ひとこと。
動物たちに心を奪われていると、ときどき変な勘違いを起こす。 その例の数々。
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公園にペンギン型のゴミ箱があった。 その口のところに“おす”と書いてあった。 つい、「雌のペンギンはどこだろう?」と探してしまった。
・・・それが「押す」の意味だと気が付くまで 随分時間がかかった。 そう、ペンギンの口が、ゴミ箱のふたになっていたのだ。
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“ペット飲料半額!” のチラシ見て 「ワンニャンミルクが安い!」と喜んでスーパーに出かけたが
もちろん、“ペットボトル入り飲料(人間用)半額!” のことだった。
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道路横にネコの絵の立て看板があった。
「ペットショップ?キャットフードの安売り?なんだろ?」
と
考えながら車を走らせていくと、
突然、目の前に工事用信号機の赤ランプが現れて
急停車。
“この先工事中”の看板に、ネコの挿し絵が描かれていたらしい。 が、私にはネコの絵しか目に入らなかった。 まぎらわしい看板立てるな!
ついでに。
ライオンの挿絵の上に 「100m先・・・」と書くのも止めてほしい。 100m先に動物園があるのかと思ってしまうじゃないか。 挿絵無しの、 「100m先工事中」とだけ、書いてほしい。
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「東京トヨペット」の看板を見て、
「大きなペット屋さんだ」と勘違いしたのは
私だけではなかったと知った時、
ちょっとホッとした。
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目の前を、黒いセーターなど着ている人が歩いていると、
「この人、ぜんぜん抜け毛がついていないわあ。
随分丁寧にコロコロかけているのね」
などと思ってしまう。
勿論、動物と暮らしていない人が
抜け毛をつけているはずがない。
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「5人家族です」などと言われると、つい 「そのうち人間は何人ですか?」と聞いてしまう このクセをなおさないといけない。
動物を知らない人達にひとこと
友人に、9キロにもなるシャムネコを飼っている家がある。 そのシャムは、最近のキャットショーに出てくるようなスレンダーなタイプではなく 昔ながらの比較的丸い体つきの子だが 友人が甘やかすものだから、コロコロに太って 胴回りもそれはぶっといのだ。
友人の密かな楽しみは、そのシャムを見せて
「この子はタヌキとの合いの子なんですよ」
と
実にさりげなく言うことだという。
驚くことに、そう言うと、頷く人がけっこういるそうだ。
「なるほどねえ。道理で大きいと思いました。」
などと
まじめに納得顔で感心しているそうな。
あのねえ。 タヌキはイヌ科。イエネコはもちろんネコ科。 ポチとタマの間に子供が生まれないのと同じように タヌキとネコの間にも子供は生まれないのですよ。
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ある都会の住宅地を歩いていたときのこと。 目の前をイタチが駆け抜けていった。
幼い女の子が
「ねこちゃん!」と、追いかけようとすると、
その母親が
「あれはネコではありません。ネズミです。」と
実にキッパリと宣言していた。
しかし、あれはネコでもネズミでもない。 間違いなくイタチだった。 それも、都会に多いチョウセンイタチだと、品種まで わかってしまったほど、白昼にその全身をさらしていた。
イタチとネコは食肉目。 ネズミは齧歯目。 イタチをネズミと間違えたお母さんより ネコと間違えた幼女の方が、まだ 生物分類学的には近かったようだ。
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隣のジイサンが
「野良猫がトマトやキュウリを食って困る」
と怒っていた。
トマト畑で何かを食べている野良猫を
その目で見たそうな。
私が思うには その野良猫がもし、本当に何かを食べていたなら、それこそ、トマトやキュウリ畑に現れた 野菜を食害する小動物・・・ネズミなど・・・を 補食していただけではないか?
いくら野良猫とはいえ、 トマトやキュウリを好んで食べるネコなんて いないと思う。 オジサンは、野良猫を追い払おうと必死だが、 その野良さんがいなくなったら、きっと もっと食害が増えると思うのだが。
ちなみに ネコを飼っていない隣家では ネズミが仏壇にも出没するとぼやいている。 うちには、勿論、 ネズミなんかいやしない。
「ほんとに いにゃいって おもってる? ちらにゃいの? おれさま、じつは・・・」
「ネズミさんだぞ!」