日本の古歌より【年代不肖】

猫と本

【文献で詠われた猫たち】シリーズ。

日本の古歌より

  • 六つ丸く 五七卵に 四つ八つは 柿の核なり 九つは針
  • 六つ丸く 四八瓜ざね 五と七と たまごなりにて 九つは針

日本の古歌。 人の口に伝わるうちに色々変化したのだろう、似たものがいくつか伝わっている。 いずれも猫の瞳の形を表しているという。

上の歌の意は、

  • 六つ(午前六時頃)は丸く
  • 五七(午前八時頃・午後四時頃)は卵形
  • 四つ八つ(午前十時頃・午後二時頃)は柿の種
  • 九つ(正午頃)は針のように細い

である。 下の歌も似たような意味である。

これらにみられるように、昔、猫の瞳は明るさではなく、時刻によって変化すると考えられたことがあった。その誤解の大元は、平岩米吉氏によると、 北宋の蘇東坡(1101年没)が『物類相感志』という書物の中で 「猫児の眼、時を知る」としたことがにはじまり、その間違った思想が日本にも伝わったためらしい。

猫の目

 うちのレオの綺麗な目(親ばかです・・・)

昔の中国の文献より

以下、今村与志男 『 猫談義 』 233~234ページより、そっくり引用です。

↓ ↓ ↓ ↓ 

清の王初桐の『猫乗』に、ネコのひとみの大きさの変化で時を定める方法をいくつか記してありますので、つぎに、それによって訳出しておきましょう。

『易教存疑』によると、ネコの眼のなかの黒いひとみは、一日のうち十二の時にしたがって変わる。それについてこういう歌がある。

  • 子午線兮卯酉円  
  • 寅申巳亥如棗核 
  • 辰戌丑未杏仁全 
    • 子(ね)、午(うま)は糸で、卯(う)、酉(とり)は円よ
    • 寅(とら)、申(さる)、巳(み)、亥(い)は、棗の核で
    • 辰(たつ)、戌(いぬ)、丑(うし)、未(ひつじ)は、すっかり杏の仁

消長交替の理法がなによりも明らかであり、ここに造化の微妙なところが現れている。

王初桐は、さらに、この注として、『物類相感志』からとことわってつぎのように記しております。

 ネコの眼で時を知る。その歌によると、

  • 子午線        
  • 卯酉円        
  • 寅申巳亥銀杏様  
  • 辰戌丑未側如銭  
    • 子(ね)、午(うま)は線で
    • 卯(う)、酉(とり)は円く
    • 寅(とら)、申(さる)、巳(み)、亥(い)は、銀杏に似て
    • 辰(たつ)、戌(いぬ)、丑(うし)、未(ひつじ)はそばだてて、銭のよう  

↑ ↑ ↑ ↑

猫の眼の大きさが、明るさではなく、時間と関係があるとした昔の人たちの考え方は、 今の我々には奇妙に思えるかも知れないけれど、昔は今と違って、夜中も電気を煌々と点けて下手すりゃ昼間より明るい、 なんてことはなかったのだから、むしろ自然だったのかもしれない。

参考文献

猫

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