猫に危険な植物:毒!食べさせないで!(5)

*同居の工夫:猫と暮らす知恵*
食べさせないで!その5:有害な植物の種名:か行
猫に有害な植物は700種も
有害植物・有毒植物のうち、代表的なものを集めました。
これ以外にも有害・有毒な植物は多く存在するようです。もし愛猫が何らかの症状を見せた場合、できれば直前に食べた(かもしれない)植物も一緒に獣医師に見せてください。診断の決め手になるかもしれません。
*植物名*
「か」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
カラー(エレファントイヤー)
- 科名:サトイモ科
- 症状:口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎など。
- 成分:原因は葉に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶と蛋白成分(未確認)と思われる。
カラスビシャク
- 科名:サトイモ科
- 症状:口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎など。
- 成分:原因は葉に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶と蛋白成分(未確認)と思われる。
カルミア
- 科名:ツツジ科
- 症状:葉と蜂蜜に含まれるグラヤノトキシンにより、よだれ、嘔吐、蹴り、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡、など。消化器症状は数時間以内に発生。摂取量が多いと数日で死亡。
- 成分:グラヤノトキシン grayanotoxin
カロライナジャスミン(イエロージャスミン)
- 科名:マチン科
- 症状:運動失調、嚥下困難、痙攣、呼吸筋麻痺をこして死亡することも。
- 成分:ゲルセミン gelsemine とその関連アルカロイド
- 注:ジャスミン(モクセイ科)とイエロージャスミンは別種です。
その他
- カサブランカ(ユリ科)
- カタバミ(カタバミ科)
- カノコユリ(ユリ科)
- カラジュウム(サトイモ科)
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「き」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
キキョウ
- 科名:キキョウ科
- 症状:食べて数分後~数時間後に脈が速くなる、よだれ、ふるえ、ひきつり、ふらつきなど。その後、呼吸困難、虚脱、意識障害、心臓麻痺など。死に至ることもある。
- 成分:
キチガイナス(チョウセンアサガオ、マンダラケ、エンゼルトランペット)
- 科名:ナス科
- 症状:のどの乾き、粘膜の乾燥、瞳孔の拡大、心臓の鼓動の異常、痙攣、 嘔吐、腹部の痛み、血便、下痢、めまい、呼吸困難などをひきおこすし、死ぬことも。チョウセンアサガオは全草が猛毒となるので注意。
- 成分:ヒヨスチアミン hyoscyamine、スコポラミン scopolamine、アトロピン atropine
キツネノウルシ(ノウルシ、サワウルシ)
- 科名:トウダイグサ科
- 症状:皮膚炎、高校の灼熱感、嘔吐、下痢、腹痛、血圧上昇、めまい、けいれん
- 成分:
キツネノカミソリ(ヤマクワイ)
- 科名:ヒガンバナ科
- 症状:食べた直後に嘔吐、下痢、腹痛、流涎、血圧低下、心不全。重篤になると昏睡、麻痺など。死に至ることもある。球根はとくに毒性が強く、少量でも危険。
- 成分:
キツネノテブクロ(ジキタリス)
- 科名:ゴマノハグサ科
- 症状:食べて2~3時間後に不整脈、吐き気、腹部の痛み、下痢、腹痛、けいれん、不整脈など。 異常な興奮の後、昏睡に陥り、死ぬことも。葉から抽出される成分(ジキタリス)は、強心利尿薬として使用される薬草。
- 成分:ジギトキシン digitoxin、ジギタリン digitalin
キツネノボタン(ウサギゴロシ)
- 科名:キンポウゲ科
- 症状:流涎、口腔の灼熱缶、嘔吐、下痢、運動失調、不整脈、けいれん。死に至ることもある。一般にキンポウゲ科の食物は毒性があるが、キツネノボタンは「ウサギゴロシ」の別名を持つほど毒性が特に強いので注意。
- 成分:
キナ
- 科名:アカネ科
- 症状:精神障害、溶血作用。
- 成分:キニーネ quinine
キバナハウチワマメ(ルピナス、ノボリフジ)
- 科名:マメ科
- 症状:嘔吐、腹痛、よだれ、血圧上昇、運動失調、呼吸不全。死に至ることもある。
- 成分:キノリチジンアルカロイド quinolizidine alkaloid の ルピニン lupinine
キバナフジ(キングサリ)
- 科名:マメ科
- 症状:嘔吐、腹痛、よだれ、血圧上昇、運動失調、呼吸不全。死に至ることもある。
- 成分:シスチン cytisine
キョウチクトウ(タイミンクワ、タウチク)
- 科名:キョウチクトウ科
- 症状:皮膚のかぶれ、口腔の頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、ときに心臓麻痺、など。ヒトでさえ死亡報告が多々あるほど毒性が強く要注意。
- 成分:オレアンドリンoleandrin、アディネリンadynerin。
「古代ギリシャのアレキサンダー大王率いる軍隊は、キョウチクトウの枝を串にして肉を焼いたため多くの兵士を失った、と伝えられている。同じような事件は、ナポレオンの軍隊にも、太平洋戦争のとき南方にいた日本軍にも起こった、といわれている。」「毒草を食べてみた」p.22 著:植松黎
【豆知識】猫ミステリーシリーズ『書店猫ハムレットのうたた寝』(アリ・ブランドン著)にもキョウチクトウのオレアンドリン毒を使った殺人が出てきます。
キングサリ(キバナフジ)
- 科名:マメ科
- 症状:嘔吐、腹痛、よだれ、血圧上昇、運動失調、呼吸不全。死に至ることもある。
- 成分:シスチン cytisine
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「く」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
クサノオウ(タムシグサ、ニガクサ、ハックツサイ)
- 科名:ケシ科
- 症状:嘔吐、胃腸炎、体温や脈拍の低下、幻覚、呼吸困難、など。死に至ることもある。
- 成分:モルヒネ morphine、コデイン codeine、パパベリン papaverine
クサメノキ(ハナヒリノキ)
- 科名:ツツジ科
- 症状:葉と蜂蜜に含まれるグラヤノトキシンにより、よだれ、嘔吐、蹴り、視力障害、筋力低下、徐脈、痙攣、昏睡、など。消化器症状は数時間以内に発生。摂取量が多いと数日で死亡。
- 成分:グラヤノトキシン grayanotoxin
クワズイモ
- 科名:サトイモ科
- 症状:口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎、など。
- 成分:葉に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶と蛋白成分と思われる(未確認)。
クリスマスローズ(ヘレボラス)
- 科名:キンポウゲ科
- 症状:口腔の灼熱感、腹痛、胃炎、嘔吐、下痢、不整脈、血液低下、心臓麻痺、死亡。特に根に注意。
- 成分:ヘレボリン hellebrin、ヘレボレイン helleborein、ヘレブリゲニン hellebrigenin、プロトアネモニン protoanemonin、心臓作用性への配糖体
その他
- クロユリ(ユリ科)
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「け」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
ケキツネノボタン
- 科名:キンポウゲ科
- 症状:流涎、口腔の灼熱缶、嘔吐、下痢、運動失調、不整脈、けいれん、など。死に至ることも。
- 成分:
- キツネノボタンとケキツネノボタンは同科同族だが別種。外見はそっくりで見分けが付けにくい。どちらも毒性が強い点は同じなので摘まないように。
ケシ
- 科名:ケシ科
- 症状:嘔吐、胃腸炎、体温や脈拍の低下、幻覚、呼吸困難、など。死に至ることもある。
- 成分:モルヒネ morphine、コデイン codeine、パパベリン papaverine
ケマンソウ(フタボシ、タイツリソウ、ヨウラクボタン)
- 科名:ケシ科
- 症状:嘔吐、胃腸炎、体温や脈拍の低下、幻覚、呼吸困難、など。死に至ることもある。
- 成分:
その他
- ゲッケイジュ(クスノキ科)
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「こ」から始まる植物種
【著:管理人 2002年~】
コウノキ(シキミ、ハナノキ、ハカバナ)
- 科名:マツブサ科(旧シキミ科)
- 症状:嘔吐、下痢、めまい、血圧上昇、全身痙攣、よだれ、など。死亡することも。とくに種子に注意。
- 成分:アニサチンanisatine
- シキミという和名は「悪い実(あしきみ)」に由来するという。神社や墓所など神聖な場所に多く植えられているが、それは昔、獣害を避ける毒樹としての防壁の意味だったそうだ。ヒト中毒の例でも、1990年11月兵庫県自然教室でシイの実と誤って食べた12人が嘔吐・全身痙攣をおこし入院したという報告がある。
コウモリカズラ(ヘンプクカズラ)
- 科名:ツヅラフジ科
- 症状:頻脈、けいれん、神経障害
- 成分:アルカロイド系の有毒成分
コオニユリ
- 科名:ユリ科
- 症状:ユリ科の中でも、猫にとって特に危険な品種なので要注意。目に入ると失明の恐れあり。口腔と喉の灼熱感、嘔吐、下痢、沈鬱、脱水症状、尿細管変性、腎臓障害、呼吸困難、手足のしびれ、皮膚の知覚減退、循環不全、中枢全身麻痺など。 時に死亡。葉を1枚かじっただけ、体についた花粉を舐めただけなど、わずかな摂取でも重篤となるケースが報告され、また、摂取してから死亡するまで1週間ほどかかることが多く、その間中苦しむことになるのも可哀想。催奇形性あり。回復しても慢性腎不全や膵炎に移行する危険がある。
- 成分:コルヒチンcolchicine
- 猫のユリ中毒症例:旗谷動物病院[2010/08/10] 猫のユリ中毒。(概要)ユリの花束の葉っぱを噛んだり花弁の一部を食べてしまったと思われる猫が、治療の甲斐も空しく、摂取後8日後に死亡。
コカ
- 科名:コカノキ科
- 症状:麻酔作用、局所麻酔作用。
- 成分:コカイン cocaine
コクサギ
- 科名:ミカン科
- 症状:嘔吐、手足のけいれん、麻痺。皮膚のかぶれ。
- 成分:
ゴクラクチョウカ(ストレリチア)
- 科名:バショウ科
- 症状:嘔吐、下痢。
- 成分:
コバケイソウ
- 科名:ユリ科
- 症状:嘔吐、痙攣、血管拡張、血圧降下。重篤な場合死に至る。
- 成分:プロトベラトリン Protoveratrine、など
コブシ
- 科名:モクレン科
- 症状:筋肉の弛緩、麻痺
- 成分:精油
コルチカム(イヌサフラン)
- 科名:ユリ科
- 症状:ユリ科は猫にとっても最も恐ろしい植物のひとつ。 尿細管変性を起こし、 嘔吐、下痢、沈鬱、脱水症状、腎臓障害、視力障害や失明、呼吸困難、手足のしびれ、循環不全、全身麻痺など。 死亡することも。また回復しても慢性腎不全や膵炎に移行する危険がある。 葉を1枚食べただけでも中毒死するおそれがあり、また、体に付いた花粉をなめた猫の死亡例も報告されている。花瓶の水も中毒の原因になり得る。
- 成分:コルヒチン colchicine
- 人間の中毒事故報告も多い。よく似た食用山菜のギョウジャニンニクと間違えて食べるケースがほとんど。最近の事故例をニュースからざっと拾ってみても、こんなにある。
- 2018年4月22日、北海道の夫婦が70代の男性と60代の妻が自宅の庭に生えていた毒草のイヌサフランを食べ、70代の夫が死亡。
- 2008年5月27日、イヌサフランを山菜と間違えて食べた男性が死亡。球根を食べた犬も中毒死。
- 2007年4月、新潟県の夫婦がイヌサフランを食べ、50代の夫が死亡。
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*植物名*
参考文献
【著:管理人 2002年~】
上記はいずれも下記文献を参考にしました。【プロモーションリンク】
- 「伴侶動物が出合う中毒 毒のサイエンスと救急医療の実際」監修:山根義久【管理人書評】
- 「イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科」財団法人動物臨床医学研究所編 【管理人書評】
- 「もっともくわしいネコの病気」矢沢サイエンスオフィス編 【管理人書評】
- 「猫こんなとき救急マニュアル100」高野瀬順子
- 「園芸有毒植物図鑑 -人もペットも気を付けたい-」土橋豊
- 「身近にある毒植物たち -”知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み」森昭彦【管理人書評】
- 「毒草を食べてみた」植松黎 【管理人書評】
- 「毒草・薬草事典」船山信次【管理人書評】
管理人は獣医師でも学者でもないため、症状等についてはすべて本からの受け売りです。自分で実験したわけではありません。
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