日本だけでは3000万人余の食料しかとれない!?

農家は時給10円の衝撃
森永卓郎氏が若くして亡くなりました(67歳)。ご冥福をお祈り申しあげます。
私は別に森永氏のファンとかではありませんし、著作も読んだことありません(ごめんなさい)。ただ、最近見た記事で「そうだ」と思ったのがありました。
文化放送『大竹まこと「時給10円で働く人間はいません!」米価高騰と米農家の現状』の記事です。
森永卓郎氏「欧米が何をやっているかというと、農業者戸別所得補償制度といって、農家の経営を補助金で支えるわけですよ。ヨーロッパだと7〜8割補助金という国もあるんですね。そこで安く作ると沢山できるわけです。普段何をしているかというと、それを輸出するか、家畜に食わせているわけです。有事のときはそれをやめて、国民が食べる、それが食料安全保証なんですよね。ところが日本の場合は民主党政権のときに一瞬やったんですけどすぐ辞めちゃって。日本ほど農家に補助金を出していない国は先進国にはないんです。だから時給10円になっちゃうんですよ。減反には補助金を出すけれども、生産には補助金を出さない。」
大竹「日本人は米を食べなくなっている、なんてことが言われたじゃないですか。すぐに転換は無理だけど米を作って、少し経ったら麦を作ったりそういうふうにやり方を変えていっても良かったんじゃないかなと思うけど、一切そんなことをしないで減反政策を続けてきたと」
大竹「いざというときのために自給率をちゃんと保っておかないといけないという」
森永氏「そうそう、日本だけですよ38パーセントなんていう自給率の国は」
(https://www.joqr.co.jp/qr/article/142351/)
お米の高値は続いていて、政府もさすがに対策を打ち出したようですが、まさに目先だけの小手先対処、あんなことでは根本的解決にはほど遠い気がします。さらに卵も高値、キャベツや白菜も高値。日本の食料全体が値上がり続出で、「総務省の家計調査によると、2024年の家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28.3%」と43年ぶりの高水準になったとか。

日本国内だけでは3000万人くらいしか養えない
ここでもし、日本が食料をまったく輸入できなくなってしまったらどうなるか、考えてみます。
あり得ない話ではありません。なんせ世界中がキナ臭くなってきた今日この頃です。C大国や、すでに戦争中の大国や、やたらとミサイルを飛ばす小国や、自国ファーストな大統領に囲まれているのですもの。
そしてなにより、気象変動。地球沸騰化といわれるほどの異常気象。輸入したくてもそもそも食料が無い、ということだってあり得ます。
2024年は、観測史上、もっとも暑い一年となりました。その2024年、うちの自然栽培な畑は、一部の作物を除いて、かつてない不作でした。ナス・トマト・豆類・ゴーヤ・オクラ・つるむらさき等、の夏野菜が育たなかったのです。トマトはともかく、ゴーヤやつるむらさきなど、めちゃ暑さに強いイメージがあったのに。
気候変動が進めば、全世界的に大不作となる可能性だって無くはありません。無いものは、いくらお金を積んでも売ってくれませんよね。
もし、食料がまったく、あるいは、ほとんど輸入できなくなった場合。
日本国内で作れるものだけで日本の全人口を養わないとならなくなります。それは可能でしょうか?

ちょっと昔の記事ですが、以下、イーズ未来共創フォーラム「日本は何人養える?」(2004.6.17)より。
江戸時代は山林の下草から糞尿まで、リサイクルを徹底していました。それでも3,000万人以上は養えず、5年に一度くらいの頻度で、飢饉があったようです。 3,000万人分以上の食糧をまかなうだけの有機質肥料は、日本の国土だけでは無理でしょう。
Q9. 一人あたりの食糧を作るのに必要な耕地面積はどれくらいですか?
A9. 日本人の今の食生活を維持するには、1400m2(1.4反)必要です。明治末期の食生活なら、600m2(0.6反)です(農林水産省「食料需給表」)。現在の日本の耕地面積から計算すると、現在の食生活で3,400万人分、明治末期の食生活で8,000万人弱になります。過去最大だった600万ヘクタールで計算しても、それぞれ4,300万人と1億人です。現在の日本の人口は1億2千万人ですから、明治の食生活に戻っても、まだ足りません。
A11. 農水省が1998年に出したシミュレートでは、そうした試算が出ています。減反したところも耕す、新しい耕作地も開拓する、お米にこだわらず、ジャガイモやサツマイモといった生産性の高い作物の方が適している耕作地ではそれを育て、お米の品種もコシヒカリではなくもっと多収の品種に切り替える、そうしたあらゆる最善の方策を採ったとして、8,000万人分の食糧の生産力しか国内にはないようです(国民一人あたり1,760キロカロリー、必要なカロリーの3 分の2)。
(https://www.es-inc.jp/library/mailnews/2005/libnews_id001735.html)
日本は、各種肥料も、家畜飼料も、さらに多くの野菜の種までも、輸入に頼っています。上記引用によれば、日本国内の有機肥料だけでは3000万人分の食料しかまかなえないとのこと。実際、食料が輸入できない状況であれば、化石燃料の輸入も困難な状況でしょうし、となればハウス栽培は全滅、水やりも燃料節約でもっぱら人力、堆肥を運ぶのも多くが人力、つまり江戸時代に逆戻り?であれば納得できる数字です。どうあがいても、1億2,340万人(2023年)は養えません。
そして、家畜飼料にいたっては。
「日本の畜産業界は海外からの餌が止まると、数か月後にはほとんどの家畜が餓死してしまいかねないぐらい厳しい状況」。「畜産王国」と呼ばれる南九州の一角、宮崎県にある宮崎大の川島知之教授(家畜栄養・飼料学)はこう強調する。
農水省によると、濃厚飼料(配合飼料含む)は、飼料供給量全体の8割を占め、養豚と養鶏では10割、肉用牛の肥育では、約9割に上る。だが、濃厚飼料の自給率は10%強にすぎない。飼料全体の自給率も25%にとどまっている。
※太字nekohon
読売新聞オンライン『「この畜産飼料は100%海外産」極端な輸入依存…広がる危機感、見えない脱却への道』2023/07/28付

まあ、和牛ステーキなんてものはもちろん、卵だって食べられない生活になりますね。実際、昔は卵といえば貴重な病人食だったのですから。
山の多い日本の国土は、耕地面積を増やすといっても限界があります。そしてそれは、「世界についても同じ」です。
現在、世界の耕地面積は、地球の土地面積の約38%にもなっているそうですけれど、これ、もう限界に近づいています。
2019年の世界の農地面積は1,244 Mhaで、55 %がユーラシア大陸、17 %がアフリカ、16 %が北中米、9 %が南米、3 %がオーストラリアとニュージーランドと推定しています。また、21世紀の最初の20年間で、世界の農地面積は102 Mha増加しました。これは2003年の農地面積の9 %に相当し、主にアフリカと南米での農業拡大が原因とのことです。世界の農地拡大は過去20年間に加速しており、特にアフリカでは年間の拡大率が2倍近くになっています。新しくできた農地面積の半分(49 %)は自然の植生や樹木からで、森林減少と自然生息地の劣化を阻止するというSDGs目標15(陸の豊かさも守ろう)との矛盾を示しています。
農業は土地利用変化の最大の要因であり、かつ生物多様性喪失の最大の原因でもあります。(JIRCAS国際農研「農地面積は21世紀に加速度的に拡大」)

週末時計は残り89秒
人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」が、2025年、過去最短の「89秒」になったと、各メディアが報じました。この時計を少しでも遅らせるためには、農地をこれ以上増やさないようにすることも、重要課題のひとつだと思います。
それには、まず、私たちの日々の食生活を見直すことからはじめること。具体的にはどうすれば?
「穀物→家畜肉→人間」の間接流を、少しでも「穀物→人間」の直流に変える!
これだけで、大きく農地を削減することができます。
ヴィーガン的食生活は、動物由来食品を多くとる生活にくらべ、地球環境に与える悪影響はわずか1/4で済むそうです。(ref:YaleEnvironment360 “Vegan Diets Have One-Fourth the Climate Impact of Meat-Heavy Diets, Study Finds“, July 21, 2023)

【植物由来の食事のメリット】
- 植物ベースの食事は農業に必要な土地の量を減らすことができます。
- 灌漑、家畜への給水、動物への飲料水の供給に使用される水の量を削減できます。
- 食品の生産に使用されるエネルギーの量を削減できます。
- 食料生産に伴う温室効果ガスの排出を削減できます。
- 水路を汚染し、大気汚染の一因となる畜産業で発生する廃棄物の量を減らすことができます。
- 植物ベースの食生活は動物性食品の需要を減らすことができ、森林の保全に役立ちます。
- 工場畜産は動物たちに大変な苦痛を与えます。植物ベースの食生活は動物たちの苦しみを大きく減少させる一番の早道です。

レッツ「ミートフリーマンデー」!
でも、多くの日本人にとって、いきなりすべての食事を植物ベース食にかえることは困難かもしれません。子供の頃から繰り返し、「「肉・魚・卵・乳製品は積極的に食べましょう」と言われて育った方が多いでしょうから。
私自身「お肉だけは食べなさい」が口癖な親に育てられました。彼女が作る食事には毎回かならず何かの肉がはいっていました。育ってからは、給食にもいつも肉がはいっていました。社食にもはいっていました。現在スーパーで売られている実に多くの加工食品に動物性のものが使われています。
そんな中、いますぐ植物食「だけ」にするのは、現実問題としてあまり簡単なことではないことくらい、私にも理解できます。私自身、スーパーで食品を手にとるたびに原材料欄をチェックしていますが、正直面倒に感じることもあります(老眼だし(;^_^A)。忙しい日本人全員にそれを毎回しろというのは難しいことはわかります。
でもでも!最初から100%なんて目指さなくて良いのです。完璧でなくても、ぜんぜん問題ない。
大切なのは「減らしていこう」という姿勢だと私は思います。
それには、まず「ミートフリーマンデー」。
週に一日だけ、植物ベース食だけにしましょうよ、という運動です。これなら誰だって簡単にできますよね。週に一日、お豆腐大活躍デーにして、おやつはナッツや豆菓子にする。それだけのことですもの。😊
しかも、そのほうが、体にも地球にも、ついでにお財布にもやさしいと来るのですから♡
Meat Free Monday ポール・マッカート ニーインタビュー/Interview with Paul McCartney: Short version
世の中の活動家さんの中には「いますぐ完全植物食にしろ」という方が少なからずいらっしゃることは知っています。そういう活動家さんたちからみたら、私のいっていることなんて「甘過ぎ!」となるでしょう。
でも、私はもう少しリアリストといいますか、計算高いというべきか。
夢見る夢子ちゃんでいくら理想論をふりかざしても、誰も同意してくれないのでは、動物たちも地球も永久に助かりません。少しでも改善したいなら、1頭でも苦しむ動物を減らしたいのなら、まずはミートフリーマンデーがよい入り口だと思うのです。
皆様もリアリスティックに考えてみてください。
●10人の仲間のうち、1人だけ完璧なヴィーガンで居続けることと、
●10人の仲間とミートフリーマンデーをやってみること。
どちらがよりエネルギーを必要とすると思いますか?私は断然、前者だと思います。

誰かを完璧に変身させるのは非常に困難です。あのイエス・キリストだって、あのユダを改心させることはできなかった。3年間も生活を共にしていたというのに。まして、赤の他人が、ネットで少々書いた程度で、誰かをいきなり “完璧に” 転向させてしまうなんて、少なくとも私の力では、まず無理。そこまで自惚れていません。
だけど、ミートフリーマンデー程度ならできますよね?簡単ですもの。
しかも、1人の完璧ヴィーガンより、10人のミートフリーマンデーのほうが、全体でみれば効果は高い計算になります。10人の中に1人だけ完璧ヴィーガンがいたとして、その非肉食日は7日分/週にすぎませんが、10人全員がミートフリーマンデー派の非肉食日は10日分/週になります。こっちのほうが効果的じゃないでしょうか。
皆様もどうか考えてみてください。まずは週一日。我らの地球を守るために、また、動物たちのためにも。

😺もちろん、ヴィーガンになれる方は是非なってくださいね!週一なんていわずに、毎日365日「動物をいじめない、地球に優しい生活」を!🐾🐾