ヴィーガンの食費公開

「ヴィーガン食はセレブの道楽である」なんてウワサがまことしなやかに流れているようですが、それは嘘です。
単身世帯の食費は月43,941円
食品の値上げが止まりません。あちこちで、食費に苦労する人々の悲鳴が聞こえてきます。自分でスーパーに行っても、たしかに高くなっている・・・😢
2024年のエンゲル係数が「43年ぶりの高水準」だと話題にもなりました。家計調査による家計の消費支出全体に占める食料費支出の割合を示すエンゲル係数が、昨年は28.3%(2人以上世帯)を記録したとか(総務省、2025年2月7日発表)。
そして、同家計調査によれば、2024年単身世帯の食費は全国平均で1ヶ月【43,941円】だそうです。
(ref;総務省統計局>家計調査 家計収支編 単身世帯 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003000797)
43,941円とは高いなあ、というのが素直な感想です。
そりゃ外食すれば高いですし、お店によっては1回の食事で4万円超だってあるでしょう。また「今月はいろいろあって食費が4万円を超えちゃった」なんて月もあって不思議ではありません。でも毎月々々、4万4千円近いって、私の感覚では高すぎです。みなさん、食費にそんなにかけるのが普通なのでしょうか?私の金銭感覚がおかしいのでしょうか?

私の1ヶ月の食費公表
私は女で一人暮らしです。
食費は、過去3年間(2022年、2023年、2024年)の平均で;
【19,262円】
これは、主食・副食・おやつ・調味料等、さらに外食まで加えた、およそ飲食にかかる費用全ての総計です。
43,941円ー19,262円=24,679円
なんと総務省発表の全国平均値の半分以下です。
ちなみに、今年2025年の1月は14,566円、2月は17,903円でした。1月が少なかったのは、去年12月におせち材料を買いすぎて、その消費に1月半ばまでかかったのが大きな原因です。また、1月はジャガイモとサツマイモのストックが多少残っていました。

私の食費が安めなのは、節約しているからだと思われるかもしれません。
でも、節約しているつもりはあまりないのです。たしかに1本1万円のマツタケとか、1個6千円のマスクメロンのような高額なものは買いませんが、かといって、ケチケチきりつめているわけでもありません。
たとえば、日常的に使っているのは安いサラダ油ではなく、エクストラバージンオリーブオイルです。ほか、安い白砂糖ではなく、きび砂糖や甜菜糖、安い醤油ではなく、600ミリリットル約400円の「生(なま)醤油」、安い顆粒出汁ではなく、毎日出汁昆布と干し椎茸を使っています。主食はお米だけでなく、雑穀もプラス。間食は、安いスナック菓子ではなく、ナッツ類や果物や干し野菜。コーヒーだって、安いインスタントではなく、朝と昼は豆コーヒーです。夜は、眠れるよう、インスタントのカフェインレスコーヒーですけれど。
それなりに贅沢していると思いませんか?少なくとも「節約まっしぐら」な食生活ではない内容だと思います。
かといって、とくに小食というわけでもありません。むしろ食べる量は多い方だと思います。だって毎日たっぷり出していますし・・😅
食費の高騰がさけばれている今、上記内容で、私の食費が2万円未満でおさまっている理由は?

1.ほぼ100%自炊
まずは、なんといってもコレでしょう。
ほぼ100%自炊。
自炊は外食より安いは世の常識です。
たまに「外食」するときは、スーパーのおにぎりか納豆巻に、豆乳かアーモンドミルクが定番。それを車の中で食べています。価格的には、せいぜい500円でしょうか。だって、この田舎にプラントベースのカフェなんてないんですもの。
群れて行動するような人間でもありません。人間嫌いで田舎に隠居したのですから。何かの用事でカフェとかはいっても、ホットコーヒー1杯でおしまいです。
実質、100%自炊といっても良いような生活をしています。

2.しかし料理は嫌い
実質100%自炊なのに、料理は嫌いです。興味が無い、という方が正確かもしれません。食事は、ふつうに食べられる味で、栄養と量が足りていれば満足です。ですから凝った料理なんてしません。煮るだけ、焼くだけ、炒めるだけ、あるいは、切って盛り付けるだけです。幸い好き嫌いは皆無ですから「ふつうに食べられる味」の範囲は非常に広いです。
簡単にパッと作るだけ、ということは、実は、必要な材料をまとめ買いしやすいことにもつながります。あれこれバリエーションを考えませんから。そして、いつもの食材はなるべく大容量パックで買いますので、その分、安くもなっています。

調味料も基本の「さしすせそ」(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)に、油と本みりん、ときどきマヨドレやカレー粉で、ほぼ済ませています。様々なドレッシングとか、こだわりの香辛料とかはほとんど使いません。漬物以外で「何々のもと」「お手軽○○ソース」なんてのも使いません。
なお、買い物は週1回のまとめ買いです。地元スーパーと業務スーパーを愛用。コンビニや100均ショップで食料はほぼ買いません。

「料理は嫌いといいながら、よい素材を使っているではないか」と思われたかもしれません。でもこれも、実は料理をしたくないからです。
あるとき、単純な事実に気づいたのです。調味料は「本物・良質な物」を使う方が、手抜き料理でも飽きない、ということに。
たとえば、お味噌汁。インスタント味噌汁は楽ちんですし、出汁入り味噌や顆粒出汁も便利です。でも、毎日同じでは飽きてしまいますよね。ところが、出汁昆布+干し椎茸+生味噌で作ると、同じ具が続いても不思議に飽きません。昆布や椎茸といっても、前日の夜に、お鍋の水に入れておくだけでそれほど手間ではありませんし、その昆布や椎茸はミネラル豊富な具でもありますから、その分、栄養素について考えずに済みます。毎日のこと、栄養を考えなくて良いというのはけっこうポイント高いです。
また炒め物は、最後に生(なま)醤油を回しかければ、ふわりとよい香りがあがって、それだけで味付けがいらなくなります。ふつうの醤油ではこうはいきません。生醤油の方が味付けが簡単だ、と気づいたあとは、こちらを愛用しています。
エキストラバージンオリーブオイルや甜菜糖を使うのは、その方が栄養や量について、安い物ほど考えなくて済むからです。料理に頭を使う時間はもったいないです。けれども、うちの尻尾族たちのために私は常に元気でいる必要があります。私が寝込んでしまったら誰もお世話してくれる人はいないのですから。彼等全員を看取るまで、私の「1日も休めない生活」は続きます。だから体に良い物を。😁
味が理由で選んでいるのは豆コーヒーだけですね。インスタントコーヒーより、やはり、豆の方がおいしいですもの。

3.野菜農家である

「先にそれを言えよ!」と思った方は多いかもしれません。でも、農家であることと食費が少ないことは、関係はあるが最大要素では無いと思います。
もしこれが、先祖代々その土地で百姓として生きてきた大規模農家で、稲作はもちろん野菜や果樹もやっていますよ、というのであれば、最大要素となるでしょう。でも私は野菜農家ですから、お米をはじめ、小麦粉やパン、蕎麦、オート麦など、主食となる穀物類はすべて購入する必要があります。
また、ハウス栽培もしていません。すべて露地栽培で、かつ、ほぼ自然栽培。ですから収穫はその作物本来の収穫時期に限定されます。たとえばトマトは7月中旬~8月末と短いです。ナスはもう少し長いとは言え、がんばって10月頭まで。それ以外の季節はトマトもナスも、その他の夏野菜も、普通にお店で買います。
また、私が持っているのは一般家庭用の冷蔵庫がひとつだけです。野菜長期保存用の装置みたいなものはありません。ですから、たとえばジャガイモはもっとも保存が利くお芋ですが、それでも7月初に収穫してギリギリ1月まで。2月~6月は買わなければなりません。他の芋類は保存期間はもっと短くなります。
つまりですね。
私が買わなくて良いのは、たとえばもっとも種類豊富となる7月末であれば、以下の野菜たち↓、プラス、キュウリ、ナス、紫蘇の葉、パセリ、運が良ければトウモロコシくらい?(トウモロコシはサルの大好物なので・・・)。

冬はもっと種類が減ります。たとえば今年の2月の自給野菜は「大根・カブ・里芋・ヤーコン・菊芋」の5種類だけでした。今うちにある下↓の野菜や果物は、全部ふつうに購入した物です。

ここで計算してみましょう。
2025年2月の食費は17,903円でした。そして総務省発表の単身世帯の食費平均は43,941円。差額は;
43,941円 ー 17,903円=26,038円
うちでとれた「大根・カブ・里芋・ヤーコン・菊芋」。これらを差額分、購入するならば、
- 大根 1本260円 × 20本=¥5,200
- かぶ 3個1束210円 × 20束=¥4,200
- 里芋 4~5個入り1袋300円 × 20袋=¥6,000
- 菊芋 4~5個入り1袋210円 × 20袋=¥4,200
- ヤーコン 1~3本入り1袋300円 × 20袋=¥6,000
- 合計 ¥25,600
(注:大根・かぶ・里芋は地元スーパーの、菊芋・ヤーコンは地元農家直売の、2025年2月おおよその価格)
この量を、主食や豆類、汁物、バナナやナッツ類、その他もふつうに食べつつ、「おかずとして」女1人で1ヶ月で消費できると思いますか?少しでも料理をする人であれば、ひと目で「無理!」とわかるでしょう。1項目の「1ヶ月で大根20本」だけでもう無理です。2月=28日=4週、20本÷4=5。ひとりで大根を週5本。そんなに食べられますか?
もし私が野菜農家でなく、すべての食材を購入していたとしても、私の食費が全国平均を超えることは無いだろうことは、おわかりいただけたと思います。これが、野菜農家であることより、「ほぼ100%自炊」のほうが食費軽減には役立っていると考えるゆえんです。
なお、上記計算をよくご覧いただければわかると思いますが。「野菜が高すぎて買えない」は間違いですね。ほとんどのご家庭では「野菜は優先順位が低いから買わない」が正解でしょう。肉、魚、卵、乳製品にトータルでかけてるお金をそっくり植物性食品に回せば、食品の量は食べきれないほど増えると思います。

4.ヴィーガンである
これを理由4番目に持ってきました。が、もしかしたら、これこそが1番の理由かもしれないとも思っています。
キリ様のブログ記事『ヴィーガンはお金持ちじゃないと出来ない?』には、一食300円以下で生活している方など、少ない食費で生活されているヴィーガンさん達が紹介されています。また同記事でも紹介されているオックスフォード大学の研究 ”Sustainable eating is cheaper and healthier – Oxford study” によれば、ヴィーガンの食費は、肉類を食べる食費とくらべ、わずか2/3で済むとの結果が出ました。
https://www.ox.ac.uk/news/2021-11-11-sustainable-eating-cheaper-and-healthier-oxford-study
- Vegan diets were the most affordable and reduced food costs by up to one third.
- Vegetarian diets were a close second.
- Flexitarian diets with low amounts of meat and dairy reduced costs by 14%.
- By contrast, pescatarian diets increased costs by up to 2%.
【和訳】訳:nekohon
- ヴィーガン食がもっとも安く、食費を最大3分の1も削減。
- ベジタリアン食は僅差で2位。
- 肉や乳製品の摂取量が少ないフレキシタリアン食は、食費を 14% 削減。
- 対照的に、ペスカタリアン食では食費が最大 2% 増加。(ペスカタリアン=肉は食べないが、魚介類・乳製品・卵は食べる)

ヴィーガンラベルの食品を選ぶ必要はない
でも市販のヴィーガン食ってお高いじゃない?と思ったアナタ。
ヴィーガン用のカフェや加工食品が高めなのは、日本ではまだ需要が少ないから。これに尽きるでしょう。
あとは、言葉は悪いが、・・・ぼったくり?
たとえば代替肉の代表格、大豆ミート。ミンチタイプは、合い挽き肉とあまり変わらない価格帯です。ブロックタイプも、鶏もも肉と同じくらい。しかも大豆ミートは、メーカーやブランドが違えど、価格にそれほど大きな差はありません。オーガニックの最高級大豆ミートでも、上等な豚ロース肉より安いのです。まして牛肉とは比較にならないくらいです。最高級サーロインステーキは1枚200グラムで1万円を超えますよね。しかし200グラム1万円の大豆ミートなんて、どこを探しても売っていないでしょう。
2025年冬は、キャベツも白菜も1球1000円になったと大騒ぎでした。キャベツなんて、安い野菜の代表みたいなものだったのに、1球1000円はべらぼうに高いです。
けれども。
一切れ1000円の国産牛は、1食でペロリと食べられますよね。一柵1000円の刺身だって1回で食べられます。しかし、キャベツ1球をひとりで1回で食べられますか?白菜1球も無理じゃないですか?

うれしいことに、和食はプラントベース食が多くあります。本来、精進料理イコール菜食料理ですし(最近の坊さんは生臭坊主ばかりだけど)。
おやつだってそうです。おしるこ、大福、羊羹、草加煎餅、みたらし団子、落雁、・・・数え切れません。
ついでにいえば、自宅で作るとき、生乳使用の(いわゆる本格的な)生クリームを買うより、ココナッツクリームで作った方が安いです。アイスクリームだって、バナナと絹豆腐とココアパウダーで自作すれば、ハーゲン○ッツのアイスクリームを買うよりずっと安いです。
感覚を持った動物たち(sentient beings)にやさしく、地球環境にもやさしく、ついでにお財布にもやさしいヴィーガン生活。何も最初から完璧でなくてもよいのです。1日3食のうち1食をプラントベースと決めるだけでも、苦しむ動物が減ります。
どうか考えてみていただけませんか?
