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猫を治すどころか、下手すると死亡してしまいます。
単に、体の大きさの違いだけではありません。 雑食の人や犬と、純肉食の猫とでは、体の仕組みが違うのです。
動物が薬を代謝し排泄するはたらきのひとつに、グルクロン酸抱合と呼ばれるものがあります。これは薬の成分を体内のグルクロン酸と結合させて水にとける物質に変えるはたらきで、これによって薬の代謝・輸送・排泄がすみやかに行われます。
ところがネコは、このグルクロン酸抱合の能力が乏しいのです。というのも、ネコはこのはたらきに必要な酵素を体内にもっていないからです。
そのため、人間やイヌには安全な薬でも、ネコに与えると中毒をおこすおそれがあるのです。
(「もっともくわしいネコの病気百科」p52より引用。)
また、2007年3月5日アメリカで発表された 「2006年ペットが事故にあった危険物トップ10」 で、ダントツ1位となったのは、 “人間用の医薬品”で、 78,000件もの問い合わせがあったそうです。
ちなみに2位は“殺虫剤・駆除薬”の27,000件、 3位は“動物用医薬品“の12,000件でした。
(ASPCA Animal Poison control Center=米国動物虐待防止協会中毒事故管理センター調査)
たとえば、アセトアミノフェン。
1950年頃から日本を含む世界中で使われている薬で、「親の判断で子供に飲ませても良い唯一の解熱剤」といわれるほど一般的に安全な薬とされ、小児用を含む市販薬に幅広く使用されています。(注)
ところが、このアセトアミノフェンを猫が摂取すると、末梢血管が収縮してチアノーゼをおこし、 沈鬱、顔面浮腫、食欲廃絶となり、赤血球の破壊と肝臓の壊死による黄疸があらわれ、最悪死亡します。
“one extra-strength acetaminophen can be deadly to a cat
(たった1錠の強力アセトアミノフェンが猫には致命的となる場合がある)”
と、上記ASPCAレポートの中でDr. Hansenは警告しています。
(注)
とはいえ薬ですから、副作用がないわけではありません。たとえば過剰摂取は肝障害などを引き起こし、あまりに大量に摂取すると人でさえ死亡する場合があります。
素人療法はいけません。猫が誤飲しないよう、薬の保管にもご注意ください。もし薬がこぼれてしまったら、最後の1錠まで徹底的に探しましょう。その1錠が愛猫にとっては命取りとなりかねません。
以下、猫が薬物中毒を起こす主な薬品名をあげます。
しかし、これですべてというわけではありません。また、下記の中には人間用や動物用に今でも使われている薬が多数あります。良い薬も用法を一つ間違えれば危険だということです。
もし何かの薬を愛猫が飲みこんでしまった場合は、すぐに獣医さんに相談してください。
鎮痛解熱剤として、風邪・頭痛・歯痛・生理痛・関節痛・筋肉痛その他に広くつかわれている薬たちです。
しかしながら、猫が猫風邪を引いたようだからと人間用風邪薬を飲ませたら大変なことになります。決して飲ませないでください。
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麻酔や、麻酔補助薬などにつかわれる薬品群です。
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それぞれノミ・条虫・回虫・鈎虫・フィラリアなどさまざまな寄生虫の駆除に使われるほか、食肉用家畜の駆虫剤として使用されているものや、ゴキブリ・ハエ・蚊などの駆除用に農薬や殺虫剤として使用されているもの、貝など軟体動物駆除用に使われている産業用の薬剤などです。
いずれも駆虫=生物を殺すことを目的としている薬ですから、使い方をひとつ間違えれば、猫だけでなく、人体にも有害であることを意識する必要があります。
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酢酸メゲストロールは乳ガン治療などに、またトリアムシノロンは抗炎症作用のある合成ステロイドとして アレルギーや花粉症、気管支喘息、免疫系疾患、眼治療、その他、広くつかわれています。
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各薬品名はわからなくても、「抗生物質」という言葉を知らない人はいないでしょう。菌をやっつけてくれる薬として、呼吸器系、泌尿生殖器系、皮膚、眼、耳鼻、歯科、その他その他、ちょっとした怪我の消毒から重篤な病気治療まで、あらゆるところに使われている現代医学には欠かせない薬品群です。
多用されているだけに、猫がうっかり誤飲等しないよう、いっそうの注意が必要と思われます。
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ベタネコールは胃腸障害や膀胱障害などに使われる薬です。
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管理人は獣医師や科学者など専門家ではありません。上記はすべて下記資料を参考にまとめました。
事故は、ある日突然やってきます。信頼できる書物は、いつでも手にとれるよう、図書館や立ち読みではなく、購入して所有されることをお勧めします。
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