猫算物語:野良猫編
野良猫の生活はこんなに過酷です。
野良猫の物語 スタート(0ヶ月目)
雄の猫さん 名前は「1」
雌の猫さん 名前は「2」
ふたりは結婚しました♪
「早く可愛い子猫が産まれるといいね」
「本当にね」
「猫は理論的には年6回も出産できるんだって」
「それはあまりに多すぎるわ。私達野良は、よくて年2回ってところかしら」
「子猫は何匹産まれるだろう」
「飼い猫なら3~6匹ね。でも野良猫はどう頑張っても、1~4匹産んで、そのうち1匹育てるのがやっと」
「一度に14匹も産んで全員育てた猫もいるんだって?」
「夢の世界だわ」
「僕たちは年1匹でもいいから、立派に独り立ちさせようね」
「がんばるわ」
ふたりはこんな悲壮な会話をしました。
現在の猫総数=2ニャン
1年目の春~夏
「2」が待望の子猫を産みました。
男の子 名前は「3」
女の子 名前は「4」
男の子 名前は「5」 死産でした
女の子 名前は「6」 死産でした
「3」は回虫症で衰弱死しました。
「4」はカラスに突き殺されました。
現在の猫総数=2ニャン(1,2)
1年目の秋~冬
また「2」が子猫を産みました。
男の子 名前は「7」
女の子 名前は「8」
「7」はねずみ取りにかかって死にました。
「8」は12月の夜に凍死しました
現在の猫総数=2ニャン(1,2)
2年目の春~夏
「2」が子猫を産みました。
男の子 名前は「9」
女の子 名前は「10」
男の子 名前は「11」
「2」が交通事故で死亡しました。
「9」はお乳がもらえなくなり餓死しました。
「10」もお乳がもらえなくなり餓死しました。
「11」もお乳がもらえなくなり餓死しました。
現在の猫総数=1ニャン(1)
2年目の秋~冬
捨て猫が現れました。
女の子 名前は「12」
もう成熟した猫でした。 伴侶「2」を失ってがっくりしていた「1」は喜んで結婚を申し込みました。
「12」が早くも子猫を産みました。
男の子 名前は「13」
女の子 名前は「14」
男の子 名前は「15」
「14」は子猫結膜炎が元で衰弱死しました。
「15」はネコ風邪(ウイルス性呼吸器感染症)で死亡しました。
「12」もネコ風邪と飢餓と寒さにより衰弱死しました。 もと飼い猫でしたが、ワクチン接種はしていなかったようです。
現在の猫総数=2ニャン(1,13)
3年目の春~夏
「1」がFIV(猫エイズ)を発症し、急激に衰弱して死亡しました。まだ軽症の口内炎だったのに野良猫には即命取りとなりました。
現在の猫総数=1ニャン(13)
3年目の秋~冬
捨て猫が現れました。
女の子 名前は「16」
「13」と「16」はたちまち好きになって結婚しました。
また捨て猫が現れました。2ニャンの兄弟猫でした。
男の子 名前は「17」
捨てられた数日後に飼い犬に噛まれて死亡しました。 以前に飼われていた家では犬と同居していたようです。 犬に対する警戒心のなさが仇となりました。
女の子 名前は「18」
「13」は残された「18」とも結婚しました。 猫の世界では良くあることです。
「16」が子猫を産みました
男の子 名前は「19」
女の子 名前は「20」
男の子 名前は「21」
「18」が子猫を産みました。
女の子 名前は「22」
男の子 名前は「23」
女の子 名前は「24」
母猫「16」と「18」は元飼い猫ですから人慣れしています。 上手に人に甘えるので、周辺住民が餌やりを始めました。 子猫達も順調に育っていきました。
すると「餌やりする人間がいるから野良猫が増えて増えて大迷惑だ」と怒る人達が現れました。 餌やりさんと、迷惑だという人との間で争いが起きました。
ある日、箱を持った男達が現れました。 「ホケンジョ」「ドウブツジッケン」「シャミセン」「売る」などの単語を発しながら。
人慣れしていた「16」は捕まりました。
母猫と一緒に「19」も捕まりました。
母猫と一緒に「20」も捕まりました
母猫と一緒に「21」も捕まりました。
人慣れしていた「18」は捕まりました。
母猫と一緒に「22」も捕まりました。
母猫と一緒に「23」も捕まりました。
母猫と一緒に「24」も捕まりました。
人慣れしていなかった「13」は捕まりませんでしたが、 棍棒と石で追い立てられて怪我をし、行方不明となりました。 どこかでひっそりと死んでしまったのかも知れません。
現在の猫総数=0
猫を産ませないでください。増やさないでください。捨てないでください。
野良猫が増えるのは、繁殖するからではありません。 また、餌やりさんが悪いとも言えません。なぜなら、生まれた子猫は、ほとんど生き延びられないからです。
野良猫が増えるのは、飼い猫や、飼い猫が産んだ子猫を捨てる人が後を絶たないからです。
「・・・飼い猫と違い、のら猫の場合は「子どもを生んでも二ひきが限度。今まで、三びき以上生んだ猫を見たことがありません。しかも、育つのはそのうち一ぴきあるかないかです。」 また、「寿命もとても短いのです。今までで、いちばん長生きしているのらちゃんで五年です。・・・でも、そんな猫は、実にまれで、たいていは一年か二年で死んでしまいます。」そして、著者はいう。「こういった理由で、のら猫はその寿命がうんと短いわけです。しかも、生まれる子どもの数も少ない。ですから、絶対数というのは(給餌しても)ほとんど変わらないのです。・・・のら猫が増える一番の原因は、心ない飼い主が、自分の飼っている猫やその子どもを捨てることにあるのです。」 毎日25箇所も回って100匹単位の猫達の世話をしてきた人の言葉だけに、ずしんと重い。・・・』
*この、長生きしても五年という‘野良猫’は、毎日給餌されている野良猫だということを念頭に置いてお読み下さい。 給餌されていない野良猫の生活がどれほど厳しいものであるか、少しでも想像力がある人ならわかるでしょう。
*飼い猫には去勢・避妊手術をしましょう。
飼い猫には去勢・避妊手術を施し、不幸な子猫が産まれないようにしてください。もし何かの手違いで産ませてしまった場合は、全員を責任をもって飼養してあげてください。もしそれがどうしても無理な場合でも、決して捨てたり保健所に連れて行ったりせず、全力で里親募集してください。子猫なら、本当に本気で里親募集すれば、必ず里親様と会えます。少なくとも私自身は、本当に本気で里親募集した子猫には、全員里親様を見つけることができました。ですから、あなただってきっと、見つけることができます。頑張ってください。
参考→里親募集の仕方