本当の意味で動物を愛しているブリーダーなんていません

本当に愛している人は、増やす方ではなく、必ず保護する方にまわる

「猫好きが読んだ千冊の本」に、常喜寝太郎『全部救ってやる巻01・巻02』のレビューをアップしました。


その同じ日に、ブロ友のキリ様も記事をアップしていました。

チロ・ツグミ・メリー・マフユと 動物問題 ~ ヴィーガン ~/犬の慢性気管支炎?
https://ameblo.jp/chiro-tsugu/entry-12883026615.html

読んで、思わず声に出して笑ってしまいました。なんと、まったく同じ日に、まったく同じことを書いていましたので。まるで事前に打ち合わせていたかのように。

記事のアップ自体は私の方が数時間遅いのですが、画像編集にもたついたためで、テキスト部分は数日前に書き終えていました。その後、キリ様の記事を読んで、真似したと思われるのはいやだなと、一瞬、文章を変更すべきか迷いました。でもキリ様も下のコメント欄で書かれています通り、これは本質的な疑問として、誰でもちょっと考えれば気づくはずのこと。たまたま同じ日というのは面白い偶然にすぎないのですから気にすることもなかろうと、そのまま出しました。

キリ様はメリーちゃんというレスキュー犬と暮らしていらっしゃいます。メリーちゃんは以前はブリーダーに繁殖犬として使われていました。記事を読んでいただければわかりますけれど、メリーちゃんはブリーダーにより、全身ボロボロにされてしまっています。

キリ様は、ブログで、こう書いていらっしゃいます。

強制的に妊娠させ、子供を産ませ、その子供を拉致し、売り飛ばして金儲けしているのがブリーダーです。
この本質は、どう正当化したところで変えられません。

血統を残すのは大事などといった発言も真に受けている人が多いですが、
血統など人間の欲望のために、人間が勝手に作りだした種でしかありませんので、野生動物の絶滅とは全然意味が異なります。
元々なかったものが元の状態に戻るだけです。

第一、血統を残すが本当に大事だと思うならなぜ人気犬種のブリーダーをやってるんですかね?
しかも海外原産の血統がほとんど。

日本にも絶滅しそうな犬種とかいますよ?
琉球犬とかね。

なぜブリーダーたちはそっちをやらないと思います?
なぜなら、血統を残すのが大事という発言が嘘だからです。
彼らにとって大事なことは、金です。
だから人気犬種や自分が好きな小型のカワイイ犬を繁殖して販売します。
血統を残すかどうかなんて端からどうでもいいのです。

https://ameblo.jp/chiro-tsugu/entry-12883026615.html

私も、自分の記事でこう書きました。

断言します。いまの日本に、本当の意味で犬や猫を愛している犬猫ブリーダーなんていません。ただの一人もいません。

いるわけないんです。なぜなら、本当の意味で犬や猫を愛している人であれば、必ず、もう絶対に必ず、犬猫を増やす方ではなく、救助する方にむかうはずですから。

といいますと、世の中には「その血統を残すためにブリーディングが必要」なんて反論する人もいます。でも、だとしたら、ますます変ですよね?
血統なるものがそんなに大切なら、なぜ人気商用種のブリーダーがこんなに多いのですか?(一般に純血種とよばれていますが、私はその実態を考慮し商用種とよんでいます)。血統を守る事が本当の目的であれば、それこそ、日本原産の貴重な血統、十石犬とか、日向犬とかをせっせとブリードするはずです。それらの犬種こそ、犬の原種に最も近い、もっとも純粋な イエイヌ Canis lupus familiaris の姿を残した犬種でもあるのですし。
しかし、ブリーダーのやっていることといえば、プードルをハンドバッグにはいるくらいに無理やり小型化するとか、ダックスフントをふつうに歩いてもおなかが地面にすれるくらい短足化するとか。
「お金ファースト、お金LOVE×LOVE」なこと歴然です。

https://nekohon.info/tsunekinetarou-zenbusukutteyaru/

耳が折れている猫種。鼻がぺったんこで目ヤニが止まらない猫種。短足でウサギのように跳ね歩くしかない猫種。無毛の猫種。逆に毛が長すぎて毛玉だらけな猫種。遺伝的問題がありながら無尾な猫種。強制的に野生種と交雑させされた猫種。エトセトラ、エトセトラ。

日本在住のブリーダーで、もし「血統(猫種)を守ることが重要」だと考えているならば、まず、在来の「日本猫」をブリードすべきではないでしょうか?日本猫は、現在、ずいぶんと数を減らしています。
「そんなバカな。そこらにいる雑種や野良猫は全部日本猫でしょ?」
と思っている方は多いかと思います。が、違います。現在、日本でみられる、いわゆる「雑種」とよばれる子たちのほとんどに、すでに外来猫の血がはいってしまっています。なさけないことに「ジャパニーズ・ボブテイル」は、起源こそ日本ですが、品種として確立されたのはアメリカです。

うちの猫たちでも。

レオとハナ、外猫のクリーム、ベロ、まるは見るからに洋猫の血の強い猫たちでした。みけとちびまる太も、オリエンタル系(シャム猫など)が出ていました。トロは頭蓋骨の形と内斜視に、やはりシャム系の血を疑わせる要素がありました。ごりんと虎太郎は全体の骨格と長すぎるほど長いしっぽが日本猫っぽくない。栄ちっちとチロリンは顔つきと被毛に洋猫の要素が。まろポンの体つきにももなんとなく、洋猫が感じられます。
日本猫っぽいのは、チャトラン、ビク、シロロ、くるるんくらいです。

スコティッシュ・フォールドたちの悲劇

猫好きさんであれば、スコティッシュ・フォールドの遺伝上の問題は当然ご存じですよね。スコの特徴である折れた耳、あれは「骨軟骨形成不全症」という遺伝性の病気のせいで現れた奇形です。

折れ耳スコは全員が病気猫です。折れ耳同士を交配させると病気がさら重症化するため、すこしでもまともな神経の持ち主であれば、折れ耳スコは立ち耳スコと交配させますし、さらに2~3世代ごとに他品種の猫(アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアが多い)の血を入れて、病気を薄めます。

しかし、ということは、折れ耳ではないスコも多数誕生していることを意味します。

立ち耳スコも売られてはいます。でも、折れ耳の方が人気で、価格も高くなりますし、ショップ等で目にするのは折れ耳の方が多く、・・・。立ち耳スコたちの運命が気になります。

スコティッシュ・フォールドだけではありません。犬にも「軟骨異栄養犬種」とよばれる犬たちがいます。 

軟骨異栄養性犬種では、成長に伴って(2歳くらいまで)髄核が軟骨状に変化し、椎間板が衝撃を吸収しにくく脆くなります。そのため椎間板に負荷がかかると、髄核が飛び出して脊髄を圧迫し、ハンセン1型ヘルニアを発症します。この発症は多くの場合3~6歳までの間に起こり、再発を繰り返しながら症状が悪化していきます。病気になる原因は、犬種による素因が最も大きく、遺伝が大きく関わっています。中でもダックスフントでは他の犬種に比較して10倍の危険性があるといわれています。ほかには、ウェルッシュ・コーギー、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、シーズー、パグ、キャバリアほか、軟骨異栄養犬種は多数存在しているのです。 

コーギーのヘルニアはあまりに有名でフリー素材に描かれるくらいだ

ダックスフントを小型化し、その脚もさらに短くしていく、ということがどれほど残酷なことか、考える頭のある方ならわかりますよね?

あまりに多くの犬猫が「品種改悪」されてしまった

一般に「品種改良」なんて言われていますけれどね。当の動物達にとっては「品種改悪」以外の何物でもない遺伝子操作が行われている、それがペット業界です。

有名な犬種問題として。

ボルゾイなど、鼻が長すぎる犬種は、子犬時代に吸乳に苦労すると聞きます。が、もっと気の毒なのが、ブルドッグ・フレンチブルドッグ・シーズー・ペキニーズ・パグなどの短頭種です。

その短すぎる鼻のせいで、呼吸器系疾患「短頭種気道症候群」を発症します。

  • 鼻の穴が挟く、鼻がグーグー鳴る
  • 鼻水をよく飛ばす
  • 過度のパンティング(舌を出してハァハァと行なう激しい呼吸)
  • 息を吸うときにゼーゼー、ヒューヒューという
  • 大きないびき
  • 興奮するとブーブーという呼吸音
  • 高温時等は著しい上気道閉塞により熱中症になりやすい


そのため、動物愛護先進国のオランダでは2019年、鼻の長さが頭蓋骨の長さの3分の1より短い犬を繁殖させることは法律で禁止されました。でも日本ではあいかわらず短頭種の犬たちは大人気です。人気、ということは、今もせっせと繁殖されているということです。

この短頭種問題は猫でも同じで、つぶれたような顔に改悪されたペルシア等では、目ヤニはデフォルトとなっています。愛猫の目ヤニに悩まされている飼い主のいかに多いことか。

 

体の大きさそのものも、大きな影響が出ます。

犬の祖先はオオカミとされています。が、現在の犬種たちといったら!巨大な犬たちがいる一方で、ハンドバッグに入るほど小さな犬もいます。ぜんぶ人類が「自分好みの犬にするために」犬たち自身の都合も考えずにブリードした結果です。

成犬のグレート・デーンは確かに大きいが、子どもは驚くほど小さい。「生まれたばかりの子犬は、どの犬種であってもほとんど同じ大きさです」と、ウーファー氏は指摘する。大きいとしても、2倍ほどでしかないという。 

ところが成犬になると、ニューファンドランドの場合体重は68キロにもなり、寿命は9~10年ほどしかない。逆に体重3キロにも満たないチワワは14~16年生きる。つまり、大型犬は短い間に急激な成長を遂げなければならないということだ。 

この成長が大型犬の細胞に大きな負荷をかけていると、ウーファー氏は言う。細胞が分裂するたびに、染色体の末端を保護している「テロメア」が短くなる。また、DNAを損傷する酸化分子も増える。 

大型犬は、大きくなるためにより多くの細胞分裂を行わなければならず、しかも「分裂のたびに、テロメアの損耗や酸化による損傷が細胞の中に蓄積され」る。この損耗や損傷により、大型犬は小型犬よりも早く老化が進む。

National Geographicなぜ大型犬は早死にで、がんになりやすいのか 動物全般と逆』2024.09.21

 

ブリーダーの数が多すぎる

Shippo》の太田匡彦氏の記事『繁殖用の犬や猫、国内にどれくらいいるのか? 調査データをもとに推計してみると』(2020/10/22)から引用させていただきます。

まず、「犬猫等販売業者」のもとにいる犬や猫の数。

https://sippo.asahi.com/article/13856840

しかし、届け出が義務化されているにもかかわらず、ブリーダーの10人に1人が未届だそうです。そして犬猫の数は;

この値を考慮すると、単純計算で、18年4月1日時点で業者のもとにいた犬は約29万7400匹、猫は約6万7800匹ということになる。この数には、ペットショップのもとにいる販売用の子犬・子猫と、繁殖業者のもとにいる繁殖用の犬、そして猫が含まれている。 

18年4月1日時点で登録されている、1万5911件の犬猫等販売業者のうち「繁殖を行う者」は1万2235件。残りの3676件は、販売だけを行っている、いわゆるペットショップということだ。

https://sippo.asahi.com/article/13856840

以上は、動物取扱業者に対する「飼養管理基準」、いわゆる「数値規制」(2021年6月から施行)の直前の話です。そして、この数値規制に対し、繁殖業者たちが猛烈に反発したことは、動物愛護に少しでもかかわった方なら聞いたことがあるでしょう。

このなかで、全国の繁殖業者で繁殖犬は計10万5790匹、繁殖猫は計2万5509匹の飼育ができなくなる可能性がある――などと推計しているのだ。

https://sippo.asahi.com/article/13856840

 

幸いなことに法律は施行されました。飼育頭数だけでなく、「56日規制」も決められました。生後56日を経過しない犬や猫の販売や展示は禁止するという規定です。

ただし、ここでも日本犬保存会が議員を抱き込んで反対し、結局、日本犬6種(柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬)は、生後49日(7週)からと短縮されました。日本犬保存会にとって大事なのは日本犬じゃない、日本犬を介して自分たちが得られる「お金」だということがハッキリした出来事でした。

そして。

今年2025年1月31日、環境省はこんなページを作っています。というか、作らざるを得ないような環境になっている、というべきか。

環境省STOP!生後56日までの犬猫販売!

ブリーダーたちが犬や猫の生年月日を改ざん、つまり胡麻化していると指摘されています。政府のページとしてはすばらしい内容です。

参考情報(幼齢犬猫の販売制限の違反実態)

令和5年に実施した調査により、全国のペットオークションで取引された犬や猫のうち、多くの犬や猫について、幼齢犬猫の販売制限の導入前と比較して、生年月日の曜日の偏りが確認されています(下図)。

これは、犬や猫のブリーダーが幼齢犬猫の販売制限を書類上クリアするため、ペットオークションの開催曜日(例では火曜日)に販売可能となる57日になるよう生年月日の改ざん、幼齢犬猫の販売制限の違反が強く疑われることを示しています。

また、一部ブリーダーでは犬や猫の生年月日を改ざんし、幼齢犬猫の販売規制等に違反していることが実際に確認されています。

犬や猫の販売業者等は、当然法律を遵守する必要があり、違反は許されることではありません。一方で、販売業者等が法律違反をしてまで犬や猫を扱う背景には、消費者がより小さく幼い犬猫を好むことが起因しているという意見もあります。

調査結果を踏まえ、環境省では、生年月日の改ざんなどを防止するために、犬や猫のブリーダーに繁殖した犬や猫の出生以降の成長記録(体重や写真等)を含む個体管理の台帳を作成させ、飼い主にもその台帳情報を提供する制度などを検討しています。

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/stp56/

  

 

日本の「ブリーダー」は、Breeder (Breed繁殖させる人) ではなくBleeder (Bleed出血させる人) ばかりだと、私が皮肉る所以です。

日本に「良いブリーダー」なんていません。

家族を迎えるときは「保護犬猫」を

日本中に、暖かい家族を待っている保護犬・保護猫がいます。どこの愛護団体も、里親様を必死に探しています。

新しく家族を迎えるときは、ぜひ、里親募集の犬猫から!

どうかどうか、お願いします。

くるるんの赤ちゃん時代。3兄弟で捨てられていました。


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