猫の便について
猫の便について
健康な便
排泄回数=健康な成猫はふつう1日1回、子猫は成猫より回数が多いのが普通です。しかし、ミルクだけの赤ちゃん猫のときは成猫より回数は少なく、1~2日出ないこともあります。
色=成猫は茶色~濃い茶色です。ミルクだけの赤ちゃん猫の便の色は薄く、黄土色~ベージュとなります。
かたさ=成猫の大便は、お箸でつまみあげられるくらいの固さがあるのがふつうです。犬や人のものより少し固い感じ?子猫の便は大人猫より少し柔らかいことが多いです。赤ちゃん猫の便は柔らかく、ふにゃーとした感じです。
形=健康な便は、かりんとう型です。赤ちゃん猫の便は柔らかく、チューブから押し出されたような形です。
下痢
下痢とは、便に含まれる水分量が増加した状態をいいます。平常よりやわらかい便を軟便、より水分の多いビシャビシャな便を水様便といいます。
*早く病院へ
- 下痢、軟便が続く
- 一部血液が混じっている
- 便の中に虫がいた
*至急病院へ
- 激しい下痢を繰り返す
- 血便を伴う
- 嘔吐する、元気がない
- 急激にあるいは徐々に痩せてきた
※参考文献:『イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科』p.182-183(財団法人動物臨床医学研究所編 ISBN:9784894444720)より抜粋引用。詳細は本をご覧ください。
急性下痢:考えられる主な病気/原因
- 消化器内寄生虫
- 消化管細菌感染症
- 細菌病
- ウイルス感染症(猫汎白血病減少症)
- 腸炎
- 急性膵炎
- 毒素/薬物中毒
- 食餌性アレルギー、牛乳(ラクトース)
- ストレス
※参考文献:『イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科』p.182(財団法人動物臨床医学研究所編 ISBN:9784894444720)より抜粋引用。詳細は本をご覧ください。
慢性下痢:考えられる主な病気/原因
- 腸炎
- 炎症性(慢性特発性超疾患)
- 好酸球性腸炎/li>
- 肉芽腫性腸炎
- 腫瘍(胃、腸)
- 感染症
- 慢性特発性腸疾患:小腸内細胞過剰増殖
- ヒストプラズマ
- ジアルジア症
- トキソプラズマ症
- 機能性
- 腸閉塞(イレウス)
- 慢性特発性腸疾患(腸リンパ管拡張症)
- 膵外分泌疾患
- 膵炎
- 膵外分泌不全症
- 子ネコ衰弱症候群
- その他
- 肝臓および胆嚢・胆管の疾患、脂肪肝
- 甲状腺機能亢進症
- 食餌性アレルギー
- ストレス
※参考文献:『イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科』p.182(財団法人動物臨床医学研究所編 ISBN:9784894444720)より抜粋引用。詳細は本をご覧ください。
便秘
便秘とは、ふだんの排便に比べて便が極端に硬く乾燥し、排便時に強くいきんだりしないと便が出にくくなっている状態です。食事をせず2-3日排便がないような状態を便秘とはいいません。
しぶりとは、便意があり排出しようといきむにもかかわらずy、排出できない状態をいいます。しぶりがみられるときは、泌尿・生殖器の病気、下部尿路の病気にかかっているかもしれません。
便秘としぶりの違いは、一般の飼い主には判断が難しく、獣医師の診察が必要です。
*早く病院へ
- 硬い便が少量しか出ない
- 排便時に痛みを示す
- ときどき嘔吐もある
- 活発さがなくなる
*至急病院へ
- 便が何日も出ない
- 排便姿勢もとらなくなり、ぐったりしている
- おなかが張っている
※参考文献=『イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科』p.184-185(財団法人動物臨床医学研究所編 ISBN:9784894444720)より抜粋引用。詳細は本をご覧ください。
考えられる主な病気/原因
- 大腸周辺の閉塞による便秘
- 腸閉塞
- 腫瘍(結腸腫瘍、直腸腫瘍
- ヘルニア(会陰ヘルニア)
- 骨折(骨盤骨折)
- 生殖器系の腫瘍
- 神経性障害による便秘
- 脊髄の疾患
- 椎間板ヘルニア
- 椎間板脊椎炎
- 巨大結腸症
- 肛門嚢炎
- 肛門周囲瘻
- 肛門狭窄
- 肛門異物
- 骨折(骨盤骨折、後ろ足の骨折)
- 股関節脱臼
- 会陰部の主要や異物
- 甲状腺機能亢進症
- 上皮招待昨日亢進症
- 発熱など消耗性疾患による脱水
※参考文献=『イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科』p.184(財団法人動物臨床医学研究所編 ISBN:9784894444720)より抜粋引用。詳細は本をご覧ください。
検便でわかる寄生虫
できるかぎり新鮮な糞便を提出することが正確な診断につながります。
・糞便中に、寄生虫の体や体節、卵、オーシストなどが検出されるか調べる。
・糞便をスライドグラス上に塗抹したうえで染色し、虫体の詳細を観察する。
消化器系の原虫症
ジアルジア症、腸トリコモナス症、イソスポラ症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、バランチジウム症、など
消化器系の吸虫症
壺形吸虫症、横川吸虫症、肝吸虫症、テン膵吸虫症、など
消化器系の条虫症
マンソン裂頭条虫症、、豆状条虫症、胞状条虫症、猫条虫症、エキノコックス症、瓜実条虫症、など
消化器系の線虫症
糞線虫症、鉤虫症、回虫症、胃虫症、鞭虫症、など
呼吸器系の吸虫症
肺吸虫症、など
呼吸器系の線虫症
肺虫症、など
血液の吸虫症
日本住血吸虫症、など
検便以外の検査法で診断する代表的な寄生虫症
尿検査=腎虫症、膀胱規制の毛細線虫症、など
血液検査=犬糸状虫症(フィラリア)、ヘパトゾーン症、バベシア病、、など
視診(顕微鏡)=東洋眼虫症、耳疥癬、マダニ、ツメダニ、ノミ、ハジラミ、シラミ、など
参考文献
『イヌ+ネコ 家庭動物の医学大百科』
イヌ・ネコからフェレット・ウサギ・ハムスター・小鳥・カメまで
監修:山根義久
編集:財団法人動物臨床医学研究所
出版社: ピエ・ブックス
ISBN : 9784894444720
『もっともくわしいネコの病気百科』
編:矢沢サイエンスオフィス
出版社: 学習研究社
ISBN : 9784054014749
『犬と猫の寄生虫図鑑ー診断と治療ー』
カラーアトラス Teton 最新獣医臨床シリーズ
Dwight D. Bowman, Elizabeth A. Fogarty, Stephen Charles Barr
監訳:佐伯英治(さえき ひではる)
出版社:インターズー
ISBN:9784899953661