしくしてくれませんか?」

ありがたいことに雄鹿に私の気持ちが通じたようです。
最初はハサミが当たって飛び上がったりもしましたけど、だんだんしずかになり、最後はじっと不動になりました。
お陰で複雑に絡みついたネットを全部切り離すことができました。
雄鹿は自由になると一目散に山に逃げ帰りました。
もちろん、私も無傷です。
丈夫なネットはとても硬くて、腕は筋肉痛になりましたけれど。


これなんかも、はたから見たら、
「暴れているシカに呪文をかけて静かにさせた」
と見えるかもしれません。

昔は、人間と野生動物達は、現代よりもっと近しい関係で、絡み合うように暮らしていたと思われます。森の奥深くに、動物好きな女性が一人で暮らしていたら、野生動物達もたちまち心を許して近づいただろうことは想像に難くありません。それが「魔法使いのお婆さん」と伝えられたのでしょう。私ももっと「山奥のポツンと一軒家」に住めばよかった。そうすれば私ももっと立派な「魔法使いのお婆さん」になれたのに。

ハクビシン
アナグマ

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