クリアファイルでエリザベスカラーを自作
エリザベスカラーが好きな猫はいないでしょう。そうでなくともカラーを付けるときは、体になんらかの異常があるとき。ストレスを少しでも減らしてあげることが、早い治癒にもつながります。
クリアファイル・カラーのメリット
その子のピッタリサイズに作れる
とくに体の小さな子にとって、大きすぎ・重すぎなカラーは負担になります。クリアファイルならこんな子猫にも小さなカラーを作ることができます。この子↓は胴だけでなく尻尾の先も怪我をしていたので長めのカラー。
竜之介様が保護されたこの子↓は顎の下に傷があったので短いカラー。これならお顔はほとんど出ていますから邪魔になりませんね。
軽い
市販のエリザベスカラーに使われる素材より、クリアファイルはかなり薄く、それだけ軽くなります。
たとえば下の例では、よく動物病院で使われている猫用Mサイズカラーは33.0グラム。クリアファイルで作ったほぼ同じ大きさのカラーは10.5グラム、約1/3の重さでした。22.5グラムといえば500円玉3枚以上、弱っている猫にとってはこの差は大きいのではないかと思います。(旧500円玉=7.0g、2021年発行新500円玉=7.1g)。)。
(注)実際に装着させるときはテープを貼ってとめますが、上記重量にはそのテープの重量は含まれていません。貼る枚数やテープの素材によって重量もかわります。
衛生的
簡単に作ることができ、頻繁に取り換えてあげられます。洗って乾かすのも簡単です。
人間の嗅覚でも、1日中マスクをつけていると、臭ってきますよね?まして猫の嗅覚は人よりすぐれているのです。また人と違って、鼻水やヨダレがカラー内に飛んでも、猫はふき取ることはできません。少なくとも1日に1回は取り替えてあげましょう。
視界が広い
色や模様のついていないタイプを選べば、視界の遮りも最小限で済みます。
食べやすい・寝やすい
柔らかく、よくしなるので、市販カラーほど猫の行動が制限されません。たとえば、固いカラーだと脚のある食器でなければ食べられなかったりしますが、
クリアファイル・カラーで大人猫の力(体重)なら、こんな平らな食器でも食べられます。
簡単に安く手に入る
クリアファイルなら手に入れやすく、1枚10円~20円という安さも魅力です。
クリアファイル・カラーのデメリット
やわらかい
やわからいので折り目がつきやすく、ときには一部がひっくり返ってしまうことがあります。とくに暴れる猫や、体が大きく力の強い猫には注意が必要です。ファイルの状態をよく見て、使いまわしは数回ずつにとどめ、折り目がはいったら新しいのに交換するとよいでしょう。
傷みやすい
うすくて柔らかいですから、長期使用には向きません。上にも書きました通り、数回ずつで使い捨てとなります。
クリアファイル・カラーの作り方〔工程1〕ファイルを切り抜く
1)市販エリザベスカラーから型をとる場合
【用意するもの】
- クリアファイル(無色透明なものがお勧め)
- はさみ
- ビニールテープ、または、布製ガムテープ
- 今まで使っていた市販エリザベスカラー
- 型紙用の紙(コピー用紙等)
- 鉛筆
【作り方】
クリアファイルを切り開いて平らに広げ、そこにエリザベスカラーを置いて型を写し取っても良いのですが、それ、意外と面倒なんです。クリアファイルカラーは「複数作って頻繁に取り替える」が前提だと思いますので、もう少し簡単に量産できる方法を考えました。
まず、型紙を作ります。コピー用紙など、あまり厚みの無い紙の方が良いです。市販カラーを紙の上に置き、鉛筆で外周をなぞってから、切り抜いてください(マジックインキだとカラーにも色がついちゃうことが多いので)。
エリザベスカラーは、通常、左右対称に作られています。型をとったら、真ん中から2つに折りましょう。
2つに折った型紙を、ファイルの中に挟み込んで、その外周をハサミで切ります。この時、型紙の折り側を、ファイルの閉じている辺にぴったり合わせてセットしてください。2個目からは型紙をファイルにはさむだけ、簡単でしょ?
切りぬいて、広げたところ。
2)型をとれるエリザベスカラーがない場合
【用意するもの】
- クリアファイル(無色透明なものがお勧め)
- はさみ
- マジックインキ
- 細いひも(伸縮しないタイプ)
- ビニールテープ、または、布製ガムテープ
- (任意)画鋲、錐など、先がとがったもの
【作り方】
まず、クリアファイルにマジックインキで1/4円(広げると半円になる)を2つ画くのですが、学校で使うようなコンパスでは小さすぎるので
紐を使います。片方の先端を輪っかに結び、その中にペン先をいれて、円を描きます。
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その1.子猫~普通サイズの大人猫(5kgくらい)の場合
紐のもう片方を、クリアファイル(画像はA4サイズ)のコーナーに、鋭いもの(画鋲など)で固定するか、または
指でしっかり押さえて、ぐるり。
最初は、とりあえず、大きい方の円をファイルいっぱいの大きさに作ってください。後でサイズ調整できますので。カラーの幅は、幼い子猫(1kg未満)で10cmくらい~標準サイズの大人猫(~5キロ台)で12~13cmくらい。カラーの幅は、その子の体格や症状にあわせて調整してください。
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その2.大きな猫(6kg~)の場合
体格の良い雄猫では、上の作り方では小さすぎるかもしれません。そんなときは円の中心点をコーナーより上にします(9.0~9.5cm)。
クリアファイルの幅は、猫さんの体格や症状によって、12.5~14.5cm。まず、2つの円を同じように描き、
それから、中心点から外円に直線を引きます。
とりあえずこの形で切り抜いてから、猫さんに直接あてるなどして、適切な大きさに調整していきます。
なお、私自身の経験では、7kg台の猫でもA4サイズのクリアファイルで作れました。もっと大きな猫の場合は、ひとまわり大きいクリアファイルで作ってあげてください。
【私が作った型紙の例】
子猫と大きな雄猫では、こんなに大きさが違います。
虎太郎はこの時、1kgにもならない子猫でしたけれど、脚・体のほか尻尾の先も怪我をしていたので(詳細はこちら)、カラーの幅は広めに作ってあります。いっぽう、7kg超の大きな雄猫でも、例えば頭部の怪我等の保護の場合、後足でカキカキできなればよいだけなので、幅はそれほど広くなくても大丈夫でしょう。
なお、このときは型紙を段ボールで作り、外側を毎回マジックでなぞっていましたが、その後、「コピー用紙で作って中にはさめばもっと簡単じゃん!」と気づきました。
クリアファイル・カラーの作り方〔工程2〕サイズを合わせてから首回りを安全に工作
切り抜いたクリアファイルを広げると、こんな半円になっていると思います。(画像はふつうサイズのカラー)
ここではあえてマジック線を残していますが、これではせっかくの「クリア」カラーが台無し。実際に作るときは、線の内側を切って、猫さんの視界をクリアに保ってあげてくださいね。
これを猫さんに当てて、サイズを確かめます。マジックインキで印をつければ後で楽。重なり部分が広すぎる場合は、適宜切り落としてください。
つぎに、気になる、この角っこ。
危なくないよう、4角とも、丸く切り落とします。
つぎに、首にあたるところが痛くないようにしてあげなければなりません。
丁寧に作るなら「フェルトを細く切って貼りつける」「バイアステープを縫い付ける」等の方法もあるでしょうけど、
私は簡単に「テープを重ね張り」しています。厚みが出るよう、緩めにふわっと貼ってください。
ガムテープを使う場合は、紙製(クラフトテープ)ではなく、布製をご使用くださいね。紙製のだとは重ねた部分がすぐはがれてしまいます。
ビニールテープを重ね張りしたもの。これだけ厚みがあれば、病院のエリザベスカラーにひけをとりません。
さて、いよいよ装着。内側と外側の2か所をテープで留めます。
このとき、猫さんにつける前に、まず外側のテープを張っておくと楽かも。そのとき、端っこを小さく三角に折っておくと、剥がすときも楽です。
猫さんの首につけ、外側のテープを貼ってから、内側のテープを貼ります(内側のテープは折り返し不要)。カラーを外すときは、まず外側のテープをはがし、それから内側のテープをはがします。
透明なビニールテープを使えば、こんなに視界もクリア。
力の強すぎる子は・・・
クリアファイルでは薄すぎて、すぐ破いたり裏返してしまう子には、病院等の丈夫なカラーしか使えません。
固いエリザベスカラーでも、少しでも快適に食事できるよう、色々工夫されている方々のご紹介。
クリアファイルのカラーは軽いので
うたたねもできちゃうそうです。