大福、保護される

 

2026年春 大福、庭に現れる

庭に仕掛けたトレイルカメラに、薄汚れた猫が写りました。

 

野良猫の大福

 

もう大人の猫です。痩せて、歩き方にも力がないように見えます。 

数日後には、明るい時間にも写るようになりました。

 

野良猫の大福 怪我だらけ、ボロボロ

 

見るからにボロっとした猫でした。白黒猫、というよりは、薄墨に白。そのやわらかな色合いをみて、大福餅を連想し「大福」と呼ぶことにしました。

 

 

人馴れしていません。近づくことがまったくできません。しかし、目やにが多いし、小さな怪我も多いです。幸い、毎日ごはんをしっかり食べているうちに、足取りはしっかりしてきて、今すぐ保護しなければ危ないというほどの健康状態ではなくなりました。とはいえ、めちゃくちゃ健康!元気!ってわけでもなく、保護してきちんと治療してあげたいところですが、・・・

 

野良猫の大福、首に怪我

 

当時の我が家にはもみじという保護猫がいました。広くもない我が家で完全隔離できる部屋は、もみじがいる保護部屋ひとつしかありません。もみじは里親募集をする予定の猫で、厳重に健康管理をしている状態です。その部屋に、どんな病気をもっているかわからない大福を入れるわけにはいかず。

 

やむなく、大福はそのまま外で給餌をしながら様子を見ることにし、その一方で早く部屋が使えるよう、もみじの里親募集に力をいれることにしました。

 

2026年夏

大福は用心深い猫です。捕獲に向けて、まずは「囲みの中に入る」練習からはじめました。

庭に、樹脂製ネットを張ったり、バーベキューネットで3方と天井を囲んだものをつくったりして、その中にキャットフードを置いてみます。通り抜けできる状態なら中に入るのですが、奥をふさぐと、とたんに警戒してしまいます。

しかし、そんな大福も、やがて慣れて、奥が塞がっていても中にはいって食べるようになってくれました。

 

野良猫の大福と、アナグマの穴吉

 

後ろに写っているのが、その囲みです。手前にアナグマの穴吉も写っています(こいつは野生動物のくせに警戒心が薄い奴)。アナグマならここまで近づいて平気なのに、人間は寄せ付けない大福なのでした。私が近づこうとすると、こんなお顔で

「シャー!!!」

 

野良猫の大福 シャー!

 

 

9月8日 捕獲成功!

もみじに素敵な里親さまがみつかり、9月6日に、無事、トライアル期間も終えました。

となりますと、いよいよ大福の保護です。

 

もみじに里親さま候補が現れた頃から、庭には捕獲器も置いていました。大福になれさせるためです。捕獲器の扉は開けたまま、閉まらないよう、ワイヤーで結んでいました。しかし、用心深い大福は入り口から覗くだけで、中にはいちども入りませんでした。

 

もみじが無事卒業した2日後、ワイヤーを外して、いつでも捕獲できるよう、準備しました。私の捕獲器は動物が入っても自動的には閉まりません。一般的な捕獲器はバネでバチンと閉まるようになっていて、尻尾を挟んだら危険と、バネは撤去してしまいました。かわりに長い紐を扉に結び、中にターゲットの動物がはいったら、引っ張って閉じる手動式に改造してあります。

 

捕獲器の奥にちゅーるを置いて、でも入ったことはないんだよねと苦笑しながら、ふと振り向いたら、

「え、もう入ってる!?」

しかも全身すっぽりと!

 

慌てて紐を引いて扉を閉めました。そのまま捕獲器を車に積み、その足で動物病院へ駆けつけます。

 

診察台におかれた捕獲器の中ではコチコチに固まっていた大福。あまりにじっとしているので、これなら大丈夫かと診察台の上に引きずり出されて、先生が鼻づまりなどを診ようとした瞬間。

大福が跳ね上がりました。そして診察室中を縦横無尽に、それこそ横だけでなく縦は天井まで壁を駆け上がって、大逃走劇を開始。こうなったらなすすべもなく、先生も看護師さんも「あらら」と笑いながら見るばかり。

事前に「人馴れしていない猫」と伝えてあったので、もちろん、診察室の窓・扉はどこもしっかり閉じられていて、出られません。大福もやがて「出られない」と気づいたか、窓ガラスに張り付いたまま動かなくなってしまいました。

 

そのスキに先生は「抗生物質の準備に」と部屋を素早く出てしまいます。私は防御手袋で、看護師さんは分厚いバスタオルで手を保護して、また固まってしまった大福をつかみ、持参した洗濯ネットに押し込みました。

 

その上であらためて診察室の中を見回して、驚きました。何一つ倒れていません。机の上にも駆け上がったのに、卓上カレンダーや小物類が、全部そのままで無事なのです。

「これだけ走り回ったらふつう色々倒れているのに。こんなに器用に走り回った猫は初めてです」と変なところで褒められてしまいました。

 

ネットに入れられたあとは大福はもう観念したように静かそのもの。ネットの上から、先生が視診+触診していきます。目やにが少し、鼻づまりがひどい、重度の猫風邪状態。もしかしたら声が出ない?猫風邪で喉もおかしくなっている可能性あり。口の中までは見ることができませんでしたが、舌先が出っぱなしなことから、多分前歯の欠損がある。耳はきれい、耳ダニは大丈夫そう。ノミはいないか、いても少なそう。タマタマの中身はある(未去勢)。体のあちこちに小さな傷、プラス、今の逃走劇で爪が一本折れた(汗)。
 
2週間効くという抗生物質の注射と、スポットオンの駆虫剤(キャットコンボ)を加療。猫風邪治療薬の錠剤をもらいました。
しかしこんなに暴れるようでは、採血(血液検査等)はまだ無理です。その日はとりあえずそれだけで連れて帰りました。

 

保護当日は一日中、大福は3段ケージの一番下で石のように固まったままでした。しかし翌朝には、いれておいたご飯をきれいに食べていましたし、最上段の段ボールハウスに移動していました。
 

保護された大福 

 

大福の治療・人馴れは、かなり時間がかかると思います。なんとか健康な体にもどして、去勢など必要な加療をして、最終的には里親募集まで持っていきたいと考えています。1年後に里親募集を開始できれば、くらいの気持ちで気長に頑張ります。

 

それにしても、なぜその日に限ってすんなり捕獲器に入ったのでしょうか?それまであんなに警戒して、入り口から覗き込む以上は決して入らなかったのに?
やっぱり猫って「もみじがいなくなったな、つぎは僕の番だ」とわかるのでしょうか。