猫砂やペットシーツは災害時に非常用トイレとして使えるか(5)
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人間用オムツ等は非常用トイレとして使えるかの実験
今までは、各種猫砂・ペットシーツ・猫システムトイレ用採尿シートで実験してきました。ここは猫サイトですから以上で終わりにしてもよいところですが、でも。
気になるじゃないですか?ペット用アイテムが使えそうなら、人間用ならもっと使いやすいのか?
というわけで、実験を続けます。素材は、新生児用オムツ、介護用尿とりパッド、生理用ナプキン。
実験では、尿のかわりに水を吸水させています。吸水量は、計1500ml(成人の平均尿量の上の方)。
実験方法の詳細はこちら↓
なお、なぜこの特定銘柄を実験素材に選んだかにつきましては、深い考えはありません。いつも行くホームセンターにあった商品で、価格や枚数が手ごろだった、というだけの理由です。同じような素材(原材料)のものであっても、。メーカーや銘柄により、特徴や性質・価格は大きく違ってきます。以下はあくまで参考資料としてご覧ください。
(1)新生児用オムツは非常用トイレに使えるか?
人間用おむつ系では一番小さい「新生児用おむつ」をまずテストします。
使用した商品
- 商品名:ムーニー エアフィット
- 製造販売:ユニ・チャーム株式会社
- 素材:ポリオレフィン、ポリオレフィン・ポリエステル不織布、綿状パルプ、高分子吸収剤、ポリオレフィン不織布、ポリオレフィンフィルム、ポリオレフィン・ポリウレタン不織布、スチレン系エラストマーフィルム、スチレン系エラストマーフィルム合成樹脂
- 特徴:お誕生~3000gまでの新生児用
- サイズ約:28cm×20cm(全体、テープ部分含まず):うち吸水部分は22cm×8cm
- 価格:30枚入り税込み767円/1枚約25.5円(近所のホームセンターで2022年11月に購入)
断面。厚みは、ニャンとも清潔トイレ純正「脱臭・抗菌シート」と同じくらいです。
吸水実験
このオムツは3000gまでの新生児用です。3kgというのはほぼ、日本の赤ちゃんの出生時の平均体重(男の子2.98kg、女の子2.91kg、子育て応援サイトMIMISTAGEより)。ということは、赤ちゃんの半数近くは生れた時から3000g以上あるということで、つまり、人間用オムツの中では最小サイズということになります。
さて、生れてすぐの赤ちゃんの尿量は、1日100〜200ml(1回 5〜10ml × 15〜20回)だそうです(ユニ・チャーム(株)「ムーニー」公式サイトより)。人間のオムツは、赤ちゃんも成人も「汚れたら可及的速やかに取り替える」が大前提の商品であり、「丸一日取り替えなくても大丈夫」が売りの商品なんて見た事ありませんので、一日の尿量から吸水量を推測することはできません。
そこで、300mlを注水してみます。両脇にヒダがあって、液体がこぼれるのを防いでくれますので、
ゆっくり注水すれば、300mlをきれいに吸水してくれました。
このように、垂れることもありません。
が、ドバっと一度にいれればあふれ出ます。新生児用ですからね👶もし万が一、新生児用オムツを使用しなければならない緊急事態に遭遇したときは、ゆっくりチョロチョロとやりましょう。( ´∀` )。できれば2枚使用すれば、もっと安心してトイレできます。
限界に挑戦。ゆっくりと吸水させていきます。500mlであふれました。
横から見るとパンパンにふくれています。見るからに限界状態。
300mlを吸水させたおむつをポリ袋にいれます。ペットシーツより小さい分、今までで一番小さくまとまりました。
それを5個、合わせて1500ml分。
キッチン用Lサイズ320mm×380mmのポリ袋ひとつにまとめたところ。ここでは無理に折りたたまず、広げたまま入れています。重さは1.58kg。
ニャンとも清潔トイレ用「脱臭・抗菌シート」と、厚型ペットシーツとの比較。
おむつは5枚、ニャンとも清潔トイレ用脱臭・抗菌シートは1枚ですが、1枚の大きさがかなり違いますので、おむつの方がわずかに小さく見えます。
ついでに、木製猫砂と。こちらはかなりボリュームに差が出ました。
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(2)大人用おむつ(尿とりパッド)は非常用トイレに使えるか?
使用した商品
紙パンツ用パッドです。別売りの紙パンツと一緒に使用するタイプです。
- 商品名:ライフリー 補助パッド(大人用紙おむつ)
- 製造販売:ユニ・チャーム株式会社
- 素材:ポリオレフィン不織布、綿状パルプ、吸水し、高分子吸水材、ポリオレフィンフィルム、ポリオレフィン系合成樹脂、ポリウレタン、スチレン系エラストマー合成樹脂
- 特徴:吸収回数の目安排尿2回分(1回の排尿量150mlとして)
- サイズ約:16cm×45.5cm
- 価格:36枚入り税込み922円/1枚約25.6円(近所のホームセンターで2022年11月に購入)
断面は、今まで一番分厚いです。ニャンとも清潔:複数ねこ用シートより厚い感じ。
吸水実験
「吸収回数の目安排尿2回分(1回の排尿量150mlとして)」つまり300mlを楽に吸収できる商品。私の300mlというのは、トイレが使えない状態で健康な成人が最大尿意まで我慢した場合の設定であることを思い出してください。一方でこの尿パッドの「1回の排尿量150ml」というのは、おむつが必要な高齢者等という設定ですから量が倍も違うのは不思議ではありません。
尿とりパッドに300mlの水をかけます。かなり気楽に、つまり雑にかけても気持ちよく吸収してくれて、表面はサラサラなままです。
300mlを吸水した尿とりパッド。サラリとしていますので、多くの人がほぼ抵抗なくつまんで畳んで袋にいれられるだろうと思われます。
300ml×5回=1500ml。
この5つを、キッチン用Lサイズ320mm×380mmのポリ袋ひとつにまとめたところ。重さは1.67kg。
新生児用おむつとの比較。どちらも5枚ですが、成人用と新生児用のサイズの違いそのまま、倍ちかい差が出ました。やはり成人用のは嵩張ります。
それでも猫砂よりは少し小さい?
ということで。
つぎは限界に挑戦してみます。
この商品は300mlを吸水するように作られたもの。上記の通り、300mlは楽勝だったので、倍の600mlを吸水させます。難なく吸水しました。尿とりパッドはお尻にフィットするよう、ゴムがはいって丸まった形をしているのですが、設定の倍を吸水させたらすっかり伸びました。でもまだかなり余裕です。
さらに吸水させます。1500mlを1枚でなんとか吸収できました。陸に上がったトドのようにごろんと転がっています(笑)。表面も濡れている感じです。
と思って持ち上げたら、横漏れ防止ヒダの中に残っていた水滴が少々垂れてしまいました。もう少し待てばこれもいずれ吸水されただろうと思いますが。もし実際に簡易トイレに使う場合は、十分な時間を置いて、全部しっかり吸水させてから持ち上げてください。
横から見たところ。見るからに満腹状態。ここまで膨らんでしまうと、少しずつゆっくり注水しないと、水が転がり落ちて横漏れ防止ヒダを越えてしまいます。これはパッドの様子を観察しながら手で水を注いでいるのでここまで吸水させられますけれど、もし本当にトイレとして使用する場合であれば難しいかと思います。1日分の排尿全部を無理に1枚で吸収させるより、2~3枚に分けた方が現実的であり、気持ち的にもずっと快適にトイレできるでしょう。
で、その1枚をキッチン用Lサイズ320mm×380mmのポリ袋ひとつにまとめたところ。重さは1.56kg。
300ml×5枚のときと比較。高さも厚みも大きく差が出てました。それでも、よほど物資が不足している状況でない限り、私は1枚にまとめるのは躊躇すると思います。
今回は「おしっこ2回用」と、大人用おむつの中では比較的少量用のもので実験しました。小さいもので吸収できるならもっと大きなものでも吸収できるからです。
大人用おむつは吸収量もサイズも豊富にラインアップされていて、例えば同じユニ・チャーム社「ライフリー」シリーズでも、最大では夜用「一晩中安心 おしっこ10回分」がありました。そのような大容量おむつ(パッド)であれば、1枚で1日分をそれほど無理なく吸収できるのではないでしょうか。
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(3)生理ナプキンは非常用トイレに使えるか?
生理用ナプキンは採尿用に開発されたものではありませんが、「吸収+消臭を目的とするアイテム」で、且つ「多くの家庭で常備されているもの」を考えた時、ふと思いついてしまいましたので、まあ興味本位のテストです。
なお、今回実験したユニ・チャームの「ソフィ」公式サイトによりますと、「正常とされる生理の日数は3~7日程度。1回の経血量は20~140mlといわれています」だそうです。今回の実験では計1500mlも吸水させますので、最大経血量140mlのさらに10倍以上ということになります。
使用した商品
- 商品名:ソフィP6n ソフイはだおもい極うすスリム 羽なし21cm
- 製造販売:ユニ・チャーム株式会社
- 素材:表面材=ポリエステル、ポリエチレン(中身の素材表記は無し)
- 特徴:多い昼~ふつうの日用 極うすスリム
- サイズ約:21cm×9cm
- 価格:27枚入り税込み347円/1枚約13円(近所のホームセンターで2022年11月に購入)
ナプキンと超厚型ペットシーツの断面比較。ナプキンの一番厚い部分は超厚型ペットシーツと同じ位ありますが、なにしろサイズが違いすぎます。ナプキンは全体で約21cm×9cmで吸収できる部分はさらに狭く、一方、超厚型ペットシーツ44cm×33cmで周辺の狭い縁以外は全域吸水可能。
大きさの比較。ナプキンの小ささがわかると思います。なお、新生児用と大人用おむつは比較しやすいように、脇のゴムを切って平らに広げています。
吸水実験
「多い昼~ふつうの日用 極うすスリム」って、どのくらい吸水するものだろう?まったく見当がつかないので、小さなメジャーカップでとりあえず50mlをかけてみたら・・・
あふれました。やはり吸収量は少ないですね。吸水部分が今までの実験素材とは比べ物にならないくらい小さい(狭い)し、もともと尿用ではないし。
つぎに、300mlの吸水実験。まず6枚を敷き、計300mlを注ぎます。やはり給水しきれていません。めくったナプキンの下側が濡れているのがわかりますでしょうか。
このように持ち上げるとポタポタと垂れます。
この落ちた水滴を7枚目で拭き取り、さらにこのように置いて300mlをすっかり保水させました。実際にトイレとして使う場合はここまで丁寧に拭けないでしょうから、もっと枚数が必要になります。
この300mlを吸水した7枚をひとつのポリ袋に。
ここでちょいと疑問。「極うすスリム」だからこんなに吸水量が少ないのか?で、ふつうの厚さのでも試してみました。同じユニ・チャーム社「フソイ」シリーズの「ふつうの日用21cm」ですが、スリムタイプではないものです。
どちらも21cmですから大きさは同じですが、厚みは違います(画像ではわかりませんね・・・)。
300mlをそそいだところ、やはり洩れました。
しかも300mlをきれいに吸水させるのに8枚必要となりました。7枚では吸水しきれず、もれた水を8枚目で吸い取ったのです。ふつうの厚みの「ふつうの日用」より、極うすスリムの「多い昼~ふつうの日用」の方が少し吸収量が多いことが証明されました。やはり厚さではなく、中身(吸収剤)の違いだったんですね。
脱線しました。実験を続けます。300ml×5回=1500ml分。同じくらいの大きさだしもったいないので、向かって一番左側のガムテープが貼ってあるのだけ「ふつうの厚さ」のものです。すみません。
キッチン用Lサイズ320mm×380mmのポリ袋ひとつにまとめたところ。重さは1.715kg。
新生児用おむつとの比較。
ニャンとも清潔トイレ純正「脱臭・抗菌シート」との比較。ニャンともは1枚ですんでいるためか、ひとまわり小さいですね。
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結論
(1)赤ちゃん用おむつは非常用トイレに使える。新生児用の小さいものでさえ、1枚で大人の1回分を吸収することは可能。ただしターゲット(おむつ)が小さいので注意してゆっくりとする必要あり。
(2)大人用おむつは非常用トイレに使える。赤ちゃん用より大きい分、かなり気楽に使える。「おしっこ2回(計300ml)用」タイプであれば2~3枚で1日分を吸収可能。
(3)生理用ナプキンを非常用トイレに使うことはお勧めできない。
というわけで、以上3種の中で一番気楽に使えるのはやはり『大人用おむつ』でした。当然の結果ですね。
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