恵まれた飼い猫の物語厳しい野良猫の現実、、多頭飼育崩壊事例

出産回数、出産頭数、その他

「平均的な飼い猫は、1年に2.5回出産し、その出産回数や頭数は、 2~8歳まで、年齢の増加とともに増える傾向にある。 1頭の雌猫は、一生の間に50~150頭以上出産する。」

=出産に関する記録=

  • 1974年12月、南アフリカで、ペルシャ猫のブルーベルは一度に14頭の子猫を出産。
  • テキサス州のダスティは、17年間に420頭の子猫を出産。
  • ティッピーという猫は、21歳の時343頭目の子猫を出産。

(以上、ジョエル・ドゥハッス著「猫、この知られざるもの」中公文庫、より)

ネズミ算式の猫算はなりたつか?

 『ひとつがいの猫が10年間、何の制限も受けずに子猫を産み続け、 子猫も孫猫も同じように子を産んでいくと、 個体群は 80、399、480匹(バークレイによる)、あるいは  84、652、644匹(シャンピニーによる) となると言われています。

(中略) 猫の子猫のうち1000匹に1匹だけが生き残ってお産をするとしても、 個体分の数字は 86、052匹 に達するはずです。 自然界では、達成率はさらに低くなることがわかっています。 マリオン島では、1949年に島に持ち込まれた5匹の猫が 26年間で2000匹までにしか増えませんでした。』

(ジョエル・ドゥハッス著「猫、この知られざるもの」中公文庫)

『(ARK代表オリバーさんの言葉として) 「飼い主としての責任、つまり避妊・去勢手術を怠るから、どんどん増えてしまう。 1匹の猫が子供を産んで、子供が手術を受けずにどんどん産んだとすると、 六年間で六万匹、七年間で四十五万匹になるのですよ」 これはサンフランシスコの二つのシェルターでも言っていたことだ。・・・』

(渡辺眞子「捨て犬を救う街」角川文庫)

野良猫の人口

日本にいる猫の総数は、8、087、000頭。

うち飼い猫は 6、963、000頭。 野良猫は 1、124、000頭。 また飼い猫のうち、外出自由/外飼いされているのは 900、000頭はいるだろうと推測されている。 (ペットフード工業界、2003年度の調査より)

野良猫の寿命

 『日本では、野良生活を強いられたネコは ほとんどが子ネコのうちに死亡し、たとえ 幸運な環境で成長した場合でも、 せいぜい平均4~5年しか生きられないようです。 彼らはつねに餓死、凍死、事故死、虐待死などに直面しており、 ときには人間の都合で実験動物にされたり 殺処分されるという悲惨な運命をたどります。 そのため、子ネコの状態で捨てられて野良となり、 老化がはじまるまで生きられる猫は、 まずいないといえるのではないでしょうか。 彼らとは対照的に、人間に飼われているネコは 近年、かなり長命になっているようです。』

(矢沢サイエンスオフィス編『もっともくわしいネコの病気百科』 学習研究社 「老猫の病気と世話」の章より)

 外国でも野良猫の寿命は短いようです。

『野良猫は平均3年生きます。 これは家猫の平均余命 12年から15年とは比べ物にならない数字です』

(ジョエル・ドゥハッス著「猫、この知られざるもの」中公文庫。ドゥハッス氏はブリュッセルの獣医師)

野良猫の凍死

野澤延行著『ネコと暮らせば』集英社新書に、こんな記述がある。

獣医師である著者は、1999年12月4日に2匹、 同じく9日に2匹の野良猫が死んでいるのをみつけ 解剖したところ、胃の中は空っぽで、凍死と判明。 気温変化を調べたところ、 最低気温 12/3=12.9度 12/4=10.9度 (前日との気温差 2.0度) 同 12/8=10.5度 12/9=7.2度 ( 同 3.3度) であった。他の日は1度弱の変化内にとどまっていた。

『このことより、外で暮らす猫にとって急激な気温低下が 生体機能に影響を与えたとかんがえられるのです。 さらに抵抗力のない個体にとっては 冬の戸外は厳しい環境といわざるを得ません。』(p83)

飼い猫が捨てられた場合の生存率

野澤延行著『ネコと暮らせば』集英社新書より。

『・・・一家離散にならざるを得なくなった飼い主の方から、 6匹の猫の安楽死を頼まれたことがありました。 しかし私にはどうしても出来ず、いけない行為と知りながら、 飼い主と一緒に猫達を外へ放したのでした。 六匹だった猫は一週間で半分に、そして 二週間後にはさらにもう一匹がいなくなっていました。 寒い冬の時期が影響したのか後味の悪い結果でした。 野良猫でも急に冷え込んだ日には凍死することがあります。・・・』

この例では、冬に捨てられた飼い猫が 二週間以上生き延びられる確率は三分の一ということになる。

猫の交通事故死

日本道路公団によると、平成14年度に 高速道路上(7112km)で収容されたネコの交通事故死体は、4046頭。 これはタヌキ・13842頭に次いで2位となっている。

以下、ウサギ・2642頭、イタチ・2622頭、トンビ・2399羽、 カラス・2376羽、その他・6044頭、合計・35933頭。

一般道路におけるネコの交通事故死数については不明だが、 常識的に考えて、高速道路上を徘徊しているネコよりも、 一般道路を徘徊しているネコの数の方がはるかに多く、 当然ながら、一般道路におけるネコの交通事故死は、 高速道路上の数倍はあるだろうと推測される。

猫エイズ(FIV)感染率

●少し古い資料だが、1996年に東京都がおこなった 感染実態調査によると、FIVの感染率は 室内飼育では8.9%、 室外飼育では 26.3%、  という結果が出ている。

●石田卓夫氏によれば、健康猫における猫の エイズウイルス感染率を各国別に調査したところ

  • スイス 1%以下
  • 北米 1.5%
  • ニュージーランド 9%
  • 日本 12%
  • イタリア 12%

さらに陽性の猫の、外出自由猫と完全室内猫の割合は、 日本では 19対1で、外出自由猫の方が はるかに感染率が高くなっている。 また、雄猫は雌猫の2倍以上の感染率となっている、という。 (『猫のエイズ』 集英社新書、2001年2月発行)

●獣医師野澤延行氏の調査によれば、 東京・谷中霊園(野良猫の密度が高い)の野良猫の感染率は60%。 周辺の住宅街(野良猫の密度が低い)では8%だったという。 (『猫と暮らせば』 集英社新書、2004年6月発行)

行政(保健所、愛護センター等)による猫の殺処分数

  • 平成11年度 274,463頭
  • 平成12年度 278,015頭
  • 平成13年度 282,245頭
  • 平成14年度 272,260頭
  • 平成15年度 275,628頭
  • 平成16年度 243,850頭
  • 平成17年度 231,697頭
  • 平成18年度 235,129頭
  • 平成19年度 209,494頭
  • 平成20年度 202,228頭 

これらの処分猫のうち、80%が子猫。 (「地球生物会議 ALIVE」の調査による)

行政(保健所、愛護センター等)の留置期間

多くの自治体は、下記「狂犬病予防法」に基づき、 保健所(やセンター等)に持ち込まれた犬の留置期間を わずか三日と決めている。 猫については、同法の適用外ではあるが、 各自治体判断により、犬と同様の 三日間、またはそれ以下を留置期間と定めている。

狂犬病予防法

(抑留) 第6条  1。予防員は、第4条に規定する登録を受けず、もしくは鑑札を着けず、又は第5条に規定する予防注射を受けず、もしくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。
(2。~6。 中略)
7。予防員は、第1項の規定により犬を抑留したときは、所有者の知れているものについてはその所有者にこれを引き取るべき旨を通知し、所有者の知れていないものについてはその犬を捕獲した場所を管轄する市町村長にその旨を通知しなければならない。
8。市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を2日間公示しなければならない。
9 第7項の通知を受け取った後又は前項の公示期間満了の後1日以内に所有者がその犬を引き取らないときは、予防員は、政令の定めるところにより、これを処分することができる。

野良猫への餌やりについての意識調査

平成12年6月に行われた「動物愛護に関する世論調査」=総理府(現内閣府)によると以下の通り。

【質問】あなたは、のらねこに餌をあたえることについて、どのようにお考えになりますか。この中から一つだけあげてください。

①のらねこがかわいそうなので与えてもよい。
全体 9.4% (男性 10.6%、 女性 3.4%)

②餌をあたえる人がふん尿の始末をするなど、責任を持って管理するのであればかまわない。
全体 26.9% (男性 22.6%、 女性 30.6%)

③のらねこがふえるので与えない方がよい。
全体 37.0% (男性 38.8%、 女性 35.6%)

④のらねこが集まりふん尿などで生活環境を汚損するので与えない方がよい。
全体 22.8% (男性 24.2%、 女性21.7%)

⑤その他、わからない、など
全体 3.9% (男性3.9%、 女性 3.7%)

①+②=与えてもよいと答えた人は 全体の36.3% (男性 33.2%、 女性 34.0%)
③+④=与えない方がよいと答えた人は 全体の59.8% (男性 63.0%、 女性 57.3%)

 

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