保湿クリームと動物由来成分
ドラッグストアで、ハンドクリーム等が並んでいる棚を物色中、ふと目についた「ニベアソフト」。


なんと【動物由来成分不使用】の記載が!

こんなことが書いてあるなんて、今まで知りませんでした!
嬉しくなって、ふつうのニベア(青いニベア)やその周辺の商品も片っ端からひっくり返して裏書きを確かめましたが、残念ながら、「動物由来成分不使用」と書いてあるのはこの「ニベアソフト」だけでした。青いニベアにも書いてなかった(ショボーン)。
ニベアソフトを初めて買ってきました。
ニベアソフトって、ドイツ・バイヤスドルフ社(Beiersdorf)の技術提携品なんですね。ドイツといえば、言わずと知れた、世界トップクラスの環境保護先進国。ドイツにいけば、食品だけでなく、こういう化粧品その他にも「動物由来成分不使用」と記載するのがもう常識なのでしょうか?だとしたらうらやましい。

いくら「動物実験をしていないメーカー」を選んでも、その製品そのものに動物由来成分がガッポリ入っていたら意味がありません。また私の頭では、成分表をいくら読み込んでも、ズラリと並んだカタカナの薬品名・成分名の、どれが動物由来でどれが違うかも正確に判断はできません。
日本の化粧品業界も動物由来成分を使っていない製品については「動物由来成分不使用」と記載するのが当然な習慣となってほしいものです。
他のニベア製品は動物由来成分を使用しているのか?
「ニベアソフト」にだけ「動物由来成分不使用」と書いてあるということは、逆に、ほかのニベア製品には動物由来成分が使用されているのではないかという疑惑がわきます。
ニベアオフィシャルサイトを開いてみました。その結果・・・
What is difference between cruelty free and vegan skincare?
The term “”cruelty-free skincare”” refers to products that have not been tested on animals. As a result, the product, as well as the ingredients in it, have not been tested on animals at any stage of its development. Despite this, cruelty-free products can still contain animal-derived ingredients, such as beeswax or woolwax/lanolin.
By contrast, vegan skincare products do not contain any animal derived ingredients. Therefore, the product does not contain ingredients that are commonly found in non-vegan skincare products, such as beeswax, lanolin, and collagen. It is possible for vegan skincare to be cruelty-free.
And since 2008 it is even forbidden in the EU to perform animal tests with cosmetic products. And additonally even the raw materials for cosmetics are not tested on animal any more since 2013.
Is NIVEA vegan?
While NIVEA is not a fully vegan brand, we strive to minimise the use of animal-derived ingredients in our skincare products. We offer a range of vegan cosmetics that are free of ingredients such as collagen, lanolin, honey, beeswax, and gelatine, and we continue to work towards increasing the proportion of vegan skincare products in our product lines.
【和訳】nekohon訳
クルエルティフリー・スキンケア製品とヴィーガン・スキンケア製品の違いは?
クルエルティフリー・スキンケア製品とは、動物実験を行っていない製品を指します。したがって、製品およびその成分は、開発のどの段階においても動物実験を受けていません。ただし、クルエルティフリー製品であっても、ミツロウやウールワックス/ラノリンなど、動物由来の成分を含むものはあります。
これに対し、ヴィーガン・スキンケア製品には動物由来成分が一切含まれていません。したがって、一般的な(非ヴィーガンの)スキンケア製品に含まれるミツロウ、ラノリン、コラーゲンなどの成分も使用されていません。ヴィーガン・スキンケア製品はクルエルティフリーでもあり得ます。
また EU では、2008 年以降、化粧品に対する動物実験そのものが禁止されています。さらに 2013 年以降は、化粧品の原材料についても動物実験は行われなくなっています。ニベアはヴィーガン?
ニベアは完全なヴィーガンブランドではありませんが、動物由来の成分の使用を最小限に抑えるよう努めています。動物由来成分=コラーゲン、ラノリン、ハチミツ、ミツロウ、ゼラチンなど=を含まないヴィーガン化粧品を幅広く提供しており、今後も製品ラインにおけるヴィーガンスキンケア製品の割合をさらに高めていくよう取り組みを続けています。
NIVEA / VEGAN SKINCARE
「ニベアブランド」は完全にヴィーガン(動物由来成分不使用)ではないが、動物由来成分の使用は最小限に抑えていると言っています。
そして青いニベアの成分は:
水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワランホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料。
この中では、「ラノリンアルコール」が動物由来成分(ヒツジ由来)となります。
なお、日本ではまだ販売されていませんが(2026年6月現在)、NIVEA Creme Natural Touchというヴィーガン製品の販売が開始されたそうです。

Das Ergebnis ist eine vegane Creme mit 99 % Inhaltsstoffen natürlichen Ursprungs, angereichert mit 100 % Ölen natürlichen Ursprungs – darunter Sonnenblumen-, Raps- und Sheaöl – mit einer Qualität, Leistung und sensorischen Performance, die überzeugt.
【和訳】nekohon訳
その結果、ヴィーガン・クリームが誕生しました。99%が天然由来成分、配合されているオイルは100%自然由来(ヒマワリ油、菜種油、シアバター等)で、その品質、機能性、使い心地、すべて皆様にご満足いただけるものとなっています。
Beiersdorf / Ikonische blaue Dose jetzt in zwei Varianten: Beiersdorf bringt NIVEA Creme Natural Touch in Deutschland auf den Markt 05.01.2026
バイヤスドルフ社全体の動物実験に対する対応は以下だそうです。
Führt Beiersdorf Tierversuche durch?
Als eines der führenden forschenden Unternehmen engagieren wir uns seit über 40 Jahren intensiv und erfolgreich für die Entwicklung und Akzeptanz von alternativen Testmethoden. Wir setzen uns entschlossen dafür ein, Tierversuche weltweit überflüssig zu machen. In der EU sind Tierversuche für Kosmetikprodukte bereits seit 2004 – und für alle Inhaltsstoffe dieser Produkte seit 2013 – vollständig verboten. Wir sind davon überzeugt, dass Versuche an Tieren nicht erforderlich sind, um die Verträglichkeit und Wirksamkeit unserer kosmetischen Produkte nachzuweisen. Aus diesem Grund führen wir keine Tierversuche für Kosmetikprodukte und deren Inhaltsstoffe durch oder geben sie in Auftrag – es sei denn, dies ist uns im Ausnahmefall zwingend gesetzlich vorgeschrieben.
【和訳】nekohon訳
バイヤスドルフ社は動物実験を行っていますか?
当社は、研究開発を行う企業の先導的存在として、40年以上にわたり、代替試験法の開発と普及に精力的に取り組み、成果を上げてきました。当社は、世界中の動物実験をなくすため、強い決意をもって推進しております。EUでは、化粧品に対する動物実験はすでに2004年から、また全成分に対する動物実験は2013年から、全面的に禁止されました。当社は、自社製品の安全性や有効性を証明するための動物実験は必要ないと確信しています。そのため、化粧品およびその成分について、当社は動物実験を行わず、第三者に委託することもありません――ただし、例外的に法律で義務付けられている場合を除きます。
Beiersdorf / Unternehmen FAQ
※私nekohonはプロの翻訳家でも通訳でもありません。もし誤訳がありましたらお許し下さい。

動物由来成分の美容オイル・保湿クリームは意外と多い
顔や体につける美容オイル/美容クリームには、多くの動物由来成分が使われています。以下、代表的なものをあげます。
- コラーゲン、ゼラチン
- 馬油(ばあゆ・マーユ)
- エミューオイル
- ラノリン
- スクラワン
- 蜂蜜、ミツロウ
- シルク、セリシン
- ヒアルロン酸
- コチニール色素(カルミン酸)
コラーゲン・ゼラチン
ご存じ、動物タンパク質です。ヒトの体にも多く含まれていて、全タンパク質の約30%を占めるといわれています。その役目は、細胞と細胞をつなぎ合わせる接着剤のようなものとして、骨の柔軟性を保つ、血管壁を構成して強さや柔軟性を維持する、軟骨の主成分として関節の動きを支えるなど様々な役割がありますが、化粧品関係では、お肌のハリや弾力を保つ効果が期待される成分です。
化粧品に配合されるコラーゲンは主に、豚や牛の皮・骨、および、魚の鱗・皮などから採取・精製されたものとなります。コラーゲンに熱を加えて抽出・精製したものがゼラチンとなります。

馬油(ばあゆ/マーユ)
その名の通り、馬の皮下脂肪から採取される動物性油脂。肌に浸透しやすいとされる「馬セラミド」分が入っているなど、人間の皮脂と脂肪酸の構成が非常に似ていて肌なじみが良く、保湿力が高いといわれています。お顔のスキンケアや、ひじやかかとの角質ケアのほか、髪の毛のパサつきケア、さらに石鹸までと、様々に使われています。
そんな馬油の中でももっとも高価とされる「こうね馬油」 。“こうね”とはたてがみ部分の脂肪のことで、1頭の馬からごくわずか(5キロ程度)しか取れず、そこから搾油・精製して作られるのですから、量もわずかでしょう注。そんなものを商品化し一般に販売するためには何頭の馬が殺される必要があるのか、考えたくもありません。
【注】参考サイト:横濱馬馬油商店:「馬油の豆知識vol.3 『馬刺の人気部位「こうね」は、 上質な馬油が取れるたてがみ下の脂』」

エミューオイル
オーストラリア大陸の固有種で、ダチョウに次ぐ飛べない巨鳥「エミュー」の皮下脂肪から抽出される動物性オイルです。人間の皮脂成分に極めて近い必須脂肪酸(オメガ3・6・9)を含んでおり、優れた浸透力と高い保湿力で乾燥肌や敏感肌のスキンケアから全身のボディケアまで幅広く使われています。
エミュー1頭からは、およそ4〜5リットル(約250オンス)の精製エミューオイルが採取されるそうです。そんなエミューオイルの世界市場は2026年に約3億8,755万米ドルと評価され、年平均成長率(CAGR)約7%で推移しているとか注。どれだけのエミューを殺そうというのでしょうか?
【注】参考:Global Information / エミューオイル市場:製品タイプ別、販売チャネル別、用途別、エンドユーザー別- 世界の予測2026-2032年

ラノリン
羊の毛から抽出される天然の羊毛脂(ウールグリース)を精製した成分。非常に高い保湿力(抱水性エモリエント効果)のほか、光沢付与や乳化安定化効果があるとされ、メイクアップ製品、化粧下地製品、スキンケア製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、洗顔料など様々な製品に使用されています注。
上で青いニベアに入っていた動物由来成分のラノリンアルコールとは、このラノリンの加水分解により得られる高級アルコールとステロールの混合物です。
【注】参考サイト:化粧成分オンライン/ラノリンの基本情報・配合目的・安全性

オイルスクワラン(動物性スクワラン)
調べているうちに、私が一番問題があると思った動物由来成分です。
スクワランは、「スクワレン」に水素を加えて生成された成分のこと。その「スクワレン」は、深海鮫が過酷な環境で生き抜くために体重の25%もある巨大な肝臓で作り出す肝油(不飽和脂肪酸の一種)から採取されます注。
【注】参考サイト:株式会社SUNAO製薬/スクワレン
この「スクワレン」は、免疫反応を強めてワクチンの効果を高める「アジュバント」(抗原性補強剤)としても使われるもので、コロナ禍に大量消費されたことで、保護活動家たちに注目されました。
世界全体では、密漁も合わせると毎年数千万頭のサメが捕獲、取引されている。大半は肉やヒレが目的だが、スクアレンが目的で捕獲されるサメも300万頭以上にのぼる。1トンのスクアレンを抽出するには、2500頭から3000頭のサメの肝臓が必要だ。
ただでさえ、サメの種の3分の1は絶滅の危機にひんしており、保護活動家たちは、ワクチンに使われるスクアレンの需要が高まることを危惧している。
「サメなどの有限な自然資源では、まかないきれない需要です」と話すのは、米カリフォルニア州を本拠地とする非営利保護団体「シャーク・アリーズ」の創設者兼事務局長のステファニー・ブレンドル氏だ。
ただし、スクアレンのうち、ワクチンに使われるのはわずか1%にすぎない。用途の大半は、日焼け止め、肌用クリーム、保湿剤などの化粧品だ。それでも、世界の人口が増えているため、ワクチンに使用される量は増える一方だ。しかも、医学の専門家によれば、新型コロナウイルス感染症のワクチンは1度接種すれば終わりではなく、複数回の接種が必要になる可能性もある。
日本経済新聞NIKKEI STYLE/サメの絶滅を加速? コロナワクチンで狙われる肝油(2020年12月14日)
乱暴な言い方をすれば、馬・羊は家畜であり、繁殖方法は確立しています。エミューも、その人工孵化成功率は1/3以下と低いものの、人の手による繁殖や飼育は可能で、最悪の事態=絶滅は防げます。
しかし、深海サメは養殖もできません。捕りすぎればたちまち絶滅してしまう生き物です。
そのようなサメたちを、たかが肌の保湿のために、大量殺戮してよいものでしょうか?サメを殺さなくても植物性の保湿クリーム・保湿オイルはわんさとあるというのに?
たかが保湿のために殺されたのでは、まさにサメたちも「救ワレン」です。使用するのは止めましょう!
幸いなことに、サトウキビやオリーブ由来の「植物性スクワラン」というものもあります。保湿化粧品を購入するときは、裏書きをよく読んで、「植物性スクワラン」であることを確認して下さい。

アカシュモクザメ(Sphyrna lewini、絶滅危惧種)は主に浅海や外洋の表層に生息するサメだが、狩りのために水深800メートル以上の深海へ繰り返し潜水することが知られている。
はちみつ、みつろう(蜜蝋)
ミツロウは、ミツバチが巣を作るために分泌する天然のロウ(ワックス)です。ミツロウの主成分はロウエステル(ワックスエステル)と呼ばれるもので、飽和脂肪酸であるパルミチン酸や高級アルコールであるミリシルアルコールなどが含まれます。保湿効果や抗菌・防水作用があるとされており、ハンドクリームなどの化粧品のほか、家具や床用のワックス、革製品のメンテナンス、ろうそく、クレヨンの材料、エコラップにまで、幅広く使われています。
【参考サイト】はちみつ専門店秋田屋/蜜蝋(ミツロウ)とは?、ほか

シルク、セリシン
カイコ蛾の幼虫、カイコが作る繭がシルク(絹)の原材料であることは、日本人なら誰でも知っていることです。カイコが繭を作るときに口から出す糸にはセリシンとフィブロインという2種類の液体タンパク質が含まれています。人の肌(角質層)と非常に近いアミノ酸組成を持つため親和性が高く、優れた保湿効果、紫外線防止効果、そしてなめらかな使用感を与える美容成分としてスキンケアやメイクアップに広く活用されているとのことです。
【参考サイト】シルクの化粧品 上智製薬/シルクの効果、ISILK Co.Ltd./シルクの化粧品効果を徹底解説|フィブロイン・セリシンの保湿・UVケア・エイジングケア成分としての可能性 最終更新日:2026.03.8、ほか

ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、「N-アセチルグルコサミン」と「グルクロン酸」という2種類の糖が交互に結びついてできたムコ多糖類(糖の一種)です。もともと人間の体内(皮膚、関節、目など)に広く存在している物質で、保水力の高さが特徴です。動物由来と微生物発酵由来とがあります。
【動物由来】
鶏のトサカ、牛の目、サメの軟骨や皮などから抽出・精製されます。最初は医薬品として利用されていましたが、その保湿効果のため、スキンケア化粧品にも配合されるようになりました。現在は微生物発酵由来のヒアルロン酸が主流となりつつも、今なお一定の需要があるようです。
【微生物発酵由来】
安全性と品質の観点から、現在は細菌(主に乳酸菌や連鎖球菌)の培養・発酵技術を用いて作られるのが一般的となっています。
【参考サイト】ファーマテック株式会社/ヒアルロン酸の原料って?特徴や抽出・製造方法などを解説 2025.03.14、ほか

コチニール色素(カルミン酸)
コチニール色素(カルミン酸)は、サボテンに寄生するエンジムシ(カイガラムシの一種)から抽出される天然の赤色着色料。熱や光に非常に強いため、お菓子、清涼飲料水、ハムなどの食品から、口紅などの化粧品に至るまで幅広く使用されています。

動物実験をしていないコスメメーカー
どのメーカーが動物実験をしていないかをご確認されたい場合は、こちらの小冊子をおすすめします。残念ながら今の日本市場では、動物由来成分不使用の化粧品類だけを選ぶのは非常に困難です。せめて動物実験をしていないメーカーの製品を選ぶことからはじめてください。それだけでも多くの動物たちが救われます。
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