猫砂やペットシーツは災害時に非常用トイレとして使えるか(1)

災害時の緊急用トイレのイラスト:©いらすとや

災害などの非常時に、猫砂やペットシーツを利用して簡易トイレを作ることは可能でしょうか?

実際、そのように書いてあるサイトは多くあります。しかし、猫と人では排出する尿量も便量も全然違います。大便の方は目に見える形で排泄されますので、その量についてもだいたい見当がつくと思います。が、尿の方は流してしまう上、一日に何回も排尿しますから、一日分の総尿量がどのくらいになるかわかりにくいですよね。ましてその尿量を全部吸水させるには、どのくらいの猫砂やペットシーツが必要となってくるか、その総容量や総重量がどのくらいになるかなんて、すぐにはわかりません。

そこで実験して確かめることにしました。

目次

  1. 猫と人の尿量について・実験方法
  2. 猫砂は非常用トイレとして使えるか実験
  3. ペットシーツは非常用トイレとして使えるか実験
©いらすとや

1.猫と人の尿量について

ものすごく大雑把な目安として、人は猫の10倍以上排尿すると考えてよいでしょう。

人間の尿量

目安=成人の平均尿量は1000~1500ml/日

高齢者は一般に排尿回数は多く、しかし総尿量は少なくなります。逆に体質や病気で尿量が多い人もいます。また同じ人でもその日の食事内容に大きく左右されるのは御存知の通り(ビールをがぶ飲みすれば出る量も驚異的😁)。

そのため健康な人の1日の総尿量は、少なくて700ml~多くて3000ml(3ℓ)平均1000~1500ml、となるそうです。ずいぶん幅広いですね。

  1. 【初発尿意】膀胱は通常100~150mlで最初の尿意を感じるが、まだ尿意は起こらず、尿意を感じる場合でも我慢できる。
  2. 【最大尿意】膀胱の中に溜まった尿が250~300mlで我慢が出来なくなり、排尿しなければならなくなる。
おまるにまたがった女の子
素材:IllustAC ©acworks 

猫の尿量

1日の尿量 = 体重1kgにつき、22~30mlが正常範囲、上限は 50ml/体重1kg 。

体重1日の尿量の目安
2.0kg44 – 60ml
3.0kg66 – 90ml
4.0kg88 – 120ml
5.0kg.110 – 150ml
6.0kg132 – 180ml
7.0kg154 – 210ml

※猫の尿についての詳細はこちら↓をご覧ください。

「ボクチンは赤ちゃんにゃので、おちりトントンしてもらわないと、オチッコできにゃいのでしゅ」

実験方法

【実験素材】

  • 猫砂(紙製、木製、おから製、ベントナイト製、シリカゲル製)
  • ペットシーツ(薄型、厚型、超厚型)
  • システムトイレ用尿取りシート(1頭用、複数ねこ用)
  • 人間用おむつ等(新生児用、大人用、生理ナプキン)
  • キッチンペーパー、トイレットペーパー、ポリ袋、ペットボトル
  • 非常トイレ用凝固剤、携帯トイレセット

※注 なぜその商品を実験素材に選んだかにつきましては、深い理由はありません。いつも行くホームセンターにたまたまあった物や、自宅にたまたま在庫があった物です。

【実験方法】

  1. 吸水前に実験素材の重量を測定。
  2. 猫砂等は300ml × 5回=総量1500mlの水を吸水させる。他の素材は総量1500mlになるよう個々の素材特性に応じて試す。
  3. 吸水後の重量を測定。
  4. 吸水後の素材をポリ袋にきっちり詰め込んでそのボリュームを見る。

【補足説明】

  • トイレが使えなくなるような非常時は我慢して貯めてから排尿する人が多いだろうと推測、1回の排尿量は最大尿意となる「300ml」で実験しました。
  • 総尿量は、災害時にがぶ飲みはしないだろうものの、片づける等の肉体労働が増えたり、エアコンが効かなかったり等、それなりの水分摂取が必要になるケースも多々あるだろうと推測、成人の平均範囲内では多めの「1500ml」としました。よって排尿回数は逆算で1500ml÷300ml=5回となります。
  • 吸水後の素材をポリ袋に入れるのは、多くの人が実際の非常時には廃棄までそのようにして保管するだろうと考えてのことです。
  • 厳密には尿と水では成分や比重が異なりますが、今回の実験ではその差異は無視してかまわないレベルであると考えます。
  • 尿臭に関しては以下の理由から検証対象から除外しました。
    (1)今回は人尿ではなく真水を使った実験であること。
    (2)尿臭は個人差がある上、気温や置かれた環境、保存期間、他の影響が大きい。
    (3)一般的に人尿より猫尿の方が濃い分臭気も強いが、その猫尿のニオイを閉じ込めるほどの猫砂・シート類であれば、人尿に対しても脱臭効果が期待できると思料されること。

【使用器材】

(1)タニタ デジタルクッキングスケール KJ-215

  • 計量範囲:0~2000g
  • 最小表示:0~1000gまで0.5g、1000~2000gまで1g
タニタ デジタルクッキングスケール KJ-215

(2)SIS(エスアイエス) ベビースケール TH996

  • 計量範囲:0.03kg(=30g)~20kg
  • 最小固定重量:1kg(注)
  • 重量目盛:0.01kg(=10g)

(注)このベビースケールは最後に計った体重の数値(一つ前の計量値)を記憶することが出来ますが、最後に計った数値が1kgより大きくないと表示されません。

SIS(エスアイエス) ベビースケール TH996

(3)ニャンとも清潔トイレ 成猫用スタートセット

トイレとしてではなく、実験素材をいれるタライ(容器)として使っています。外寸約47cm × 約37cm。

このトイレについての詳細は↓

(4)その他

計量カップ、猫トイレ用スコップ、ペットシーツ(ワイド+ダブルワイド)、10円玉、ポリ袋(キッチン用Lサイズ、320mm×380mm)、その他。

半透明ポリ袋Lサイズ。A4用紙よりかなり大きいです。
1000ml用計量カップに300mlの水をいれたところ

次は⇒猫砂は非常用トイレとして使えるかの実験

page 1 | page 2 | page 3 | page 4 | page 5 | page 6 | page 7 | page 8

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA