熊よけスプレー
いつも訪問させていただいているブログです。貴重な写真の数々と鋭い指摘に感謝。閉鎖しないでくださいね。
【ニューねこままん】”それでも僕は、知床でヒグマを撮影する 第三回~釣り人とカメラマンと観光客と知床財団”
この中で驚いた一文。
『ちなみに、ヒグマ撮影の間、クマスプレーを装備しているカメラマンの割合は2割程度。あとは丸腰の人が多い。』
ええ~!?
だって相手はヒグマだよ?あのグリズリー撮影に丸腰かよ!なんとまあ、無謀というか、・・・
そういうのは大胆とか、まして動物好きとは言えないと思います。そう、私に言わせれば、ただのどアホ!
だって、カラシスプレー(クマ撃退スプレー、カプサイシンスプレーとも)って、自分ではなく、クマを守るために携帯するものなんですよ?
少なくとも私はそう理解しています。私が住んでいるのは近畿の里山。生息しているのはツキノワグマ。ヒグマよりずっと小さく大人しいツキノワグマの中でも、さらに穏やかな西日本のクマさんたちです。
ぢつは、・・・2017年は、犬の散歩中に2回熊を目撃しました。
1回目は4月15日。前方200mくらい先の耕作放棄地から山の中へ、ツキノワグマが走りこむ姿を目撃。
2回目は5月21日。ゴンと散歩中、やけに山の方を気にするので見上げたら、そこにクマの成獣が立っていて。
二車線道路の向こう側の、切り落とされた法面の上の、林の際です。二車線道路の向こう側まで15mくらい、斜面の上までは10mもないでしょう。つまり、クマまでの距離は25m以内?
クマの方はとうに気づいていて、だからわざわざ立ち上がって、こちらを観察していたのでしょう。さすがに「どうしよう」と思いましたね。
25mと近いとはいえ、相手は急斜面の上の林の中、こちらは開けて明るいアスファルト路上、私一人なら、じっと動かずにしていれば、ほぼ間違いなくクマの方で逃げてくれるでしょう。あるいは車が通ってくれれば、車の影にかくれて逃げることも可能かもしれません。
でも、その時は犬連れ。クマがどう犬に反応するかもわからないし、犬がどうクマに反応するかわからない。ってか、ゴンはやる気満々で猛烈に引っ張っています。
仕方ないので、「ガン無視」することにしました。
どうしよう、と迷ったのは、ほんの一瞬、足を止めたのもほんの一瞬、ほとんど止めたとも言えないほどの短時間だったはず。歩き去るということはクマに背を向けることになり、本来なら避けたい行動ですが、犬がいる以上、仕方ありません。クマに飛びかかるよりはマシだろう・・・と、ゴンを静かな声でなだめながら、それまでとかわらぬ歩調で歩き去りました。ゴンも幸い、うるさく吠えることもなく、なんとか大人しく引っ張られてくれました。クマもそのまま山中に姿を隠してくれ、つぎに見たときはもういませんでした。
ゴンにとっては工事のおじさんの方が、ツキノワグマよりよっぽど怖いようで。工事のおじさん達がいたりすると、みっともないほど怖がる犬(笑)。おもしろい。
秋の、柿が実る季節なら、クマが人家の近所をうろつくのは珍しくありません。けれどこの時期に2回もクマを目撃するなんて!
で、とうとう、アマゾンで注文しちゃいました。クマよけスプレー。
すぐ到着。
「元祖クマ撃退スプレー カウンターアソールト」アメリカ製。
矢印の黄色いプラスチックバンドは、保管・輸送中の保全のため。これがはまっていると、安全ピンをはずしても発射できません。
猫検閲のあと、切り外しました。
一緒に購入した専用ホルダー。
同梱のパンフレット。
熊よけベルの商品紹介も載っているけど・・高いね(汗)
このスプレーは使いたくありません。ヒグマをさえ撃退する猛烈な武器です。誤って人の顔に発射されると、失明の危険さえあるそうです。そんな危険なもの、使わずにすめばそれにことしたことありません。
でも、こんな土地に生活しているのだから、1本くらい持っていても損にはならないだろうかと。いわば「安心料」、お守りですね。持っているだけで安心感が違いますから、クマに遭遇しても落ち着いて行動できるでしょう。
ゴンではないけど、私も、クマより、人間の方がよっぽど怖いです。
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ツキノワグマの痕跡は頻繁に見ます。うちの庭の柿の木には、よくクマ棚ができています。
これからは、犬の散歩時は、常にクマスプレーを携帯しすることにします。もしまたクマに遭遇したら困るから。
もし万が一、億に一でも、クマに襲われた場合・・・いえ、この地域のクマは襲うために襲うのではなく、逃げようとした先にたまたま人がいて当たっちゃった場合、というべきですが・・・私自身がどれほど無事でも、クマは無事ではいられません!
人を「襲った」クマは、必ず、必ず、駆除(=殺害)されてしまいます!
人の方はかすり傷程度でも、クマの姿に驚いて自分で転んただけでも、「クマが人を襲った」となれば、そのクマは殺されてしまいます!
スプレー一本でクマさんの命を救えるなら、私は喜んでスプレーを携帯します。山に入るときは、クマスプレーと、原色の上着で目立つことが大事!!
【ツキノワグマ】
学名:Ursus thibetanus
分類:哺乳綱ネコ目クマ科
分布:ヒマラヤの南側山麓部から東南アジア北部、中国東北部、ロシア南東部、台湾、海南島、日本(本州、四国)
大きさ:頭胴長120-145cm、体重70-120kg。
食性:雑食。動物食はシカ・カモシカなどの肉や、サケなどの魚から、アリ・ハチなど小さな昆虫まで、狩った肉でも見つけた死肉でもなんでも食べる。植物食では、柿・栗・どんぐりなど果実類/堅果類だけでなく、ブナの若芽など草本類も食べる。要するになんでも食べる。
生態:メスは冬眠中に1-2頭の仔を出産。
*九州のクマは絶滅したものとみなされている。四国のクマも数頭の成体しか確認できておらず絶滅は時間の問題と思われる。
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