ネコの歯について 猫歯式図
猫の歯式図
猫の歯式
【乳歯(脱落歯)】
- 上の歯(片側)=切歯3、犬歯1、前臼歯3
- 下の歯(片側)=切歯3、犬歯1,前臼歯2
- 合計26本
- (歯式=I3/3 C1/1 P3/2)
【永久歯】
- 上の歯(片側)=切歯3、犬歯1、前臼歯3、後臼歯1
- 下の歯(片側)=切歯3、犬歯1、前臼歯2、後臼歯1
- 合計30本
- (歯式=I3/3 C1/1 P3/2 M1/1)
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猫の切歯(前歯)は、成猫でもこんなにちっちゃい。
猫の歯の生え方
猫の乳歯の萌出
- 切歯 2~3週齢
- 犬歯 3~4週齢
- 前臼歯 3~6週齢
猫の永久歯の萌出
- 切歯 3~4ヶ月齢
- 犬歯 4~5ヶ月齢
- 前臼歯 4~6ヶ月齢
- 後臼歯 4~5ヶ月齢
生え始めの歯はまだ完全な強さは持っていません。また成長途中の歯はしばしば、軽い痛みや痒みをともないます。
この時期の子猫は、歯固めのためや、痛み・痒みを紛らわせるために、色々なものに噛みつきます。適切な噛みおもちゃを与えると同時に、噛んではいけないもの(人の手など)をしっかり教え、変な噛み癖がつかないように躾ましょう。
ネコの牙(犬歯)が永久歯に生えかわるときは、まず乳歯が脱落するヒトとちがい、永久歯が横に生えてから乳歯が脱落します。
歯断面図
歯の用語説明
切歯 Incisor
前歯のこと。前顎骨から出る歯。
猫の切歯はとても小さく、横一直線に並んでいます。獲物の毛や羽をむしったり、皮をはいだり、また毛づくろいの時に使われます。
犬歯 Cuspid (Canine)
猫の歯でも「犬歯」と言います(笑)ヒトでいう糸切り歯。前顎骨と上顎骨との境目から出る歯。
猫の犬歯は、 獲物にとどめを刺したり、くわえたりする、肉食獣として最も重要な歯であり、また機械受容器豊富も豊富に備えられていて、獲物の大きさや硬さを正確に感知することができます。
前臼歯 Premolar
上顎骨から出る生え変わる歯。
猫の前臼歯は、 いわば肉切り包丁。飲み込める大きさに肉を切り裂きます。
後臼歯 Molar
上顎骨から出る生え変わらない歯。子猫にはありません。
猫の上顎の後臼歯は、とても小さな歯です。
エナメル質
歯の、口腔内に見える部分を覆っている組織で、体の中で一番硬い物質。ハイドロキシアバタイトの結晶から出来ていて、再生不能です。
セメント質
歯の、顎骨内にある部分(つまり歯肉に隠れて見えない部分)の表面を覆っている組織。エナメル質と組織的には同じです。
象牙質
歯の大部分を占める組織。骨より硬いが再生可能。
歯髄
象牙質の中心に位置。神経と血管に富む組織。
歯冠
口腔内に露出する部分。つまり、歯の見えている部分のこと。
歯根
顎骨内にある部分。文字通り、歯の根っこのことです。猫さんには、歯根が1本の歯、二股にわかれている歯、3本に分岐している歯があります。
歯頸
歯冠部と歯根部の境目、歯が歯肉に隠れるあたり。
丘稜歯
猫など肉食動物の臼歯のように、食べ物を切り裂くように円錐状に盛り上がり、互いに交合面で向かい合っている歯のこと。(それに対し、牛など草食動物の平面的な歯は月状歯と言います。)
*注*
このページの図はいずれも、下記参考文献・サイトを見ながら、管理人が描きました。 管理人は獣医師でも生物学専門家でもありませんので、 図を描くに際し、最大の注意は払いましたものの、解剖学的な間違いが無いとは限りません。各図とも、あくまで参考資料(イメージ図)としてご覧くださいますよう、お願いいたします。
【参考文献・ウェブサイト】
- 浅利昌男著 『新・犬と猫の解剖セミナー』 インターズー
- 林芳良博監修 『イラストでみる猫学』 講談社
- Fukuda Fumio’s World 福田史夫の世界 ←頭蓋骨の説明がスバラシイ!
- アイヴィヨコヤマペットクリニック
- 日本のけものたち
幼少時の病気や栄養状態が、歯に影響をあたえる場合は多いようです。 この子は前歯1本が欠損しています。ひどい猫風邪状態で保護され、その影響で視力を失ってしまった猫です。でも今はすっかり元気です。
一つ気になったところがありコメントを残させていただきます
猫の永久歯の数のところで、上顎の切歯が2と書かれていますが、歯式は3/3になっています
歯式の方が正しいと思うのですがどうでしょうか( ̄▽ ̄;)
基本的にわかりやすい言葉が使われていて文章や項目の構成も見やすくとても勉強になりました!
ありがとうございます!
うわあ、ありがとうございます。単純なミス、誤植です(大汗)訂正しました。間違えてはいけない場所、大事なことなのに。
ご指摘感謝です。ご迷惑をおかけしました。