フルーツ食人間 Vs 肉食人間/「農」について

露地栽培のいちご



「日刊SPA!」の記事(2024年04月30日)
『“15年間フルーツしか食べない人物”に起きた驚きの変化。「ラーメンもお菓子も食べたいとは思わない」』

フルーツ研究家の中野瑞樹氏のお話です。

「肉や魚はもちろん食べていません。豆や芋、米やパンなどの穀物も野菜も食べていません。水やお茶も全く飲んでおらず、水分の補給もフルーツからのみですね。」

フルーツだけの食生活で15年、いくら研究の為とはいえ、すごいですね。
そんな食生活で体は大丈夫かと一般食の人は心配するわけですが、

「33歳でこの実験を始めて、今48歳ですが、看護師さんやお医者さんにはしばしば検査結果を褒められますね。血糖値も血圧も肝機能も正常、特に腎臓の機能がとてもいいようです。」
(中略)
「以前にテレビの企画で骨密度を調べてもらったことがあったんですが、同年代の男性に比べて3割も高い骨密度で驚かれました。(中略)担当のお医者さんも結果を信じてくれなくて、2回計測し直しましたが、もちろん数値は同じでした。」

とのこと。

こんなお話を聞きますと、現代の”常識的な”栄養学って何なのって疑問に思ってしまします。



では逆に、フルーツの対極的な食物、「肉」しか食べなかったら人間の体はどうなるのか?

その実験をした研究者さんもいました(研究者ってホントすごい)。

以下、長谷川政美著『ウンチ学博士のうんちく』(海鳴社、2019年、ISBN:9784875253464)より引用。

『 (前略)腸内細菌の研究で有名な辨野義己さんは、肉ばかり食べ続けると腸内環境がどうなるか、自ら人体実験したことがあります。40日間ほとんど肉だけを食べるのです。1日に食べた肉の量は1.5キログラムにもなったそうです。その結果、黄色かった糞が黒ずんできて、最後にはほとんどコールタールのようになったといいます。臭いもきつくなり、肉や卵が腐ったような悪臭になりました。pHが6.5の弱酸性だった糞が、pH4.5~5.5の弱アルカリ性になりました。肉食ばかりの生活によって腸内で発酵を行う善玉菌が減り、逆に腐敗を行う悪玉菌が増えたのです。体調も次第に悪くなり、常にけだるい疲労感につきまとわれるようになったようです。ところで、発酵と腐敗はあくまでも微生物の代謝を人間中心の価値観で見たものであり、ヒトにとって有益なものを生み出すことを発酵、有害なものを生み出すことを腐敗といいます。

page 32-33

この辨野義己さん、BSテレ東「いまからサイエンス」(2024/5/1放送)にも出演されていまして、上と同じ話をされていました。実験されたのは30代の時、食べた肉は100グラム800円の霜降りのいい肉ばかり(「もちろん研究費で」と笑ってらっしゃいました)。

実験後は、腸内環境が大きく変わり、大腸がんを引き起こす作用がある腸内細菌が増えたそうです。しかしその菌は大量の肉食を止めたら消えてしまった。

近年は大腸がんが増え、胃がんを抜いて日本でもっとも多いがんとなりました。最近の日本人が動物由来の食事ばかりするようになった結果です。その一方で、昔から僧侶は長生き。職業別にみても、僧侶は常に長寿ナンバーワンを保っています。僧侶は(少なくとも建前は)多くが採食ですよね。悟った僧侶は心も健康でしょうが、採食で胃腸もきわめて健康なのでしょう。(注)

と、いうわけで、

「フルーツ食 Vs 肉食」勝負、「フルーツ食の勝ち」のようです。

(注)しかし、最近の僧侶は好んで肉を食べるどころか、小学生を集めて目の前で鶏を殺して食べる者さえいるようです。なんだかなあ・・・

ところで「フルーツ」って?

ここで農家としての疑問。
私にとってスイカやイチゴは畑で作る「野菜の一種」という感覚ですが、一般的には「フルーツ」のようですね。
また、以前から日本語の「果物(くだもの)」と英語の「フルーツ」では含まれる対象の違いを感じていました。

「果物とフルーツの違い」をGoogleで検索しました。

露地栽培のいちご



『Umekiki おいしいを、めききする』さん(https://www.umekiki.jp/)によれば

『果物とフルーツの違い
果物とフルーツ、実は意味が異なる。果物とは、木に実る果実のこと。みかん、りんご、ぶどうなどのほかに、レモンや栗やアボカドなど。一方、フルーツとは、主に果肉を生でも食べることができて、 熟すと“甘い”か“甘酸っぱい”果実のこと。みかん、りんご、ぶどうのほか、スイカ、メロン、いちごなど。』


GoogleのAIによる回答によれば(2024/5/1現在)

『フルーツは果実全般を指す英語で、日本語の「果物」よりも広い範囲を指します。一方、果物は木に実る果実を指し、食用になる果実や果実的野菜のうち、強い甘味を持つものを指します。

フルーツには、主に果肉を生でも食べることができ、熟すと“甘い”か“甘酸っぱい”果実が含まれます。みかん、りんご、ぶどうのほか、スイカ、メロン、いちごなどがフルーツに含まれます。一方、果物には、みかん、りんご、ぶどうなどのほかに、レモンや栗やアボカドなどが含まれます。

また、野菜と果物の明確な定義はなく、扱う人や流通場所、国によっても呼び名が変わるようです。

たとえば、農林水産省では、概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています。従って、栗や梅などは果樹として扱われていますが、メロンやイチゴ、スイカなどは野菜として扱われています。』

にゃるほど。

スティックブロッコリーの花とモンシロチョウ

農とは永遠の初心者なり

さて。

フルーツにせよ、野菜や穀物にせよ、収穫するには農をする必要があります。が、その「農」が意外と大変。

私自身、都会出身者ですが、今は農地を所有し毎日耕している人間でもあります。

農をはじめてつくづく感じているのですが、農家って「永遠なる初心者」なんですよ。
だって農作物の多くは年に1回しか作れないんですから。

トマトの花とまだ青い実

最新設備のハウスで工場的生産を行うとか、広大な土地で人為的にあれこれ条件を変えて実験できるなら話は別でしょう。
でも昔ながらの露地栽培の中小農家の場合はそうはいきません。
つまり、たとえ10年農家をやっても、その作物を作った経験はわずか10回しかないってことになります。

しかも年によって、暑かったり寒かったり、雨が多かったり少なかったり、土質/土壌菌も常に変化していて、毎年、条件が全然違う。
前の年と同じようにやったって、同じ結果にはなりません。

多くの職業で10年選手といえばもうベテランでしょうが、農に限って言えば、まだ10回しか経験していない未熟者。
10回しか握ったことのない寿司職人や、10回しか運転したことのないバス運転手を「ベテラン」と呼ぶ人はいませんよね。
50年農家をやってやっと50回、そう考えれば農家なんて、永遠なる初心者です(=^・^=)

さらに近年は「○○年に一度の異常気象」が常態化してきています。
それと並行して、代々の農家さえ手を焼くほど、農業が困難になってきました。
有事のときに慌てて庭やその辺の空き地を耕して作物を植えても、そう簡単に収穫は望めないということです。

日本政府は、日本の農業について、もっと本気で考えるべきじゃないですか?
少子化より、円安より、食料こそ生きるか死ぬか、人類の生存そのものにとって、もっとも重大かつ直接的な影響を与える要素です。

そらまめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


哺乳類

前の記事

ゴン、元気です