猫の尿量、および、猫尿について

*同居の工夫:猫と暮らす知恵*
尿量の変化を家庭でチェック
【著:かず様 2012年5月12日】
猫たちのトイレを2つ置いていますが、うちの子たちは、片方しか使いません。
もっぱら愛用しているのは、継ぎ足し不要のシリカゲルの砂です。2ニャンが使うと,10日目を過ぎるころから砂が重く感じられるので、2週間に一度入れ替えています。
もう一方のシステムトイレを使うのは、年に数回程度で、シリカの砂が汚れて交換間際になった時だけです。
同じトイレしか使わない状態なので、ふと思いついて、使用前と使用後の砂の重さを量ってみました。未開封の袋のままの重さと、使用後2重にしたレジ袋に入れた重さをメモ。極めて大雑把な方法ですが、2ニャンが排泄した水分量を知る目安になるかなと思って去年の10月末から続けてみました。
ほぼ半年の数字は、2週間で1.2キロ程度。(少ない時は1キロ、多い時は1.4キロでした。)
この重さが標準的なのかどうかは、わかりませんが、ほぼ安定しています。
2ニャンの体重は、リューバが5キロ強でナージャは4.5キロ前後です。この体重も、ほぼ安定です(苦笑)
もうすぐ3歳になる、太目だけど健康な2ニャン。これから年をとったら、砂の重さも変わってくるのでしょうか。平日は留守番をさせていて、様子を見てあげることができないので、砂のチェックは続けてみようと思います。
写真は、きれいになったトイレを使用中のナージャです。

砂の名前もお伝えする方が良いでしょうね。トロンボーンさんも既にテストされている「ニオイが消えるシリカサンド」。 黄色い袋がよく目立つ商品です。
ところで、「シリカゲル」には、A形・B形の2種類があるそうです。A形は水分を能力いっぱいまで吸い尽くすタイプ。B形は、A形より穏やかに給水し、そのかわり低湿度に置くと、吸着していた水分をまた徐々に放湿(蒸発)させるタイプ、いわば「呼吸するシリカゲル」。
猫砂に使われるシリカゲルは、B形「呼吸するシリカゲル」です。(A形だと、空中の湿気をどんどん吸って満腹してしまい、猫尿を吸えなくなるからだそうです。)
ですので、厳密にいえば、使用前後の重量差=尿量、ではありません。
とはいえ、普通の密閉度の近代住宅で、人間が暮らしやすい室内環境が保たれている場合、2週間単位の長期で比べるのであれば、蒸発量に著しい差がでることはあまりないでしょう。猫砂の重量差を継続して計測するというのは、健康管理にとても良い目安になるだろうと思います。中でも、高齢猫に多い腎臓の病気は「多尿」が特徴ですから、早期発見に役立つのではないでしょうか。管理人
【参考サイト】豊田化工株式会社 シリカゲルのページ
* 世界で最初に「シリカゲル猫砂」を開発した会社のホームページです。
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猫の尿量、および、猫尿について
【管理人 2012年5月12日】
以下、健康な成猫の場合です。
猫の年齢、食事内容や飲む水の量、季節、環境、その他により変化しますので あくまで目安としてお考えください。 少しでも異常が認められた場合は獣医さんにご相談ください。
尿量
1日の尿量 = 体重1kgにつき、22~30mlが正常範囲
正常量の、およそ
- 2倍以上を多尿
- 1/2以下を乏尿
- 1/5以下を無尿
と考えます。
なお、多尿と頻尿を混同しないよう、ご注意ください。
猫の体重 | 1日の尿量の目安 |
2.0kg | 44 – 60ml |
2.5kg | 55 – 75ml |
3.0kg | 66 – 90ml |
3.5kg | 77 – 105ml |
4.0kg | 88 – 120ml |
4.5kg | 99 – 135ml |
5.0kg. | 110 – 150ml |
5.5kg | 121 – 165ml |
6.0kg | 132 – 180ml |
6.5kg | 143 – 195ml |
7.0kg | 154 – 210ml |

※尿量に影響を与える疾病・病的状態
- 尿量の病的増量
- 慢性進行性腎疾患
- 真性糖尿病
- 腎性糖尿病
- 腎皮質低形成
- 腎アミロイド症
- 慢性化膿性腎炎
- 子宮蓄膿
- 副腎皮質過形成
- 下垂体腫瘍による尿崩症
- 尿量の病的減量
- 発熱
- 急性腎不全
- 慢性原発性腎疾患
- 循環障害による浮腫
- 血圧低下
- 尿路障害

排泄回数
排尿は、平均1日2~3回。
排便は、平均1日1回。
子猫は成猫より回数が多いのが普通です。
目が明かないような赤ちゃん猫はもちろん、生後1か月過ぎの子猫でも、自力排泄がうまくできない場合があります。幼猫が排泄しない(親猫や人間が世話しても排泄できない)ときは、獣医さんにご相談ください。
なお、捨て猫を保護した場合は、私の経験では、排尿がちゃんとできていれば、排便の方は、保護直後の1~2日は無い(できない)子が多いようです。捨て猫はお腹の中がからっぽで、出したくても出ない場合がほとんどですから。3日目になっても排便がなければ獣医さんにご相談ください。

尿の色
健康な猫尿の色は黄色~琥珀色。混濁は無く、透明です。
まだミルクだけの赤ちゃん猫の尿色はごく薄く、ほとんど無色で無臭。離乳食を食べるようになるにつれ、大人尿の色や臭いになっていきます。
次のような尿が見られたら、動物病院へ。
- 無色~淡い黄色
- 濃い黄色~褐色
- 黄褐色~帯緑黄色、振ると泡立つ
- 赤っぽい(赤、ピンク、ワイン色、褐色)
- 黒っぽい(黒褐色)
- 緑尿
尿の臭い
猫尿は臭いのがふつうであり、特に雄猫のマーキング尿はかなり強く臭います。
ミルクだけの赤ちゃん猫の尿は、ほとんど臭いません。離乳食を食べるようになると、尿にも臭いがつきはじめます。
猫尿は臭いとはいえ、猫も人と同じ哺乳類。尿臭の異常は、人間の鼻でもけっこうわかるものです。尿臭がいつもと違うと感じられた場合は、すみやかに獣医さんにご相談ください。
異常尿臭の例
- 薬品臭=投薬した、間違って薬品を飲み込んだ、など
- アンモニア臭=新鮮尿には実はアンモニアはごく少量しか含まれていず、健康な新鮮尿はアンモニア臭はしません。もし新鮮尿なのにアンモニア臭が強い場合は、尿路感染その他が考えられます。
- 腐敗臭、特別な臭気=細菌感染、ケトン尿など。
- 無臭=ミルクしか飲んでいない赤ちゃん猫を除き、大人猫の尿がまったく無臭というのも異常です。

pH(ペーハー)
猫尿のpHは通常6.2~6.4くらいで、弱酸性。正常範囲はpH5.0~7.0です。
家庭におけるpHチェックについては、こちらのページをご覧ください。
⇒家庭でも出来る猫尿のpH値チェック
比重
猫尿の比重は通常1.015~1.060くらい、正常範囲は1.015~1.060です。
(比重とは、尿と、何も含んでいない水との重量比のこと。水を1としたときの尿の重量の割合であらわします。)
比重に関しては↓こんな商品もありますのでご参考までに。
アタゴ ポケット犬猫尿比重屈折計 PAL-犬猫尿比重
主に米国で用いられている犬用、猫用の尿比重目盛を搭載した犬猫用の尿比重屈折計。1台で犬用と猫用の尿比重が測定できます。プリズム面にサンプル (尿) を0.3ml滴下し、スタート・キーを押すだけで3秒後に尿比重をデジタル表示します。わずか11センチのコンパクトサイズで、測定後は水で洗い流すことが出来る防水仕様です。価格:31,000円くらい 。
製品名 | PAL-犬猫尿比重 | Cat.No. | 4529 |
測定範囲 | 尿比重(犬)1.000~1.060 尿比重(猫)1.000~1.080 (自動温度補正) 温度 10.0~35.0℃ | 分解能 | 尿比重 0.001 温度 0.1℃ |
測定精度 | 尿比重 ± 0.001 温度 ±1℃ | 使用環境温度 | 10~35℃ |
サンプル量 | 0.3ml | 温度補正範囲 | 10~35℃ |
測定時間 | 約3秒 | 電 源 | 単4アルカリ電池 2本 |
寸法・重量 | 55(W)×31(D)×109(H)mm, 100g (本体のみ) | 防水保護等級 | JIS-C0920 5級防噴流形 IEC規格529 IP65 |
※メーカーサイト:株式会社アタゴ 臨床検査器
*「犬猫尿比重屈折計」を探す*
Amazon.co.jp 楽天市場 Yahoo! Shopping
*以上、参考文献「学窓社 『獣医学臨床シリーズ17『尿検査』ISBN:4873626161」より(Amazon、楽天市場)
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正常尿のスクリーニング検査所見
【管理人 2012年5月12日】
項目 | 猫の正常尿 |
色調 | 黄色 |
混濁度 | 透明 |
比重 | 1.015 – 1.050 |
pH | 5.5 – 7.0 |
タンパク | 陰性 |
ケトン | 陰性 |
グルコース | 陰性 |
ピリルビン | 陰性 |
ウロピリノーゲン | 0.1 – 1mg/dl |
潜血 | 陰性 |
尿沈渣(HPF) | |
赤血球 | 0 – 7 |
白血球 | 0 – 7 |
円柱 | ときに硝子様 |
上皮細胞 | ときどき |
脂肪滴 | 普通 |
細菌 | 陰性 |
結晶 | 普通 |
*中村孝/松田浩珍編 『小動物VT講座 犬と猫の泌尿生殖器疾患』 インターズー社 ISBN:4900573329より(Amazon、楽天市場)
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