猫のキャリー:ストレスを減らすには

キャリーと猫たち

多くの猫さんは、キャリーが嫌い。見ただけで逃げる子も少なくありません。

当然でしょう。完全室内飼いが定着した現在、猫さんがキャリーにいれられるときといえば、動物病院へ行くときだけ、という子が多いでしょう。人間の子供でさえ、病院はきらい。言葉の通じない猫さんが怖がるのも無理はありません。

せめてキャリーの中が猫さんにとって少しでも快適であるように務めることが、飼い主の義務だと思います。

  1. どんなキャリーを選べば良い?
  2. キャリーにはいることに慣れてもらう
  3. 移動中のストレスを減らすには

(1) どんなキャリーを選べば良い?

重要なのは、見た目で選ばないこと。

今、実に様々な形状のキャリーが市販されています。見るからにかわいらしいデザインのもの、宇宙船のようなもの、ポケットがたくさんついた機能的なもの、薄く折りたためるもの、リュックになったりカートになったりするもの、その他。

でも、選ぶときは、人間側の好みや都合はひとまず横に置き、猫目線から選んでください。

  • 中の広さは適切か
    その子の性格と、キャリーに入れる目的を考えて選んでください。大小2つあればさらに理想的。
  • 内側に出っ張りや尖ったところはないか。
    多くのキャリーはバリが残ったままですから注意!内部に尖った角があるような商品は避けましょう。
  • 通気性は十分か。
    冬の寒さはカバー等で防げますが、夏に通気性が悪いキャリーだと熱がこもって危険です。とくに体温調節が下手な子猫の場合は命取りになりかねません。布製メッシュは、金属やプラスチックの格子と比べると、通気性が大きく劣りますので要注意です。(実体験⇒足立コガネ様のブログ記事「3月の子猫と危険なキャリー」
  • 扉はゆがまないか。しっかり施錠できるか。
    私の経験でも、力の強い猫さんが中から押したら扉がゆがんで開いてしまったキャリーがありました。扉部分がプラスチックだと歪みやすいです。また開閉がチャックだと、多くの(ほとんどの?)猫さんは簡単に中から開けてしまいます。開けられない工夫を。
  • 出入り口の広さは十分か。
    狭い入り口から嫌がる猫さんを出し入れするのは困難です。エリザベスカラーをつけていればなおさら。また手術直後など、体をのばしたまま出し入れするためにも、広さは必要です。簡単に上下に分解・組み立てできるキャリーはさらに理想的です。
  • 安定性はあるか。
    移動中や待合室等で、キャリーごと転げ落ちることがあります。リュックタイプに多い縦長キャリーはとくに注意。
  • 完全に自立するか
    驚かれるかもしれませんが、小さくたためるが売りの布製キャリーの場合、自立しないものがあります。中の猫さんに常にキャリーの壁がよりかかっていることになり、快適なわけありません。
  • 衛生面。丸洗いできるか。
    猫さんが中で粗相・嘔吐することはめずらしくありません。
  • 耐久性。災害時でも安心して使える丈夫さがほしい
    すぐ壊れたり、破れたりしてしまうものは論外です。災害時など最悪のケースをも想定して、丈夫なキャリーを選んでください。

私のお勧めは、ハードキャリーです。それもシンプルな四角いハードキャリー

布製キャリーは人間には使いやすい利点が多いのですが、「通気性」「丈夫さ」「脱走しやすさ」「衛生面」ではどうしてもハードキャリーに劣ります。またハードキャリーであっても、デザイン優先のものは空気穴が少なかったり、中が見えすぎて猫さんが落ち着かなかったりするものがあります。

昔ながらの箱型キャリーが、結局は一番使いやすいですし、猫さんにとっても安心なキャリーとなるでしょう。

↓私が愛用しているのは、アイリスオーヤマ社製「エアトラベルキャリー」。虎太郎のようなビビリ猫の通院には狭くて落ち着けるSSサイズを、大きな猫やエリザベスカラーをつけているときはSサイズを、と使い分けています。

アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリー

内部。エッジ部分はすべて丸みを帯びた作りで、これならヤスリがけの必要もありません。そうなんです、キャリーの中には購入後に必死にヤスリで角落としした商品がありました💦

アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリー

大きさ感。中に入っているのは体重4.7キログラムの成猫。SSサイズは成猫がちょうど入る程度の大きさ。しかし臆病な猫は狭いくらいなほうが、かえって落ち着くようです。通院など短時間の利用ならこのサイズで十分です。

アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリー

同じ猫。Sサイズだとかなり余裕が出てきますね。長距離移動ならこちら。衰弱して寝たままの猫さん等も、こちらのサイズのほうがよいでしょう。小柄な猫さんなら2ニャン入れます。

アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリー

ほかには、イタリア製ferplast(ファープラスト)社の「アトラス」も愛用しています。こちらもとても良いキャリーだと思います。丈夫で、通気性があり、扉は左右どちらにも開閉可能で、取り外すこともできます。簡単に上下に分解・組み立てできるのもよいです。

ファープラスト アトラス

なお、アトラスとエアトラベルキャリーは、どちらもIATA(国際航空運送協会)の基準をクリアしており、飛行機に乗せることができます(航空会社や飛行機の種類によって対応が異なりますので事前確認してください)。

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(2) キャリーに慣れてもらう

日ごろから、猫にとって居心地のよい場所に、扉を開けたまま(あるいは扉を外して)キャリーを出しておき、猫さんが自由に出入りできるようにします。多くの猫は箱状のものには入りたがりますから、勝手に入ってくれる猫さんも多いです。警戒するようであれば、中におやつやおもちゃを入れて、入るように誘導してみましょう。

キャリーの存在に慣れたら、中にタオルや毛布を入れて、ベッドとして使えるようにします。猫さんが中に入っているときは人間は邪魔をしないことも重要です。そうやってキャリーは安全な場所と覚えてもらいます。

↓キャリーの中で熟睡する猫。

アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリー

(3) 移動中のストレスを減らすには

  • 移動は時間も距離も最短に。寄り道はしない。ただし、長距離の場合は適宜休憩をとる。
  • なるべく静かな道、揺れない手段を選ぶ。
  • 病院へいくときは、洗濯ネットにいれてからキャリーに入れるほうが落ち着く子もいる。
  • 普段使っているクッション等をいれるのもよい。
  • カバーをかぶせたほうが落ち着く子が多い。
  • 車に乗せるときは、シートベルトなどで固定する。
  • 定期的に健康診断に通うことで、猫さんの健康を守るとともに、移動や病院に慣れてもらう。
  • 人間が平常心を保つことも重要。愛猫の突然の怪我で人間がパニクっていたり、愛猫の病気で人間が落ち込んでいたりすると、猫さんも落ち着けません。

キャリーカバーがあると便利

キャリーをおおう方法はいくつかあります。

  • バスタオル等を上からかける
  • 大きな布で風呂敷のように包む
  • 新聞紙や段ボールをかぶせる(通気性がないので注意)
  • 市販カバーを買う
  • 手縫いする

上記のうち、もっとも理想的なのが、最後の「手縫いする」ではないでしょうか。お好みの布で、お手持ちのキャリーにぴったり合わせて作れる。愛情いっぱいなカバーに囲まれてこそ、猫さんももっと安心できるというものです。

足立コガネ様が簡単な作り方を紹介してくださいました。以下、拙掲示板「ねこほん掲示板」より抜粋。

キャリーケースの目隠しカバーを自作しました
投稿日:2024年08月16日 (金)

今年の夏は7月から暑いですね。

これまで通院時にはソフトキャリーを使っていたのですが、あまりに暑いので通気性の良いハードキャリーに変更し、キャリーケースの目隠しカバーも、通気性の良いキッチンクロスを使って自作してみました。

職人さん手作りのものだと7,000円くらいしてしまうので、数百円で作れて助かりました。しろうとの手作業なので、仕上がりはボコボコなのですが、猫はそこは気にしないと思うので(笑)何か少しでもご参考になることがあれば幸いです。

材料費242円で簡単に作れましたので、もしなにかお役に立てることがあればと思い、リンクを貼らせていただきました。

以前、とても高価な海外製のキャリーバッグを購入したらメッシュなのに通気性が悪くて、内部が高温になってしまい、中の猫が熱中症で危険な状態になったことがあって、オシャレなキャリーもいいけど、シンプルなハードキャリーが色々な面でやっぱり安全なんだなと思った事があります。

動物病院でキャリーを貸してくれる時もハードキャリーですもんね。

作り方の詳細はこちら↓
足立コガネ様のブログ「賃貸ネコ暮らし」>猫のキャリーケースの目隠しカバーを242円で自作する方法

自作 キャリーケースの目隠しカバー (copyright:Adach Kogane)

偶然ですが、足立コガネ様のキャリーも、うちで使っているのと同じ、アイリスオーヤマ社のエアトラベルキャリーとファープラスト社のアトラス、とのこと。やはりこのふたつは定番中の定番なのでしょうか。

余談ですが

キャリーの形状は、上が平らなもののほうが、なにかと使いやすかったりします。上に物を置いたり、重ねたりできますからね。

とくに多頭飼育で、一度に複数の猫さんを運ぶことがある場合。病院の待合室が混んでいるときは重ねられるほうが楽です。

アイリスオーヤマ社エアトラベルキャリー
ショッピングカート(ショッピング・プロモーション)
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猫のキャリー:ストレスを減らすには” に対して2件のコメントがあります。

  1. 足立コガネ より:

    とてもわかりやすいです!

    1. nekohon より:

      こちらこそありがとうございました!

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