猫に危険な植物:毒!食べさせないで!(6)
*同居の工夫:猫と暮らす知恵*
食べさせないで!その6:有害な植物の種名:さ行
猫に有害な植物は700種も
有害植物・有毒植物のうち、代表的なものを集めました。
これ以外にも有害・有毒な植物は多く存在するようです。もし愛猫が何らかの症状を見せた場合、できれば直前に食べた(かもしれない)植物も一緒に獣医師に見せてください。診断の決め手になるかもしれません。
*植物名*
「さ」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
サクランボ(オウトウ)
- 科名:バラ科
- 症状:呼吸困難、虚脱など。チック症状やけいれんをおこすことも。種に注意。
- 成分:
ザクロ
- 科名:ザクロ科
- 症状:嘔吐、下痢、胃炎、めまい、運動障害、精神錯乱、失神、中枢神経麻痺、など。最悪死亡。
- 成分:イソペレチェレン isopelletierine、など
サツキ
- 科名:ツツジ科
- 症状:葉と蜂蜜に含まれるグラヤノトキシンにより、よだれ、嘔吐、蹴り、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡、など。消化器症状は数時間以内に発生。摂取量が多いと数日で死亡。
- 成分:グラヤノトキシン grayanotoxin
サトイモ
- 科名:サトイモ科
- 症状:口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎、など。
- 成分:葉に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶と蛋白成分と思われる(未確認)。
サルコロシ(ドクウツギ、ウジゴロシ、オニウツギ、イチロベコロシ)
- 科名:ドクウツギ科
- 症状:摂取後30分くらいで発症。嘔吐、流涎、瞳孔縮小、血悪上昇、全身硬直、けいれん、呼吸困難。死に至ることもある。おいしそうな赤い実は味も甘いため、誤食した人の中毒が多発している植物。
- 成分:コリアミルチン coriamyrutin、ツチン tutin
サワナスビ(ハシリドコロ、ヤマナスビ、ナナツギキョウ、オニミルクサ)
- 科名:ナス科
- 症状:ナス科の植物は嘔吐、腹部の痛み、血便、、下痢、めまい、口内の乾燥、呼吸困難などをひきおこすことがある。 けいれん、麻痺などの神経症状、心筋梗塞などに進行し、死ぬことも。ハシリドコロは全草が猛毒なので注意。
- 成分:ヒヨスチアミン hyoscyamine、スコポラミン scopolamine
その他
- サクラソウ(サクラソウ科)
- サフラン(アヤメ科)
サワウルシ(ノウルシ、キツネノチチ)
- 科名:トウダイグサ科
- 症状:皮膚炎、高校の灼熱感、嘔吐、下痢、腹痛、血圧上昇、めまい、けいれん
- 成分:
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「し」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
ジキタリス(キツネノテブクロ)
- 科名:ゴマノハグサ科
- 症状:食べて2~3時間後に不整脈、吐き気、腹部の痛み、下痢、腹痛、けいれん、不整脈など。 異常な興奮の後、昏睡に陥り、死ぬことも。葉から抽出される成分(ジキタリス)は、強心利尿薬として使用される薬草。
- 成分:ジギトキシン digitoxin、ジギタリン digitalin
シキミ(ハナノキ、コウノキ、ハカバナ)
- 科名:マツブサ科(旧シキミ科)
- 症状:嘔吐、下痢、めまい、血圧上昇、全身痙攣、よだれ、など。死亡することも。とくに種子に注意。
- 成分:アニサチンanisatine
- シキミという和名は「悪い実(あしきみ)」に由来するという。神社や墓所など神聖な場所に多く植えられているが、それは昔、獣害を避ける毒樹としての防壁の意味だったそうだ。ヒト中毒の例でも、1990年11月兵庫県自然教室でシイの実と誤って食べた12人が嘔吐・全身痙攣をおこし入院したという報告がある。
シクラメン
- 科名:サクラソウ科
- 症状:嘔吐、下痢、痙攣、麻痺、皮膚炎。
- 成分:シクラミン cyclamin
シモクレン(マグノリア、モクレン、ハネズ)
- 科名:モクレン科
- 症状:筋肉の弛緩、麻痺。
- 成分:
ジャガイモ
- 科名:ナス科
- 症状:皮膚炎、粘膜炎症、嘔吐、下痢、血便、腹部の痛み、呼吸困難、麻痺、痙攣、脱力感、など。心筋梗塞に進行して死亡する場合も。
- 成分:α型-ソラニン α-solanine、α型-チャコニン(カコニン) α-chaconine、など
- ヒトが植物で中毒を起こす原因の第一位はジャガイモだそうだ。「過去50年間のわが国の高等植物による食中毒事例の傾向」(登田美桜、畝山智香子、春日文子、2014)によれば、患者数918名(死亡者数0名、発生件数23件)で、患者数はダントツ首位だった(2位はバイケイソウ類の338名、79件。)調理するときは芽や緑色になっている部分を広く取り除くこと。
シャクナゲ
- 科名:ツツジ科
- 症状:よだれ、嘔吐、蹴り、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡、など。消化器症状は数時間以内に発生。摂取量が多いと数日で死亡。
- 成分:グラヤノトキシン grayanotoxin
シャクヤク
- 科名:ボタン科
- 症状:皮膚のかぶれ、嘔吐、胃腸障害、血液低下。根は漢方薬として使われるが、そのまま食べると中毒を発症。
- 成分:
シュロソウ
- 科名:ユリ科
- 症状:目に入ると失明の恐れあり。口腔と喉の灼熱感、嘔吐、下痢、沈鬱、脱水症状、尿細管変性、腎臓障害、呼吸困難、手足のしびれ、皮膚の知覚減退、循環不全、中枢全身麻痺など。 時に死亡。葉を1枚かじっただけ、体についた花粉を舐めただけなど、わずかな摂取でも重篤となるケースが報告され、また、摂取してから死亡するまで1週間ほどかかることが多く、その間中苦しむことになるのも可哀想。催奇形性あり。回復しても慢性腎不全や膵炎に移行する危険がある。
- 成分:
ショクヨウダイオウ(ルバーブ)
- 科名:タデ科
- 症状:ふらつき、けいれん、嘔吐、腹部の痛み、黄疸、肝不全、腎不全など。ルバーブの葉柄はジャムの材料にされるが、葉にシュウ酸塩が含まれ、食べると中毒を発症。
- 成分:
シロガスリソウ(ディフェンバキア)
- 科名:サトイモ科
- 症状:口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎など。
- 成分:葉に含まれるシュウ酸カルシウム calcium oxalate の針状結晶。未検証の蛋白質性毒素も含まれるとされている。
- *英名 dumb cane(口がきけなくなる茎)、dumb plant(口がきけなくなる植物)は、誤って食べると数日間も口がきけなくなるほどの毒性があるとされるため。
ジンチョウゲ(チンチョウゲ)
- 科名:ジンチョウゲ科
- 症状:皮膚炎、嘔吐、口内炎、胃炎。
- 成分:ダブネチン daphnetin
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「す」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
スイートピー
- 科名:マメ科
- 症状:嘔吐、下痢、麻痺。
- 成分:β-N-(γ-1-グルタミール)アミノプロピオニトリル β-N-(γ-1-glutamyl)aminopropionitrile
- スイートピー中毒に一番敏感なのはウマ、それからウシ・ヒツジだといい、スイートピー(やその仲間)による家畜の中毒症状を骨性ラチリズム osteolathyrism と呼ぶ。
スイセン
- 科名:ヒガンバナ科
- 症状:食べた直後に嘔吐、下痢、腹痛、流涎、血圧低下、心不全。重篤になると昏睡、麻痺など。死に至ることもある。球根はとくに毒性が強く、少量でも危険。
- 成分:リコリンlycorine
- *ヒトでも危険です: 食中毒:ニラと間違えスイセンの葉食べる 5人搬送 旭川/ 毎日新聞 2012年05月20日 13時37分 「厚生労働省によると、スイセンは食べると嘔吐や下痢などを起こす有毒物質を含み、30分以内に症状が出る。」
- 成分:
スズフリバナ(トウダイグサ)
- 科名:トウダイグサ科
- 症状:皮膚炎、口腔の灼熱感、嘔吐、下痢、腹痛、血圧上昇、めまい、けいれん。
- 成分:
スズラン
- 科名:キジカクシ科スズラン亜科
- 症状:食べて2~3時間後に不整脈、吐き気、下痢、腹部の痛みなど。異常な興奮の後、昏睡に陥り、心不全をおこし死ぬことも。
- 成分:コンバラトキシン convallatoxin、コンバラトキソール convallatoxol、コンバロサイド convalloside
- 切り花をさしておいた水も毒性を示すので注意。
ストレリチア(ゴクラクチョウカ)
- 科名:バショウ科
- 症状:嘔吐、下痢。
- 成分:
スパティフィラム
- 科名:サトイモ科
- 症状:口まわりに激痛・腫れ・水疱、声のかすれ、嚥下障害。
- 成分:不溶性シュウ酸カルシウム calcium oxalate の針状結晶。また、未検証のタンパク質性毒素が含まれているとも。
その他
- スモモ(バラ科)
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「せ」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
セイヨウキヅタ
- 科名:オコギ科
- 症状:皮膚炎、水疱、流涎、嘔吐、腹痛、下痢、など。
- 成分:ヘデリン hederin、ファルカリノール falkarinol
- セイヨウキヅタは英名 common ivy でわかるように、アイビー(ヘデラ)の園芸種のひとつ。近種にカナリーキヅタ canaries ivy。
セイヨウキョウチクトウ
- 科名:キョウチクトウ
- 症状:強心配糖体が含まれていて、嘔吐、めまい、けいれん、意識混濁、ひどい場合は心臓停止にいたる。
- 成分:オレアンドリン
セイヨウツツジ(アゼリア、アゼレア、オランダツツジ)
- 科名:ツツジ科
- 症状:葉と蜂蜜に含まれるグラヤノトキシンにより、よだれ、嘔吐、蹴り、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡、など。消化器症状は数時間以内に発生。摂取量が多いと数日で死亡。
- 成分:グラヤノトキシン grayanotoxin
センダン(アフチ、アカセンダン)
- 科名:センダン科
- 症状:嘔吐、よだれ、下痢、胃炎、けいれん、運動失調、呼吸停止、心停止。ヒト、動物ともに死亡事故が発生。
- 成分:リモノイドテトラテルペン構造を持つメリアトキシン(meliatoxin) A1, A2, B1
その他
- セイヨウシャクナゲ(ツツジ科)
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「そ」から始まる植物種
【著:管理人 2003年~】
ソテツ
- 科名:ソテツ科
- 症状:摂取後12時間以内に発症。嘔吐、腹痛、腎不全、黄疸、肝不全、運動失調、昏睡、けいれんなど。死に至ることもある。
- 成分:サイカシン(シカシン) cycasin
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*植物名*
参考文献
【著:管理人 2002年~】
上記はいずれも下記文献を参考にしました。【プロモーションリンク】
- 「伴侶動物が出合う中毒 毒のサイエンスと救急医療の実際」監修:山根義久【管理人書評】
- 「イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科」財団法人動物臨床医学研究所編 【管理人書評】
- 「もっともくわしいネコの病気」矢沢サイエンスオフィス編 【管理人書評】
- 「猫こんなとき救急マニュアル100」高野瀬順子
- 「園芸有毒植物図鑑 -人もペットも気を付けたい-」土橋豊
- 「身近にある毒植物たち -”知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み」森昭彦【管理人書評】
- 「毒草を食べてみた」植松黎 【管理人書評】
- 「毒草・薬草事典」船山信次【管理人書評】
管理人は獣医師でも学者でもないため、症状等についてはすべて本からの受け売りです。自分で実験したわけではありません。
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