金魚たちの悲劇

金魚が日本にはいったのは西暦1500年代。最初は貴族たちの高価なペットでしたが、江戸時代になると飼育方法も確立され、庶民にも広がりました。

金魚すくい=動物虐待

お祭りの定番、金魚すくい。江戸時代に始まったそうです。

金魚すくいとは、多数の金魚たちを、逃げ場も身を隠す場所もなにもないところにとじこめて、子供たちがキャーキャー騒ぎながら金魚たちを追い回すもの。金魚によっては、何回も救い上げられては「あーあ、落としちゃった」が繰り返されます。それが何時間も続きます。時には、お祭りの開催期間中、何日も。人間は、金魚をすくいあげることに夢中で、そこには手加減も優しさの欠けらもありません。

それが金魚すくい。

金魚は、その後、小さなビニール袋に入れらて客に渡されます。しかし、金魚のために、その後急いで帰宅する人はほぼいません。そのまま、祭りの間中ふりまわされて運ばれます。小さな袋の中は水も少なく、酸素も少なく、苦しくて、ゆらゆら揺れっぱなしで、怖くて・・・

家に着いたときには金魚は死んでいた、なんてことも珍しくありません。

ひどい人になりますと、その辺の木の枝等にそのままひっかけて置いて行ったり。通りかかった川や池、はてはドブ等に「放す」とほざいて捨ててしまったり。ビニール袋が破れることもあります。しかし子供たちは地面に落ちた金魚を見て「あーあ」というだけ。大人は「しかたないよ」とか言いながら、人目につかない草むらの中に生きた金魚を投げ入れて「つぎは、綿あめ買おうか」。

実際、SNS上では

  • ゴミ捨て場にぶら下げてあった
  • 祭りの後は川にたくさんの金魚たちが泳いでいる
  • 地面に踏まれてぺちゃんこになった金魚が
  • トイレに流した(!)

なんて投稿が見られます。

そして、家につくまで無事であったとしても。

その家がちゃんと面倒を見て、一生不自由なくかわいがってくれるならよいのです。けれど、金魚すくいの金魚って、たいていは飼う予定もなくノリで連れて帰っただけの存在。金魚のための環境を万全に整えてからお祭りに出かけますなんて人はどのくらいいますか?ほとんどいないでしょう。とりあえずバケツにでも入れておくか、なんて人が多いのではないですか?

世の中、夏の風物詩なんていくらでもあります。

「金魚すくい」なんて、もうやめましょうよ!

金魚すくいをやる人がいなくなれば、儲からなくなります。金魚すくいが儲からないとわかれば、業者もすぐに他のイベントにシフトします。

金魚すくいの金魚をふりまわす子供たち

金魚すくいの金魚たちはどこから来たの?

金魚すくいの金魚たちは「小赤」とか「和金」とよばれる子たち。と、ここまでは知っていました。小赤と和金って違うの?

調べましたところ、小赤や姉金、大姉といった名前で販売されている金魚たちは、皆「和金」なのだそうです。想定通り、大きさで呼び分けているだけでした。

そして、小赤の正体は、かなしいかな観賞用金魚になれなかった子たちだとか。観賞用の金魚になれるのは、実に数百頭に1頭くらいの超エリートだけ。その選ばれし者以外は全員、言葉は悪いですが「規格外金魚」。そして、その子たちは「エサ金」として、鑑賞魚の餌用等になってしまうのだそうです。

そのエサ金を、イベントの直前に地元業者から安く買ってきて、金魚すくいに使っているわけです。そしてイベントが終われば処分してしまう。活かして置く手間や、次の場所まで水ごと重い水槽を運ぶ労力を考えれば、毎回買った方が簡単だからだそうです。金魚すくい業者にとって、小赤たちはあくまで、その場限りの消耗品ってわけです。

狭い場所に大量にいれられ追いかけまわされる金魚たち

金魚すくいの金魚たちはなぜすぐ死んじゃうの?

本来、和金は丈夫で育てやすい金魚たちです。その寿命は平均5~10年、上手に飼育すれば10年以上も生きられます。大きさは、平均10cmくらいですが、栄養や飼育環境の工夫で最大30cm近くまで育てることも可能だとか。

でも、金魚すくいで連れ帰った金魚たちって、すぐ死んでしまうことが多いですよね。中には家に着く前に死んでしまうことも。

ある熱帯魚店の、こんな話があります。その熱帯魚店は、金魚すくい用の小赤の予約注文がはいると、飼育セットもそろえるそうです。金魚を連れ帰った人たちが買いに来るから。さらに初心者用鑑賞魚もそろえるそうです。金魚が死んでしまい、せっかく買った水槽を空っぽのまま置きたくない人が、つぎは観賞魚を買いに来るから。

なぜ丈夫なはずの和金がすぐ死んでしまうのでしょうか?

その理由は簡単。金魚すくい環境があまりにストレスフル、過酷だからです。

【金魚すくい金魚がうけるストレス】

  • それまでの飼育方法によるストレス
  • 輸送・移動ストレス
  • 環境変化・水質ストレス
  • 過密ストレス
  • 追いまわされるストレス
  • 袋詰めストレス
  • 新環境のストレス
  • 不適切飼育のストレス

それまでの飼育方法によるストレス
もともと、エサ金として廉価で多売される金魚たちです。丁寧に飼育されるわけありません。

輸送・移動ストレス
まず、金魚たちは数日前から絶食させられるそうです。輸送は袋詰めで行われますが、小さな袋の中で大量の排泄物をだしたら水はたちまち不衛生になり、赤ちゃん金魚は全滅してしまうからだそうです。袋詰めにされた金魚たちは通常、問屋→小売り店→金魚すくい会場へと運ばれるわけですが、そうでなくとも何も食べていない金魚たち、不安と恐怖で、ますます衰弱していきます。金魚すくい会場についたころは、すでにぐったりです。

環境変化・水質ストレス
さて、金魚すくい会場に到着しました。赤ちゃん金魚は急激な水温変化に非常に敏感で、1℃違うだけでもストレスとなるとか。しかし業者としては縁日の間だけ金魚がもてばよいのですから、丁寧な水つくり・水慣らしをしてくれるなんて期待できないでしょう。隠れ場所ひとつないコンテナ等にどさっと入れられることになります。

過密ストレス
金魚の数が少ないと、金魚すくいの難度があがりますから、業者はめいっぱい金魚をいれます。数百匹単位です。なのに、酸素補給といえばコンテナの端にブクブクがひとつある程度。これでは圧倒的に酸素が足りないそうです。水面で口をパクパクさせている金魚が多いわけです。

追いまわされるストレス
小赤たちは、まだ赤ちゃんなのです。人間の幼児がライオンの群れの中にいれられ、追いかけまわされていると想像してください。どれほどの恐怖でしょうか。

袋詰めのストレス
掬われた金魚は、小さな袋にいれられ、客に渡されます。その袋にはいる水は150~250ccくらいで、ぜんぜん足りません。本当なら1頭につき2リットルは必要だそうです。当然、金魚は酸欠に苦しむことになります。また小さな袋では水温も変化しやすく、ストレスとなります。しかも、家に着くまで、ゆらゆら、ゆらゆら、揺られっぱなし。魚はいわゆる「乗り物酔い」はしないそうですが、振り回されて嬉しいはずはありませんよね。

新環境のストレス
連れて帰られた家が金魚ベテランさんなら超ラッキーですが、金魚ベテランが金魚すくいなんて娯楽をするでしょうか?子供にせがまれて、という家庭が多いのではないでしょうか。

すると金魚は、バケツやプラケース等に”とりあえず”いれられことになります。適切な水の用意もできていないことが多いでしょう。水道水を使うご家庭が多いと思いますが、ご存じの通り、消毒のために入れられているカルキは金魚にとっては猛毒となります。必ずカルキ抜きをしてから金魚を投入しなければなりません。

カルキ抜きの方法は以下のいずれか。
●市販のカルキ抜きを使う
●汲み置きして1~2日太陽の光に当てる

縁日は夕方から開催が多いです。祭りのノリで買ってきただけの金魚、汲み置き水なんてないでしょうし、遅い時間にカルキ抜きを買えるのかどうか、不安・・・

不適切飼育のストレス
上記の通り、赤ちゃん金魚は水温の急激な変化にはとても弱い生き物。まず、適切な水に袋ごと30分ほどつけて、水温を同じにする必要があります。それから水槽の水と袋の水を少しずつ混ぜいれて、水質の変化に慣らします。そこでやっと水槽に自由に放てるのです。どれほど疲れて帰ったとしても、それは絶対にしてあげてください。

また、連れて帰ったばかりの金魚は弱っていますから、いきなり大量の餌をいれてはいけません。「おなかが空いているだろう」とやりがちなことですよね?でも、逆効果なんです。衰弱した病人にはお粥を少しずつゆっくりと、これは金魚でも同じです。金魚すくいで連れ帰った金魚に直後におなか一杯食べさせると「消化不良で確実に死んでしまう」とするプロもいます。餌が腐敗すると水質汚染にもなります。最初の晩は何も食べさせないほうが良いです。

その後、金魚の体調をよく観察しながら、最短でも翌日以降から、日数をかけてゆっくり通常量まで増やしてください。水槽の底でじっとしているときは極限状態にまで弱っています。そんなときは無理に食べさせるより、そっと見守って、体力回復を祈ってください。

金魚すくいの金魚は、お祭りの景品のひとつにすぎない・・・

売れ残った金魚たちはどうなる?

きんぎょりうむ]の記事『金魚すくいであまった金魚はどうなるの?』という記事がとても参考になりました。著者の「せいじ」氏は、「金魚の飼育を10年以上しており、金魚のふるさと奈良県大和郡山市より金魚マイスターの認定を受けて」いる方で、かつ、「全国金魚すくい選手権20位」という成績の持ち主だそうです。

せいじ氏によりますと、売れ残った金魚たちの運命は、

金魚すくい業者によります。

良いパターン
1、ペットショップなどで大型魚の餌として売られる。
2、麻酔薬で殺処分する。
3、他の河川に繋がっていない人工的な池に放す。(許可)
4、ネットオークションなどで売る。

悪いパターン
・川に流す(自然の生態系を壊し、生息していた鮒の遺伝子を汚染するため)一番最悪です。金魚は人間の作り出した「人工物」ですから。自然に放しては金魚も、鮒も迷惑です。
・下水に流す(下水道の中で様々な病気を発症し、苦しみながら死ぬため)

やむを得ない場合
・生ごみとして捨てる(金魚にはかわいそうですが、悪いパターンよりずっとマシです)

『金魚すくいであまった金魚はどうなるの?』

それぞれのパターンがなぜ良いのか、あるいは悪いのかは、元記事『金魚すくいであまった金魚はどうなるの?』まで飛んでお読みください。

上記のほか、「小学校等に寄贈する」「イベント終了後に無料配布する」などのパターンもあるそうです。

が、いずれにせよ、「ペット用として売られる」というパターンは無いことにご注目ください。つまり、ペットとして売るにはあまりに弱ってしまっているということです。ペットショップとしても、買った金魚がすぐ死んでしまったら客に文句をいわれますよね。だから決して引き取らない。

金魚すくいの小赤たち。繰り返しますが、まだ赤ちゃんたちです。運よく良い客に当たれば本来の寿命を全うできるかもしれません。が、小赤たちの多くは、ストレスですぐ死んでしまったり、売れ残って最悪下水に流されたりしてしまったり。私は、どう考えても金魚すくい=金魚虐待と思います。もともとエサ金なんだから死なせてもかまわないというのは、あまりに非人道的な言い訳(暴言)にすぎません。

隠れ場も逃げ場もありませn

法律上は虐待になるか?

シェアしたくなる法律相談所]の記事『夏の風物詩「金魚すくい」が動物虐待にならない理由』(2015年8月5日 小野 智彦、他)によりますと、

(前略)動物愛護法には、虐待に当たるかどうかの前に、同法の客体である「愛護動物」に当たるかどうかのについての定義規定があります。

ここには、「牛、馬、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」そして「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」と規定があります。

そして、適用されないものとして「人が占有している動物であっても両生類以下の脊椎動物並びに無脊椎動物」が挙げられています。

金魚は、「両生類以下の脊椎動物並びに無脊椎動物」ということになりますので、同法の客体である「愛護動物」には当たらないということになります。

『夏の風物詩「金魚すくい」が動物虐待にならない理由』(2015年8月5日 小野 智彦、他)

上記の弁護士は、日本の法律上、金魚すくいは動物虐待ではないと答えています。

差は微妙ながら、いちおう別の見解もあります。[Shippo]という犬猫サイトでは、『金魚すくいの金魚は、動物愛護法で守られているの?』の記事でこのように答えています。

(前略)

結論から言いますと、ペットの魚類は法律で十分には守られていません。

 もう少し正確にいうと、動物愛護法の基本原則をはじめ、スローガンの部分では、特に限定せず「動物」が対象とされており、ここには魚類も含まれていると考えてよいでしょう。ただ、みだりな殺傷や遺棄が禁止される「愛護動物」や、商売を始めるときに都道府県への登録が必要となる「動物取扱業」は、「哺乳類、鳥類、爬虫類」のみを対象としています。両生類や魚類も哺乳類などと同じ脊椎動物ではあるものの、こうした具体的な規制になると、その対象には含まれていないのです。

 つまり、魚類を想定した実効性のある条文が今の動物愛護法にはないため、たとえば金魚すくいの金魚は、法律で守られてはいません。法律ではなく、関係者のモラルや過去の経験などによって守られ、ときに守られなかったりするというのが現状だろうと思います。

(後略)

金魚すくいの金魚は、動物愛護法で守られているの?』細川敦史 2015/07/01 (最終更新:2018/05/25)

しかし判例を見る限り、魚類が動物愛護法に守られているとはまったく思えないんですよね。守られているハズの犬猫でさえ、警察の動きはにぶい限り。まして金魚にいたっては・・・涙

私にはどうも[Shippo]は犬猫愛好家のためのサイトであることから、訪問者の心情を考慮し、動物たちに寄り添った回答をあえて選んだとしか思えないのです。残念ではありますが。

なお、「両生類以下の脊椎動物」という言い方は非常に失礼だと思います。「以下」ではまるで両生類や魚類が哺乳類・鳥類・爬虫類の下位に位置する劣った生物みたいに聞こえるじゃありませんか。「上記以外の脊椎動物」とでも書くべきでしょう。

両生類や魚類が、哺乳類・鳥類・爬虫類より生物として劣るなんて断じてありません。哺乳類に分類される我々ホモ・サピエンスも、金魚の原型フナも、両生類のアカハライモリも、生物としてのすばらしさはまったく平等だと私は考えます。たとえばサメ達は、一般認識では魚類の仲間ですが、ホモ・サピエンスよりはるか太古から存在し、ニシオンデンザメにいたっては寿命は400年にもなります。両生類のアカハライモリは脅威の再生能力を有し、しっぽだけでなく、四肢のどれを切られても、眼球を摘出されても、立派に再生させることができます※注。どれもホモ・サピエンスにはまねたくてもできない能力です。

※注:しかし再生には1か月以上~数か月という長い時間が必要です。再生するからと言って、絶対に悪戯で切断しないでください。アカハライモリにとってもそれは激痛ですし、足を一本なくせば野性で生きていく上では大変な不利となります。それは人間が、いくら精巧な義足が買えるとしても、足を一本なくせば不自由になるのと同じです。

動物虐待行事は止めよう

金魚すくいだけではありません。ほかにも、ぜひ考え直していただきたい「お祭りイベント」がいくつもあります。

たとえば、屋台で売られる虫たち。

クワガタやカブトムシを、体がやっとはいくらいの小さなプラスチックカップに閉じ込めて、正しい飼い方も知らないような親子連れに売るのはやめてほしいです。クワガタやカブトムシに会いたかったら、夜、蚊やムカデに脅かされながら、懐中電灯の光を頼りに、真っ暗な林の中を探し歩いてください。そうやって出会えたクワガタであれば、プラカップの百万倍もの感動があるはずです。

コオロギやスズムシも同じです。虫の音というものは、自然な草原から聞こえてくるから、あんなに美しいのです。マンションの一室、人工的な光の下で、屋台で買ったスズムシが鳴いていたって、全然美しくありません。

草原、満月、秋の虫たちのイラスト

さらに、・・・日本には非常に残酷なお祭りもあります。

カエルを生きたまま串刺しにしたり、アヒルを追い回したり、草原でうさぎを棒で突きまわしたり、鯉に酒を無理矢理飲ませたり、馬を虐待・酷使したり、etc.。

それら動物虐待をともなう「伝統行事」が批判されると、必ず、「伝統は大事、守っていかなければいけない」という人たちが現れます。

はい、仰る通り、伝統は大事です。ぜひ守っていきたいものです。

ところで。

そのような「伝統守れ派」の皆様、いうまでもないと思いますが、まさか洋装なんてしていらっしゃいませんよね?毎日、着物や羽織袴をお召しになっているんですよね。それとも直衣直垂?十二単?なんたってそれらこそ日本の伝統衣装なんですもの。

頭ももちろん、男性なら月代を剃ってちょんまげですよね。女性なら島田?丸髷?それとも奥ゆかしくも、烏帽子やおすべらかしでしょうか?

そして食事も、伝統的な和食のみで暮らしていらっしゃるのでしょう。ステーキとかパスタとか、ハンバーガーとかコーラとか、そんな非伝統的な物は決してお召し上がりにならないのでしょう。

洋服を着たり、髪を結わなかったり、ハンバーグを食べていたりしている人が、「伝統」をかさに「娯楽のための動物虐待を肯定」しているのだとしたら、ご都合主義も良いところ、茶番劇です。

守るべき「伝統」とは、その本来の精神とか、祈りとか、感謝の気持ちとかではないでしょうか?

五穀豊穣を祈願し占う行事であれば、馬を虐待するより、参加者全員で田圃の一枚でも耕作したらよいです。その方が確実に「実り」は増えます。今の時代、そこら中に耕作放棄地があるでしょ?簡単にできるはず。

神を敬い御加護を祈る行事であれば、困った人を助ける活動、なかでも誰もが敬遠するような、もっとも大変で辛いボランティアに積極的に取り組めばよいです。
その方が神様もご先祖様もお喜びになるでしょう。

「盛り上がり」がほしいなら、人間同士の競技・競争を行えば、ものすごく盛り上がります。人は「動物相手」より「人相手」のほうが断然興奮する、これは生き物の宿命として、そうできているんです。たかがボールを追い回すだけのサッカーに、どれほど世界中が興奮するか!

神仏に名を借りた残虐行為は即刻中止してください。
神社やお寺の境内で、金魚・虫たち他を虐待するような催しもしないでください。

なお、祭礼など伝統行事で犠牲・虐待される動物たちについては、法律上の問題もあります。日本の法律は、そういうことを禁じるどころか、堂々と許可しているのです。つまり、伝統的な祭礼行事等に用いるためであれば、関係者は野生動物を最大30日にわたって捕獲・監禁しても良いし、行事で殺しても良い。そんな法律が令和になっても改正されずそのまま適応されているのです(法令文はページ下参照)。

ヨーヨー釣りで十分に楽しい

法改正を求めます

現在、日本において、(人以外の)動物を守る法律として「動物愛護法」や「鳥獣保護管理法」があります。が、残念ながら、金魚はどちらの法律でも対象外となっています。ほかに生き物に関する法律として、「外来生物法」「種の保存法」「生物多様性基本法」「家畜伝染病予防法」他もありますけれど、どれも金魚にはあてはまりません。また「漁業法」が保護しているのは漁業者つまり人間であって、こちらも金魚は対象外です(*印は下の法令文参照)。

つまり、明確に金魚を守ってくれる法律は日本に存在しないとみなすしかないようです(2024年9月10日現在)。

金魚は、西暦1500年の昔から、日本人の大切なペットとして愛されてきた存在でした。現在もその人気は衰えていません。

「動物愛護法」に、魚類や両生類はもちろん、無脊椎動物をも含む飼育下にあるすべての動物界の生き物たちが含まれるよう、法改正を強く望みます。また、生きた動物を祭礼行事に用いることについては禁止を望みます。

法令文

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)

一般に「動物愛護法」「動物愛護管理法」と略称されている法律です。

第六章 罰則
第四十四条愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
4前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)

一般に「鳥獣保護管理法」と略称される法律です。

(定義等)
第二条この法律において「鳥獣」とは、鳥類又は哺ほ乳類に属する野生動物をいう。

鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針(R03.10告示版)

第四 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項
2-4 その他の特別の事由の場合
(5)伝統的な祭礼行事等に用いる目的
ア 許可対象者
 祭礼行事、伝統的生活様式の継承に係る行為(いずれも、現在まで継続的に実施されてきたものに限る。)の関係者又はこれらの者から依頼を受けた者(登録狩猟や他の目的での捕獲又は採取により、当該行事等の趣旨が達成できる場合を除く。)
イ 鳥獣の種類・数
 伝統的な祭礼行事等に用いる目的を達成するために必要な数(羽、頭又は個)。捕獲し、行事等に用いた後は放鳥獣とする(致死させる事によらなければ行事等の趣旨を達成できないお場合を除く。)
ウ 期間
 三十日以内。
(以下略)

漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)

(定義)
第二条この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう。
2この法律において「漁業者」とは、漁業を営む者をいい、「漁業従事者」とは、漁業者のために水産動植物の採捕又は養殖に従事する者をいう。
3この法律において「水産資源」とは、一定の水面に生息する水産動植物のうち有用なものをいう。
(適用範囲)
第三条公共の用に供しない水面には、別段の規定がある場合を除き、この法律の規定を適用しない。
第四条公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには、この法律を適用する。

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The thinking (person) must oppose all cruel customs, no matter how deeply rooted in tradition and surrounded by a halo. When we have a choice, we must avoid bringing torment and injury into the life of another. - Albert Schweitzer

「考える頭を持つ(人)ならば、どんなに古く、後光に輝く伝統に根ざすものであっても、残酷な習慣には全て反対しなければならない。もし選択可能であれば、他者の生活に苦悩や苦痛を与えることは避けなければならない。」
アルベルト・シュバイツァー博士
(和訳:nekohon)

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