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猫がトキソプラズマに感染すると?

猫

免疫機能が正常なネコであれば、感染しても無症状であることが多く、下痢などの症状をしめしても自然治癒し、感染したことに気付かれない場合が多いようです。

幼い子猫や、疾病などにより免疫機能が低下している猫では、血便をともなう下痢、咳、呼吸困難、発熱、食欲不振、貧血、嘔吐、中枢神経障害などの症状をおこすことがあり、重症の場合には死亡することもあります。

下痢が慢性化したり、虹彩炎・ブドウ膜炎など網脈絡膜に異常が出ることもあります(眼トキソプラズマ症)。

無症状でいた猫でも、猫エイズ発症などで免疫機能が低下すると、慢性症状が出ることがあります。

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トキソプラズマ原虫の形態と生活

イヌ・ネコ 家庭動物の医学百科(注1)に詳しく書いてありますのでそれをそっくり引用します。  なお、横コラムの(注)は管理人によるものです。

 

トキソプラズマ原虫の終宿主となるネコがトキソプラズマのシストを経口的に摂取すると、その小腸でシスト(注2)からブラディゾイトといわれる状態のものが現れます。ブラディゾイトは小腸粘膜上皮細胞に侵入し、シゾントに発育します。やがてシゾントは崩壊して、その中からメロゾイトを放出します。メロゾイトは、別の細胞に侵入し、こうして発育が繰り返されていきます。このような殖え方は、雌雄に分かれて行われているのではないため、無性生殖といわれています。

 

以上の生活とは別に、メロゾイトは、雌雄の生殖母胎となることもあり、雌と雄の生殖母胎は融合して円形をしたオーシストを形成します。この殖え方は有性生殖といわれます。

 

この段階のオーシストはいまだ未成熟で、この未成熟の状態でオーシストはネコの糞便に排出されます。オーシストの排泄は感染後3~5日から始まり、2週間前後続きます。

 

オーシストは、外界で発育し、内部に2個のスポロシストを形成し、各スポロシストには4個のスポロゾイトが含まれています。こうした成熟オーシストをネコ以外の動物が摂取すると、その動物はトキソプラズマ原虫の中間宿主になります。トキソプラズマ原虫は、中間宿主の体内で発育し、メロゾイトなどの状態で全身の臓器に運ばれ、その細胞内で分裂・増殖します。しかし、その後、宿主の免疫が形成されると、増殖は抑制され、心臓や筋肉、脳などでシストを形成します。

 

ネコへの感染は、他のネコの糞便中に排出されたオーシストを経口的に摂取した場合と、ネズミ類などの中間宿主を捕食し、それに規制しているシストを経口摂取した場合に起こります。

(p.563-p.564)

(注1)トキソプラズマ症だけでなく、この本はどの病気についても、とても細かくわかりやすく書いてあります。現時点で出版されている獣医学関係の本で、この本以上に詳しい本は無いと思います(高額の獣医学専門書を除く)。 イヌ・ネコの他フェレット・ウサギなど小動物の記述もありますから、動物と暮らしている方はぜひ一家に一冊どうぞ。

(注2)シストだのブラディゾイトだのシゾントだのと、まるで怪獣図鑑のようなカタカナ名が並んでいますが、気にせず読み飛ばしてください。 覚えていただきたいのは「シスト」と「オーシスト」だけです。

シストとは、シェルターにくるまったトキソプラズマ原虫と思ってください。

オーシストとは、トキソプラズマの卵と思ってください。

シストとオーシストさえわかれば、感染の仕組みはばっちり理解できます。

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犬やほかのペットからは感染しません!

ウサギ画像

トキソプラズマ原虫の終宿主はネコ科の動物だけです。犬は中間宿主にはなりますが、終宿主にはなれません。 つまり、犬はオーシスト(=卵)を排出できません。 犬の糞便からトキソプラズマに感染することはありえない、ということです。

世の中には「妊娠したら犬も猫も手放せ」という人がいますけれど、たとえあなたが愛犬のうんちを毎日食べたって、トキソプラズマには決して感染しないのですから、堂々と飼い続けてあげてくださいね。 (犬のうんちなんか食べたら他の病気になっちゃうかも知れませんが・・・汗)

同様に、フェレットやウサギ、ハムスターなど、ほかの伴侶動物からもトキソプラズマは感染しません。

ただし、もしあなたが犬などの肉を生のまま食べるなら、話は別です(笑)。感染する可能性はあります。まさか食べないとは思いますけれど。

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海外では?

海外でも「妊娠したら猫を手放せ」なんていわれるのでしょうか?

アメリカ在住で猫ボランティアをされているヒロキオさんからお話をうかがいました。

アメリカの猫砂の、殆どのパッケージに『トキソプラズマ』についての記載がみられます。妊婦と免疫障害を持つ方たちへの注意書き(注1)日本の猫砂に記載がないと聞いて驚きました。

『妊娠したら猫を手放せ』なんて、悲しすぎます。私が知る限りでは、こちらでの会話は「旦那の仕事が増えるわね(=猫トイレの掃除が旦那担当になる)」くらいです。ついこの前も2ニャンを抱える友人が赤ちゃんを産みましたけれど、健康そのもの。妊娠期間は旦那さんがせっせと猫トイレを掃除していたと言っていました。

赤ちゃんと猫ちゃんのアルバム、本当にかわいかった~。産婦人科医師までが『猫を手放せ』なんていうのは理解できません...。

(注1)たとえば、アメリカからの輸入猫砂「エバークリーン」に書いてある注意書きは、このページ↓を御覧下さい。真ん中くらいに原文をそのまま引用しています。また砂の使用感も書いています。

猫砂レポートの中のエバークリーンのページ

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妊婦がトキソプラズマに初感染しないための注意点

最後にもう一度まとめましょう。

猫アイコン愛猫は完全室内飼いするなど、トキソプラズマに初感染しないようにしてあげましょう。

猫アイコン外猫の肛門やうんちに触った場合は、すぐに丁寧に手を洗いましょう。

猫アイコン妊娠中に捨て猫に出会ってしまったときは、最初の1ヶ月だけ感染しないように誰かに預かってもらい、それから自宅に迎え入れましょう。

猫アイコン生肉は直接触らない、食べない。生野菜は丁寧に洗いましょう。

猫アイコン肉を食べるなら良く熱を通して(注1)。肉料理は夫にまかせちゃいましょう。肉に使った調理器具から感染することもあります。使ったらすぐに良く洗ってください(できれば熱湯消毒)。同じ包丁やまな板で続けて生野菜サラダをつくるなどは止めましょう。

猫アイコンガーデニングや農業など土を触るときは手袋をはめて。触ったあとは良く手をあらいましょう。

(注1)トキソプラズマは熱に弱く、加熱すれば死滅すると、どの本にも書いてあります。70度以上で10分と、より具体的に書いてある資料もありました。

しかし寒さに対しては、文献によって、冷凍に強いと書いてあるものがある一方で、冷凍すれば死ぬと書いてあるものもあり、どれが正しいのか私にはわかりません。

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参考文献・参考サイト

*このページは下記文献やサイトを参考に書きました。管理人は医師でも獣医師でもありません。医学的な質問等はお答えできませんのでご了承下さい。

【参考文献】

* 書名をクリックすると拙サイト内書評ページへ飛びます。

【参考サイト】

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