ウサギを実験動物として使うこと

ウサギ、AI画像

 

ウサギは身近で遠い動物

ウサギって、こんなに身近な動物でありながら、その本当の姿はあまり知られていません。

私は過去に計4羽のウサギたちと暮らしました。インターネットなんてなかった時代、飼いはじめは、ウサギ本を片っ端から購入して調べたものです。

 

ウサギの本の数々

 

このように「ペット用ウサギの飼育本」は多いですが、野生ウサギを含む生物学的なウサギ専門書は出版も少なく、私も左下の2冊、マクブライト『ウサギの不思議な生活』川道武男『ウサギがはねてきた道』の2冊しか持っていません。

ウサギって、誰でも知っている、これほど身近な動物でありながら、その実態はろくに知られていない動物なのです。

 

ウサギと猫が仲良く草を食べている
カイウサギ(アナウサギ)のクロちゃんと猫のレオ

 

ウサギの種類を簡単に

川道武男『ウサギがはねてきた道』によれば、ウサギたちは、哺乳綱 Mammalia>兎形目(とけいもく)Lagomorpha(別名ウサギ目)に分類されます。現存するウサギたちはさらに2つの科に分類されます。

  • ウサギ科 Leporidae=ノウサギ属、アナウサギ属、ワタオウサギ属、アマミノクロウサギ属、ブッシュマンウサギ属、アラゲウサギ属、スマトラウサギ属、ウガンダクサウサギ属、アカウサギ属、メキシコウサギ属
  • ナキウサギ科 Ochotonidae=ナキウサギ属

(注:ワタオウサギ属ピグミーウサギは別属に分類されることもある。)

 

日本に生息する野生のウサギは4種類。

  • エゾユキウサギ:Lepus timidus ainu、ウサギ科ノウサギ属。北海道。ユキウサギ亜種。
  • ニホンノウサギ:Lepus brachyurus、ウサギ科ノウサギ属。本州・四国・九州。固有種。
  • アマミノクロウサギ:Pentalagus furnessi、ウサギ科アマミノクロウサギ属。奄美諸島。固有種。
  • エゾナキウサギ:Ochotona hyperborea yesoensis、ナキウサギ科。北海道中央部。キタナキウサギ亜種。

そのほか、一部の諸島等で、ペットのアナウサギが野生化しています。

子ウサギ2羽

 

ペット用ウサギも実験用ウサギも外来種のアナウサギ

ペット用のウサギ(カイウサギ、イエウサギ)も、実験動物に使われるウサギも、原種はアナウサギ(ウサギ科アナウサギ属)です。元々はイベリア半島の地中海沿岸地域に生息していました。それが約2000年かけて、食肉用・毛皮用・愛玩用・観賞用などに品種改良され、全世界に広がりました。

 

以下、「ウサギ」という語はこれらアナウサギを指すものとします

 

ウサギ、Ai画像

ウサギは「逃げる動物」として進化した

草食動物のウサギは多くの肉食動物から狙われる存在です。そんなウサギの生存戦略は「逃げること」と「隠れること」。捕食動物とは闘いません。ウサギの体は、徹底的に、逃げるため、隠れるためだけに特化しました。

 

 

動物愛護活動家たちの話や文章を見ていますと、ウサギを実験に使うことに対し、「ウサギのようなやさしくて可愛い動物を可哀想だ」という感情論ばかりが目立つ気がします。確かに可哀想なんですけれど、「可哀想でしょ!」だけの感情論では少々説得力に乏しいとも感じてしまいます。世の中、動物達に共感できる人ばかりとは限りませんからね(むしろ共感できる人の方が圧倒的に少ない)。また「ウサギには涙管がない」とか「ひとりにしておくと寂しくて死んでしまう」など間違った情報もチラホラみうけられます。

幸い私は、元ウサギ飼いとして、生理学的・解剖学的に、なぜそのような行為や環境がウサギにとって苦痛となるのか、どんな悪影響を身体に与えかねないか等、ふつうの人よりは詳しいです。そこで私なりに「可哀想」の内容を、もう少し科学的に説明してみました。

以下をお読み頂ければ、ウサギを実験動物として使うことが、どのような点で、ウサギにとって苦痛、恐怖、ストレス、さらに病気の元となるか、ご理解頂けると思います。

(これらのウサギ知識は、上に写っているウサギ本の数々、プラス、リンク先の情報を基に書きました。)

《ウサギの骨格》

どのウサギ飼育本にも、「ウサギはやさしく扱いましょう」と書いてありますが、それは何もウサギが臆病な動物だからだけが理由ではありません。簡単に骨折してしまう動物だから、というのもあります。

ウサギの骨は、少しでも速く走れるよう、極限まで軽量化されました。その結果、ウサギの骨は、自分で走ったり跳ねて着地したりしたときの衝撃に耐えられるだけの強度しかない骨格となりました。具体的には、ウサギの骨質は猫の3分の1程度しかなく、特に長骨や腰椎に骨折が多発するそうです(猫では体重の13%に比べ、ウサギでは8%)※1

抱いている腕からウッカリ落としたり、嫌がるウサギを強く抱きしめただけで骨折してしまうこともあります。

動物実験においては、拘束具で固定されたウサギが苦しがって、あるいは嫌がって暴れたら、簡単に骨折してしまうということです。

※1 けい動物医療センター>ウサギの解剖生理

母ウサギと子ウサギ2羽

《ウサギの被毛》

ウサギの毛は抜けやすくて有名です。

西洋人は、本来は換毛する動物だった原種ヒツジを家畜化してし、換毛できないよう「品種改変」してしまいました。その西洋人でさえ、ウサギの毛の抜けやすさは「品種改変」できず、「高級毛皮」として商品化することに失敗しました。

ウサギの毛が抜けやすいのは、逃げるための進化といわれています。ヒトは髪の毛を数すじ捕まれただけで動きが止まり、一つかみも捕まれば引きずられてしまいます。が、ウサギの毛は先っぽを捕まれただけでは抜けて、本体は逃げることが出来るようになっています。

しかし、抜けやすいということは、禿げやすいということにもつながります。

どのウサギ飼育本にも、まともな飼育本であれば、ケージの床は金網は厳禁、木のすのこを使えと書いてあります。ウサギの足には蹄も肉球もありません。足の裏にはふつうに毛が生えているだけです。この足で金網の上にいると、擦れてすぐに毛というクッションが抜けてしまい、皮膚がむき出しになり、飛節びらん(ソアホック)を発症してしまいます。だから固く細い金網ではなく、やわらかくて幅広い木すのこが適しているのです。

また、ウサギに首輪がだめな理由も同じ。ウサギは訓練すればお散歩にいくこともできる動物ですが(「うさんぽ」と愛称されています)、そのときは首輪ではなく、ハーネスを装着させ、散歩から帰ればすぐはずさなければなりません。犬のように首輪をつけっぱなしにすると、禿げてしまいます。

これはウサギを拘束具で長時間拘束すると、禿げて皮膚炎を発症しやすいということにつながります。

《ウサギの皮膚》

ウサギの皮膚※1は薄く柔らかく出来ています。

皮膚は「表皮、真皮、皮下脂肪」の3層、そのうち表皮は通常4層で構成されていて、ヒトの場合、厚みは平均で0.1~0.3mm、部位によっては0.04~1.5mmほどですが※2、ウサギの表皮の厚みは人間表皮の約1/3しかありません※3

このように薄く柔らかいのは、狭い穴の中で動きやすいように、という理由のほか、捕食動物から逃げるため、という理由もあります。皮膚が裂けやすいので、捕食動物の歯や爪が引っかかっても、毛皮や皮膚の一部を残したまま本体は逃げられる、という戦略です。絹ごし豆腐をフォークで刺しても全体を持ち上げられないのと同じですね。いわばトカゲのシッポ切りのようなもの。

しかし、皮膚が薄いと言うことは、刺激に弱く、皮膚トラブルを起こしやすいということでもあります。拘束具で締め付けるだけで、その部分が炎症を起こす場合もあります。

動物実験では、ウサギを何日も拘束したまま、その敏感な皮膚に薬品を塗布して反応を調べるということをします。真偽のほどはわかりませんが、ウサギの毛を剃って皮膚に擦過傷を付けたり、粘着テープで上の層を剥ぎ取った上で薬品を塗るなんてこともするそうです※4。ウサギにとっては地獄でしょう。

 

※1。皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の3つの層から構成されます。

  1. 表皮:物理的刺激から皮膚を守るバリア機能を持ち、細胞の生まれ変わりを行う。「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」の4つの層に分かれる。
  2. 真皮:血管や神経、コラーゲンなどが含まれ、皮膚の強度や弾力性を保つ役割を果たす。
  3. 皮下脂肪:体温の調節やエネルギーの貯蔵を行う。

※2。WHITENING SKINCARE>皮膚の表皮・真皮・角質層の厚さは何ミリ?各部位の厚みと層数まとめ『表皮は複数の構造によって成り立ち、表面側から角質層(かくしつそう)、顆粒層(かりゅうそう、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4つの層で構成されています。それぞれの層の数でいえば、顔の場合では、基底層は1層、有棘層は5~6層、顆粒層は2~3層、角質層が約8~10層くらいだといわれています。』

※3。Research Gate>”STUDY THE HISTOLOGICAL STRUCTURES OF SKIN AFFECTED WITH N-ACETYLCYSTEINE IN THE RABBITS” Hiba M. Abd Alrahmaˡ, Ashraff Waleed Abdulraza, Dhuha Adel Kareem

※4。Wikipediaドレイズ試験『ドレイズ皮膚激性試験では、まず、試験部位の体毛を剃って表皮に擦過傷を負った状態にし、皮膚のいくつかの層を粘着テープで除去する。その上で試験物質を肌に適用し、プラスチックシートの覆いを被せる、という手順で行われる[16]』→ [16]^ Animals in product testing Archived 2006年5月16日, at the Wayback Machine., NAVS, 2009年12月27日にアクセス

 

白いウサギとグレイのウサギ

《ウサギの眼》

元来、ウサギは主に朝夕の薄明薄暮時に活動し、日中や真夜中は穴の中に隠れてすごす動物でした。ウサギの眼はヒトの8倍も光に敏感といわれています。ウサギの網膜には、光を感じる「桿体細胞」が人間の約2倍あり、少ない光でもものを見ることが出来ます※1

その一方で、ウサギはネコやヒトなど他の多くの動物と比較して、強い光の下で瞳孔を小さくする(縮瞳)機能が弱いといわれています※2。 ですからまぶしい光は苦手です。

これは、臆病なウサギにとっては、煌々と明るい実験室に長時間おかれるだけで大きなストレスをうける、ということを意味します。ヒトが真っ暗な部屋に何日も監禁されたら大きなストレスを受けると同じです。

 

また、ウサギはあまり瞬きをしません。ヒトは1分間に15~20回も瞬きをするのに対し、ウサギは1時間に10~12回しか瞬きません。5~6分に1回です※3。これもウサギが最弱な被捕食動物だからです。瞬きをする時間も惜しんで警戒できるよう、進化しました。

また寝るときも眼を開けたままが多いです。眼をしっかり閉じてぐっすり眠れるのは、幸せなペットウサギくらいです。捕食動物は獲物に気づかれずに近づくことを好みますから、眼を開けたまま眠るというのも、捕食動物に対し「見てるよ」という警告になるのでしょう。

悲しいことに、ウサギがあまり瞬きをしないことは、「眼の実験」に好都合となってしまいました。ドレイズ試験のような「眼の実験」にウサギが好んで使われる理由の一つです。

眼を開けたまま眠れる理由は、ウサギには上まぶた・下まぶたのほかに、瞬膜という3つめのまぶたがあり、眼を保護しているため。もうひとつは、涙腺4つ+涙管1つという構造にあります。涙腺については次の《ウサギの涙》をご覧下さい。

※1。Rabbit Org. Foundation > “The Rabbit Eye: A Complete Guide” by Paige K Parsons

※2。animalhotels > All About Rabbit Eyes – How and What Colours Do Rabbits See?

※3。HepperBlog >” Do Rabbits Blink? Vet-Approved Facts” by Nicole Cosgrove, October 8, 2025

 

《ウサギの涙》

ウサギの解剖図。https://veteriankey.com/ophthalmic-diseases/
https://veteriankey.com/ophthalmic-diseases/

ウサギの眼には、涙腺(lacrimal gland)が4つと、涙管(Lacrimal Duct / Lacrimal Canaliculi)が1つあります※1,2,3

涙腺のうち、瞬膜(3番目の眼瞼)の基部に位置するハーダー腺(Harderian gland)は、脂質性の液体を分泌し、涙の蒸発を防ぎ、眼を保護します。ウサギが眼をほぼ開けたまま眠れたり、瞬きをあまりしないで済む理由です。※2,3,4

ウサギの涙管は、とても細く、曲がりくねっています。とくに上顎骨を通る部分や切歯の根元付近が細くなっていて、不正咬合など歯にトラブルがあっても涙管まで簡単に詰まってしまいます。そのため、ウサギは涙管閉塞、涙嚢炎、慢性目やに、結膜炎、角膜炎などを発症しやすいです※5。とくに小さなケージで飼育されている場合、尿のアンモニアにやられて目を痛めるウサギは非常に多いです。ウサギの目はヒトより低濃度のアンモニアガスで刺激を受けると言われています。そんなウサギが実質トイレの上で暮らすような狭い環境で飼育された場合、ほぼ100%眼をやられてしまうと考えてよいでしょう。

このように、ウサギは涙管が細く涙で異物を流す能力が低いため、「ウサギには涙管がない」と誤解されたのかもしれません。

しかし、この「涙で異物を流す能力が低い」ということも、実験者にとっては好都合なのでしょう。もしウサギが、薬物を眼に入れたとたん、涙が洪水のようにあふれ出てどんな薬物もたちまち押し流してしまうような動物だったら、こんなに実験に使われることはなかったのかもしれません。 

※1。【涙のしくみ】
ヒトでは、主涙腺(涙を作る大きな腺)が左右の目にそれぞれ1つずつ、それとは別にまぶたの裏側に「副涙腺(Krause腺、Wolfring腺)」と呼ばれる小さな腺が多数存在します。
参照:千寿製薬株式会社>目のしくみと涙のしくみAccessory lacrimal glands、Ento Key>The Lacrimal System

  • 涙腺:涙を分泌するところ。
  • 涙点:鼻側にある小さな穴。涙腺から分泌された涙は目の表面を潤した後、ここから排出される。
  • 涙管(涙小管):涙点から排出された涙がはじめに通る管のこと。
  • 涙嚢:その涙を貯める袋。
  • 鼻涙管:涙点から排出された涙は、涙小管~涙嚢~鼻涙管を通って鼻腔内に排出される。その後、鼻粘膜に吸収されるか、喉の奥に流れて無意識のうちに飲み込まれる。

※2。Veterian Key-Fastest Veterinary Medicine Insight Engine > Ophthalmic Diseases

※3。HepperBlog >” Do Rabbits Blink? Vet-Approved Facts” by Nicole Cosgrove, October 8, 2025

※4。ヒトは成人になるまでにハーダー腺は消滅します。代わりにマイボーム腺が油性成分(皮脂)の涙を排出します。

※5。うさぎタイムズ>ウサギ専門医に聞く(20)「目に白いもの」「目を細める」角膜炎・角膜疾患とは 監修:斉藤将之、 更新日2023.08.29

 

子猫とウサギ

《耳》

ウサギが耳の良い動物であることは、説明するまでもないでしょう。

ウサギは約3km先の音まで聞くことが出来るそうです。また、聞くことが出来る周波数は360~42,000ヘルツ。ちなみにヒトは20~20,000ヘルツですから、低音はヒトの方が得意ですが、高温はヒトの2倍以上の高さまで聞こえるということですね※1

ただし、音域の特定は、あまり得意とはいえません。被捕食動物であるウサギにとって重要なのは、捕食動物が来た音をより遠くからキャッチして逃げることであり、その捕食動物がどこにいるかピンポイントで特定できることではないからでしょう。ちなみに、捕食動物であるネコは音域の特定能力に優れ、3フィート(約90cm)先で発生した音の場所を、約3インチ(約7.6cm)の精度で特定できるとされています。ネズミの姿が見えなくても、その動き回るカサカサ音だけでネズミの居場所を正確に特定し、飛びかかって捕まえることができるわけです。

耳の良いウサギにとって、ヒトの出す音はしばしば、あまりに大きすぎます。まして機械音のキーッ、ピーピー、ガチャン等、ヒトでも苦手なことが珍しくないのに、ウサギにとっては恐怖でしかないと思います。

※1。うさぎとの暮らし大百科>うさぎの感情は耳でわかる?うさぎの耳の役割は?耳のケアについてもご紹介! 佐藤華奈子、022.08.04

《声》

ウサギは、発声のための器官(声帯)が発達していません※1。そのため、ヒトのように話したり、イヌのように吠えたり、ネコのように鳴くことはできません。

これも、ウサギが最弱な被捕食動物だからです。声を出す=敵に見つかりやすくなる、ですから。

発声できないかわりに、鼻や喉を鳴らしたり、歯ぎしりしたりと、様々な音は出せます。プウプウ、クスン、ギー、シャリシャリ。一緒に暮らしていれば、案外豊かな音表現を使い分けているとわかります。

後ろ足で地面を踏み鳴らす「スタンピング」も有名です。俗に「足ダン」と言われる動作で、単音のことも、連続音のこともあります。敵が来たことを仲間に知らせる警戒音として、また怒ったとき、警告するとき、不満なときなどに足ダンします。ペットウサギの場合、人の注意をひくために足ダンすることもあります。

そんなウサギが「悲鳴をあげる」こともあります。命の危険を感じるほどの恐怖や脅威に直面したときです。

ウサギが泣きわめかない、ということも、しかし実験者にとっては好都合でした。多くの人が、声を出さない魚なら平気で生きたままさばけるけど、キャインキャインと痛々しく泣く子犬はさばけないと同じです。

※1。National Library of Medicine > Use of the rabbit larynx in an excised larynx setup Allison L Maytag, Mark J Robitaille, Adam L Rieves, James Madsen, Benjamin L Smith, Jack J Jiang; 2012 Nov.

 

ウサギ

《嘔吐》

ウサギは嘔吐できません。胃の入口と出口が近く、胃の入口にある筋肉(噴門括約筋)が非常に発達しているため、胃から食道への逆流がほぼできない構造なのです。つまり、何を食べされられても、それが毒でも何でも、ヒトのようには吐き出せないのです。体の中を通してお尻から排出するしかないのです。

実は嘔吐できない動物は被捕食動物には案外多く存在します。たとえばウマ。体は大きいですが、鋭い角もキバも爪もありませんから、捕食動物から逃れる手段はとにかく走って逃げるだけ、というのはウサギと同じです。そして同じく、嘔吐できません。解剖学的に胃の入り口(噴門)の括約筋が非常に発達しており、一度飲み込んだものを逆流させない強力な弁の役割を果たしている、というのもウサギと同じです。また体の小さなネズミも嘔吐できませんが、こちらは胃から食道へ食物を逆流させる力が備わっていない上、嘔吐に関与する脳の嘔吐中枢が十分に発達していないからです。

被捕食動物が嘔吐しない理由は説明するまでも無いと思います。動物が嘔吐するときとは、排便時以上に無防備になる瞬間だからです。ケホ、ケホ、ケホ、ゲェーー!その間中、声はでるは、動けないは、注意力は散漫になるはで、スキだらけもいいところ、捕食動物にとっては大チャンス。そんな危険はおかせません。

しかし実験者にとっては、これも好都合でしょう。何を飲ませても、どれほど苦くても、毒でも何でも、ウサギは体の中を通してくれるのですから。これが猫ならそうはいきません。薬を口に入れたとたん、ブクブクと泡だらけのヨダレだらけになって、投薬に難儀した飼い主さんは多いはずです。

 

《食糞》

ウサギは「反芻」ではなく「食糞」で植物を消化します※1。一度盲腸でしっかり発酵させた糞を、お尻に直接口をつけて再度体内にとりこみ、栄養を吸収する方法です。この「盲腸便」には、ウサギが盲腸で飼養している細菌も多数含まれ、それが草しか食べないウサギの蛋白質源ともなります。

もしウサギが長期間、お尻に口をつけられない状態に置かれた場合、特別にケアされない限り、ふつうのフードだけでは栄養失調になるでしょう。 

※1。植物の細胞は「細胞壁」という頑丈な構造で覆われているため、肉のように簡単に消化吸収できません。栄養価が低く分解しにくい植物(主にセルロース)をエネルギーに変えるため、草食動物は、植物を消化するために様々な形に進化しました。

  • 歯と顎:臼のような平たく幅広い臼歯と、上下だけでなく左右にも動かせる顎で、固い繊維をすり潰す
  • 消化管(腸)を長くする:ウシの腸は約50メートル、ライオンは6~7メートル
  • 反芻をする(前胃発酵):シカ・ウシなど
  • 食糞する(盲腸発酵):ウサギ・モルモットなど
  • 加熱=ヒトだけが行う

 

《性格》

ウサギは非常に繊細で神経質な動物です。

(前略)「ストレスホルモン」とも呼ばれるカテコールアミンやコルチゾルという神経伝達物質が放出され、心拍数や呼吸数、血糖値などが変化します。このような反応を繰り返せば、慢性的な血糖値の上昇や免疫抑制などにつながり、感染や腫瘍のリスクが高まるとされています。

(中略)

これだけ繊細なウサギが、非常に強い恐怖や痛みにさらされたら、どうなってしまうのでしょうか。これは滅多に起こることではありませんが、驚くべきことに、ウサギの体内ではカテコールアミンが大量放出されて、突然死を迎えるとされています。進化の過程で残った行動なのか、生理現象なのかは分かりませんが、まさに自らの生命を終わらせるプログラムです。

うさぎタイムズ > 動物行動学者監修 ウサギの怖いものって何?怯えるウサギの行動・心  橋爪宏幸、2021.10.04

 

「アドレナリン・ショック」と呼ばれる現象です。

カテコールアミンとは、アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンなどを総称する神経伝達物質のこと。このアドレナリンが大量に分泌されると、心筋梗塞や急性腎不全に陥り、ウサギは突然死してしまうのです。ドアがバタンと閉まったり、ヒトがウサギをつかみあげたり、固定したりというような、人間から見れば「そんなことで?」というようなものでも、ウサギにとってはショック死してしまうほどの驚きや恐怖だったりします。だって、ウサギの巣穴にドアなんてありませんし、野生ウサギなら、つかみあげられる=ワシ等につかまった、固定される=キツネ等につかまった、などを意味し、つまり、文字通り命の危険に直面した状態なワケですから。

 

ウサギ

生成AIでさえ画像作成を拒否

生成AIの”Gemini”に、ドレイズ試験のウサギの絵を描いてくれるよう指示してみたところ、拒否されました。ポリシー ガイドラインに抵触するらしいです。

暴力や残虐行為
Gemini は、現実か架空かにかかわらず、過激で露骨な暴力の描写を含む回答を生成しません。これには以下のものが含まれます。

・過度の流血、残虐描写、怪我。

・動物に対する不当な暴力。

2025/05/09

 

生成AIは人間より倫理観ありますね♡

 

↓ドレイズテストのウサギたち。画像はピーター・シンガー著『動物の解放』1975年版(邦訳1988年、戸田清訳、(株)技術と人間出版)より。

ドレイズテストのウサギたち。画像はピーター・シンガー著『動物の解放』1975年版(邦訳1988年、戸田清訳、(株)技術と人間出版)より。

今日でも多数のウサギたちが動物実験に使われています

日本ウサギバイオサイエンス研究会】なるものがあります。公式サイトによりますと、以下のような目的で設立されたそうです。

 

マウスの利用者と比べウサギの利用者数は少なく、むしろ年々減少傾向にあるといった背景の中で、ウサギモデルの応用を広く普及させるという目的で、2003年3月に当時佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)の副学長であった渡辺照男先生の提案による第1回ウサギフォーラムの開催を皮切りにし、2年後の2005年に筑波大学で第1回国際トランスジェニックウサギ会議(2回目から国際ウサギバイオテクノロジー会議に改称)を開催する運びとなり、2012年にはウサギによる研究に特化した日本で初めてとなるウサギバイオサイエンス研究会を発足しました。 
(中略)
今後はウサギモデルを利用した研究を一層発展させるために、多くの積極的参加を期待しています。今後とも皆様のご協力を賜りますよう、呉々も宜しくお願い申し上げます。

https://plaza.umin.ac.jp/~jrabia/page_1.html

 

自分たち人間にとって都合良く遺伝子操作されたバイオウサギを使って、もっとどんどん動物実験をしろと言っています。

私としては、ウサギではなくヒトの細胞増殖技術等を研究進化させて、人工細胞や人工臓器で実験をしてほしいし、そうすべきだと強く思います。ヒト培養細胞の方が医学的にも絶対に有用だと思いますし。

それになんといったって、ヒトとウサギは別種の生きものなのです。ウサギでの実験結果=ヒトでも同じ結果、とはなりません。

  

たとえば、悪名高い「ドレイズ試験」。その信頼性の低さ・再現性のなさはしばしば指摘されます。

  • The rabbit epithelial (surface) layer is 10 times more permeable to hydrophilic solutes than the human eye.
  • Bowman’s membrane (the next layer) is six times thicker in man.
  • The rabbit’s threshold of pain in the eye is much higher than that of humans, so irritating substances are not washed away as readily.
  • Rabbits have a less efficient tearing system than humans.
  • Unlike people, rabbits have a nictitating (winking) membrane (third eyelid), which has an unclear effect on elimination of foreign materials.
  • Humans develop corneal epithelial vacuoles in response to some toxic substances, but rabbits do not.
  • The rabbit mean corneal thickness is .37 mm, while that of man is .51 mm.
  • Rabbits are more susceptible to damage (alkaline) materials, because the pH of their aqueous humor is .82 compared to .71-.73 for man.
  • The cornea represents 25% of the rabbit eye surface area, but only 7% of the surface area in man.

【AI和訳】

  • ウサギの上皮(表面)層は、親水性溶質に対する透過性が人間の目の 10 倍優れています。
  • ボーマン膜(次の層)はヒトでは6倍の厚さです。
  • ウサギの目の痛みの閾値は人間よりもはるかに高いため、刺激物質は簡単に洗い流されません。
  • ウサギは人間に比べて涙を出す能力が低い。
  • 人間とは異なり、ウサギには瞬膜(第三眼瞼)があり、これが異物の排除にどのような影響を与えるかは不明です。
  • 人間はある種の毒性物質に反応して角膜上皮小胞を発達させますが、ウサギでは発達しません。
  • ウサギの平均角膜厚は 0.37 mm ですが、人間の平均角膜厚は 0.51 mm です。
  • ウサギは、眼房水の pH 値が人間の .71 ~ .73 に比べて .82 であるため、損傷(アルカリ性)物質の影響を受けやすいです。
  • 角膜はウサギの目の表面積の 25% を占めますが、人間の場合は表面積の 7% にすぎません。
Problems with the Draize Test Stephen R. Kaufman, M.D.

 

生きたウサギを苦しめる代わりに、試験管の中(in vitro)や生体外(ex vivo)でできる代替実験は多くあります。

 

(前略)代替試験には、ヒト皮膚等価モデルや皮膚腐食性試験(transepicutaneous resistance test:TER) の手法が含まれるほか、試験物質単体の化学的性質も考慮に加えられる。

その他のin vitro やex vivo の試験法には、ウサギやニワトリの摘出眼球を用いる試験のほか、摘出ウシ角膜試験法(bovine corneal opacity and permeability:BCOP)、受精鶏卵漿尿膜試験法(Hen’s Egg Test ChorioAllantoic Membrane:HET-CAM)、ヒト角膜培養細胞による上皮モデル(epithelial model cultivated from human corneal cells)による試験などがあり、(後略)

Wikipedia > ドレイズ試験 (2025/01/31)

もう前時代的な生体実験なんて廃止すべき時代になっているのです!

 

ウサギ

200年前の「無意味に動物を苦しめるな!」

ベンサムの言葉を引用いたします。

ジェレミ・ベンサム( Jeremy Bentham、1748年2月15日 – 1832年6月6日)は、イギリスの哲学者・経済学者・法学者。その名は「功利主義」の創始者として広く知られています。と同時に、動物愛護家の間では、動物達の権利について世に訴えた人物として高く評価されています。前述のシンガー著『動物の解放』も、ベンサムの言葉から始まるのです。

そのベンサムが、2000年前に書いた文章です。

 

I never have seen, nor ever can see, any objection to the putting of dogs and other inferior animals to pain, in the way of medical experiment, when that experiment has a determinate object, beneficial to mankind, accompanied with a fair prospect of the accomplishment of it. But I have a decided and insuperable objection to the putting of them to pain without any such view. To my apprehension, every act by which, without prospect of preponderant good, pain is knowingly and willingly produced in any being whatsoever, is an act of cruelty; and, like other bad habits, the more the correspondent habit is indulged in, the stronger it grows, and the more frequently productive of its bad fruit. I am unable to comprehend how it should be, that to him to whom it is a matter of amusement to see a dog or a horse suffer, it should not be matter of like amusement to see a man suffer; seeing, as I do, how much more morality as well as intelligence, an adult quadruped of those and many other species has in him, than any biped has for some months after he has been brought into existence; nor does it appear to me how it should be, that a person to whom the production of pain, either in the one or in the other instance, is a source of amusement, would scruple to give himself that amusement when he could do so under an assurance of impunity.

【AIによる和訳】
医学実験という形で犬やその他の下等な動物に苦痛を与えることに、その実験が人類にとって有益という明確な目的を持ち、その目的が達成される見込みが十分にある場合、私はこれまで一度も反対意見を聞いたことがなく、今後も決して反対意見を目にすることはないでしょう。しかし、そのような目的もなく動物に苦痛を与えることに対しては、私は断固として、そして克服できない反対意見を抱きます。私の理解するところ、優越的な善の見込みもなく、いかなる存在であれ、苦痛を故意に、そして意図的に生み出す行為はすべて残酷な行為であり、他の悪癖と同様に、その悪癖はより強くなり、より頻繁にその悪影響を生み出します。犬や馬の苦しみを見るのが楽しい人にとって、人間の苦しみを見るのが同じように楽しいものでないというのは、私には理解できません。私自身も、これらの動物や他の多くの種の成体の四足動物が、二足動物が誕生してから数か月間よりもはるかに高い知性だけでなく道徳性も備えていることを目の当たりにしています。また、どちらかの場合に痛みが生じることが楽しみの源である人間が、罰されないという保証のもとでその楽しみを味わうことができるのに、ためらうはずがないと思うのです。

In a letter to the editor of the Morning Chronicle in March 1825

 

200年前のベンサムの時代と違って、現代は様々な代替実験が施行されており、しかもそれら代替実験の方が信頼性が高いものが多いのです。つまり、多くの動物実験はすでに「有益では無い」。

 

世の中の動物実験が少しでも減っていくよう、皆様もどうかご協力ください。そのひとつの手段が、動物実験廃止を宣言したメーカーの商品を選んで購入することです。

 

うさぎ

動物実験をしないメーカーは?

動物実験をしない宣言をしたコスメティック・メーカーが増えています。そのような商品を購入することで、実験動物を減らす協力ができます。

ありがたいことに、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA=Japan Anti-Vivisection Association)が、1,000社以上の日本の化粧品メーカーと海外ブランドの化粧品を輸入販売する支社・代理店からアンケートをとり、その結果をまとめて販売してくれました。

『JAVAコスメガイドVol.6』にリストアップされているのは、、動物実験していないメーカー255社、「原料は不明」のメーカー11社、中国への輸出に際し動物実験を容認しているメーカー24社、動物実験しているメーカー14社。すばらしいのひとことです。

しかも価格はたった480円支援金込みで980円

動物好きなら、ぜひ、このリストを参考に商品を選んでください。

※参考サイト:JAVA/『化粧品でも動物が犠牲に』他。

 

 

ウサギ、AI画像

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