迷子猫を保護した場合の法律上の問題

平成18年6月15日に遺失物法が改正され、 平成19年(西暦2007年)12月10日から施行されました。

以下は、改正前の犬猫の取り扱いについてです。その後の法改正等により詳細部分については変更があるかもしれませんが、基本的な考え方は簡単には変わらないと思いますので、参考にしてください。

【遺失物法改正前】 迷子猫と法律について。

『ペットの法律 知識とQ&A』 木ノ元直樹:古笛恵子編著、から抜粋・引用させていただきました。 丁寧に、素人でもわかりやすく書いてある本です。 出版後に一部の法律が改正されましたのでご注意ください。

なお、文中では「犬」と書かれていますが、猫についても法律上は同じ扱いとなります。

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【Q】 私の家に犬が迷い込んできました。首輪をしているので飼い主のもとから逃げ出した 飼い犬だと思いますが、可愛いので、ぜひ飼いたいのですが、何か問題はあるでしょうか。

【A】 そのまま飼うと、犯罪が成立するし、飼い主に対する損害賠償責任も負う。

○飼い主の所有権

日本の法律では、動物は物と扱われますので、ペットも飼い主の所有する物、所有権の対象 ということになります。所有権は、完全物権とも言われるように、法的に非常に強い権利として 保護されています。永遠に、だれに対しても、その権利を主張することができ、所有権を侵害 する一切の行為から保護されます。

何らかの事情で飼い主のもとを逃げ出したとしても、飼い主が権利を放棄しない限り、飼い犬 の所有権はもとの飼い主にあります。したがって、いくらなついているといっても、飼い犬を自分 のペットとして飼うことは、飼い主の所有権を侵害することになります。 飼い主から返還を求められたら直ちに返さなければならないし、所有権侵害行為として、民事・ 刑事の責任を問われることもあります。

○民事責任

飼い主の所有権を侵害する行為は、民法上の不法行為(民法709条)に当たります。
(中略)
不法行為を行った者は、他人にあたえた損害を賠償する責任が発生します。飼い犬を探すために かかった費用、引き取るためにかかった費用、犬がいなくなったため損した費用など経済的に 与えられた損害はもちろん、場合によっては精神的ダメージを与えたとして慰謝料まで支払う責任 を負います。(中略)

○刑事責任

(中略)
迷ってきた飼い犬を自分のものとした場合は、落とした物をネコババしたのと同じく遺失物横領罪 という犯罪が成立し、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、科料という刑罰が科せられます (刑法254条)。迷ってきたけれども、飼い主のもとに帰る能力がある犬を無理矢理鎖でつないで 自分のものとしたような場合は、遺失物横領罪より重い窃盗罪が成立し10年以下の懲役が科せ られます(刑法235条)。

○遺失物法

(中略)
遺失物法の規定では、その犬を警察に差し出さなければいけませんが、警察で保管することは 大変なので、「飼い主が現れなければ自分が飼いたいので、そのまま自分が預かりたい」と説明 すると、そのまま預けてくれることが多いようです。 6ヶ月間、飼い主が現れなかったならば、拾った人の所有物となり(民法240条)、正真正銘、 自分のペットとして飼うことができるようになります。飼い主が現れた場合は、飼い主に返さなければ いけませんが、その際、犬の時価の5%から20%の報労金を請求できます(遺失物法4条)。 また、犬を預かっていた間の食費などかかった費用は、常識的な範囲であれば、飼い主に 請求できます。

【管理人注】

上記はいずれも本が出版された時点(2004年8月20日発行)の説明です。

平成18年6月に遺失物法が改正され、所有者が不明の猫には遺失物法が適応されないことになりました。 (迷子札やマイクロチップなどで所有者がわかる猫には遺失物法が適応されます。)

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